仕事も買い物も病院も、どこでもベルトコンベア

昔一回単発バイトでパン工場に入ったことがあるが、こんなに向いてない仕事あるかというくらい向いてなかった。
同じ工程をずっとすると気が狂うからだと思うが、数時間ごとに場所を異動する。
コロッケパンにソースをつける過程は特に問題なかったが、
誰かがコッペパンの上にコロッケをのせて、
私がそれをぱたんと閉める役になった途端、それが壊滅的に苦手だったためにラインを止めてめちゃくちゃキレられた
基本的にコロッケを乗せる人は二人いて、パタンするのは私一人しかいないので両手を使って淀みなく行かないと詰まってしまう。
しかしパタンした時に気をつけないとコロッケのソースが手についてしまい、そのまま続行すると次以降の白いコッペパンが汚れてしまうので、パンを拭いたり手を拭く手間がかかる。
今思えば汚れは後の誰かが処理してくれると諦めて、とりあえずパタンに集中すれば良かったが、その頃は若く変に几帳面だった。
何回か怒られた末に、違う社員が出てきてパンの通路の曲がり角のところに何やら棒を設置して、ものも言わず消えた。
すると不思議、コッペパンはルートを曲がる際その棒に当たって勝手に閉まるようになった。
私の仕事は突如として、ただコッペパンが詰まらずちゃんと角を曲がり、同じ向きで順番に流れていくかどうかを監視するだけの楽ちんな仕事になった。
というか私はいてもいなくてもどうでもよい存在になった。というか私いらねえじゃん。私はそもそも棒以下の存在だったということがわかった。

前置きが長くなったがつまり私はベルトコンベアにどうも相容れないということである

しかし仕事でも早くたくさんやることが何よりよいとされ、買い物をしていても皆待っているから早くポイントカードをだして早く会計を済ませなければと勝手に急き立てられ、病院にいけば大体やけに忙しいか個人的な事情は一切聞きたくないというようなかんじを醸し出しているのでその剣幕におされてこっちも異常な早口になったり本来聞きたかったこともすっかり頭から消えて機械的な回答だけして帰ってくる。それで消える2.3000円。
いつ終わったのかわからないので待っているとまだ何かありますかとキレられ、気を遣ってそそくさと帰るとまだ早いと怒られ
気遣いが裏目に出る。
気を遣わなさそうに見えて意外と人を見てしまうが自分のためにもならないし人のためにもなっていない気がする
スマホでアプリを見失うと電話を切ることもままならず一刻も早く切りたいと焦る
オンラインの講義みたいのも間違っていつまでも居残っているとなんか言われそうだと一刻も早く出ようとする
空気読むのが厳しいのではっきり終わりました、じゃあまたいついつとか言ってくれればいいのに、失礼にならないようにと待っていると恥をかく
毎回失礼になるか恥をかくかの賭けだ
油断して言うべき場面でない余計な個人的なことを言ってしまい、その後精神不安定になって全ての対象によそよそしくなり一刻も早く離れようとする

なんでこんなに急かされているんだ。
実体はないのにもかかわらず

ベルトコンベアでできた物は食べるが、ベルトコンベア的な労働者にも消費者にもなれていないあぶれ者


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