見出し画像

らんまん 五月

ピリ辛の味噌田楽や棘痛し
井戸端の背なの傷見せ月涼し
故郷や想い出させてヒルムシロ
春の山筆走らせて写生帖
異国の香偶然出会い薔薇の花
5/30
豊の秋造石税の税務官
じわじわと秋夕日差し込む座敷
年代を語り燈籠秋の庭
十二月今年に酒は残さずと
赤門へなんぢゃもんじゃの花開き
5/29
にょきにょきと朝の光のヒルムシロ
貯水桶ぐるりたんぽぽ君が来て
身罷るや途絶え本読み梅雨滂沱
手を握りダンス始めの文化の日
秋の空植物学の種飛ばし
5/26
脇抱ふ植物図鑑春の野へ
暑き日のすき焼き鍋の熱さかな
きみ想ふ似ぬ似顔絵の桜餅
舞踏会幸運探しクローバー
オニフスベきみと探して裏の山
5/25
頭占むしろつめくさの敷き詰めて
胴乱やぱんぱんの春の山野草
ブロンズの少女摘み取りシハイスミレ
とげとげのからたちの花教授室
緑なす牡丹の包む小豆餡
5/24
蝋燭や動けぬモデル蚊の音ぞ
梅雨明の夜明けの布団引き寄せて
給金の貰える絵描若き夏
艶やかな上生菓子や夏の朝
逆らわぬ陰影語るや紫陽花
5/23
梅雨の入り無視の世界の標本図
棕櫚箒抗う麦の秋風ぞ
よそ者やいきなり部屋へあいの風
クレソンや箸突き刺してレストラン
標本室土佐より寂し花曇
5/22
牡丹描く観察時間君がため
湯気上がる主の渡し浅蜊汁
夏めくや障子の向こう鹿鳴館
語らない父の死冷めて浅蜊汁
胴乱のセントウ草と鍵を待ち

5/19
大福や黒豆柔し今朝の夏
標本の貼り付け用紙夏に入る
土用三郎後悔せぬ航海
目にとまる牡丹の写生教授室
夏暖簾見知らぬ旅へかき分けて
5/18
未だ温き双子の卵寒の朝
落第や神童の初体験は
騒がしやわめく若者春の朝
白梅の暖簾潜りて東大へ
しげしげと牡丹の朝の三面鏡
5/17
教授の手玉葱の皮少し剥け
草靑む土佐の山々標本に
大学の権威ひらけし青葛
革新は唯一つ青嵐知り
キャンパスの陽射しや強し夏の朝
5/16
好況の天秤売りの夏めく日
暑し春蛙や帰る土佐の土地
洋服の動き易きや夏めく日
風薫る朝十時待てヴァイオリン
歯朶の山見知らぬ人の日本地図
5/15
本の山読み崩したし四月尽
まだ出来ぬ鹿鳴館の春の宵
葬式も妾にできぬ盆支度
飯炊きの焦げ臭き蒲公英のこと
新社員似合わぬ背広誂えて
5/12
紫陽花を活けて華やぎ奥座敷
そこここにどくだみの咲き根津長屋
たんぽぽや一期一会の菓子司
読書好き部屋いっぱいのあいの風
畦靑む我が道を行く草の道
5/11
十薬の十徳長屋繁りけり
夏始財布次第の棲家決む
五月来る荷物引き入れ握り飯
破れ壁標本散らし青嵐
雲の峰雑草と云う草探し
5/10
泥棒の掛値崩して聖五月
盗人の赤子発熱神の水
汗拭ふ手拭絞り夏の宵
行水の背中一筋刀傷
蕺や探し探して住める部屋
5/9
桜餅大八車軋み行き
あいの風ちんちろりんの欠け茶碗
夏浅し見晴し二階肉美味し
トランクの土佐の草花夏めきぬ
どくだみや標本探しの路地の裏
5/8
辿り着き東京駅の蒲公英に
用水の石橋の蒲公英の咲き
初めてのフォーク使いの三月尽
雄大な北海道はまだ雪だ
桜屑大八車の轍かな
5/5
十二月二十枚足し大福帳
首長し紅白の梅活けて見て
秋の日や井戸水浴びてみたけれど
秋夕日赤い簪手渡して
狛犬と別れを告げて冬尽くし
5/4
夏の果植物の道我が道に
熱風やこの草我が名付け親
秋麗ヨコグラツヌバネ見つけて
春に継ぐ酒の道継ぐ姉の道
秋深し後継ぐ熱意頭下げ
5/3
捨てたからきつねのかみそりと出会い
きつつきや何か得るため何か捨て
きつつきの聞こえる山の球根ぞ
白抜きの文字の白さや夏の午后
あねの夢新酒作りと店造り
5/2
夏の夜や足を引き引き我が庵
先見えぬ夏の夜道の一人旅
夏めくや歪みガラスの迎え人
雌日芝や拷問に耐え生き残り
何か捨て何かを拾ひ麥の秋
5/1
植物学へ梅雨前の夜明け前
アイスクリーム好きなもの好きなだけ
梅雨晴間演説続きロータリー
半夏生牢屋格子の角丸き
薄衣や写経の墨擦れけり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?