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今日の季語 2022/2月

1/29
ねんねこ
   ねんねこや母待つ背中に飛びつきぬ 
   ねんねこや黒き瞳の水の濡れ
1/30
寒梅(かんばい)
   寒梅や寝息の途絶え隣り部屋
1/31
冬深(ふゆふか)む:「暮の冬・冬さぶ」
   冬深む明日は消えゆく3D
2/1
寒肥(かんごえ):「寒肥やし」
   寒肥やし孫の涙の誘ふ滲み

非日常の時の流れから一日で戻ることは出ない。
真夜中に駆け付ける。数字も出ない水平線だけのモニターを確認後、医師の指示で人工呼吸器を停止、聴診器で呼吸音、瞳孔反応を見るために指で瞼を開く、濡れた真っ黒な瞳はガラス玉の如く反応することも無かった。
それからの四日間は息をしない妻が畳の上で寝ていた。
今朝は写真に「おはよう」と水を新しく変えてやった。襖の向こうにもう誰もゐない、にこやかな写真が待っているだけだ。
今日の日を迎えた句を詠んであったが心が動かない、無理して詠まずも少し時間をかけよう。いいね!を押して新たな句作りが出来るきっかけになればいいが。

2/2 
千枚漬(せんまいづけ)
   千枚漬キャベツスライサー妻譲り
2/3 
柊挿す(ひいらぎさす):「鬼の目刺し」
   家康や柊を挿す兜数
2/4 
立春(りっしゅん):二十四節気季語「春立つ・春来る」
   春来る遺影に黙り妻の友
2/5 
寒戻(かんもど)る:「しみ返る・戻り寒」
   部屋の中一つ物減り寒戻る
2/6 
水菜(みずな):「京菜」
   俎板の音のさくさく水菜かな
2/7 
春の日(はるのひ):「春日(はるひ・しゅんじつ)・春日影」
   春日や役所を上下バッグ閉づ
2/8
春雪(しゅんせつ):「春吹雪・牡丹雪」
   ぽたぽたと涙は温し牡丹雪
2/9 
夕東風
   夕東風や右旋回の練習機
2/10
梅見(うめみ):「観梅」
   酒もなく手ぶら早足梅見哉
2/11
料峭(りょうしょう)
   料峭やスマホのくもり拭き取りぬ
蛤鍋(はまなべ):「蒸蛤・焼蛤・蛤つゆ」
   通りまで蛤鍋匂ふわが家かな
春氷(はるごおり):「春の氷」
   肘までも濡らしにこやか春氷
いかのぼり(紙鳶):
   いかのぼり風に隠れて風にのせ
木の芽和(きのめあえ)
   木の芽和小鉢沢山傘寿かな
春の灯(はるのひ)
   春の燈や締め忘れたり雨戸閉む
春満月(はるまんげつ):「春月夜」
   満月の信号青し春深夜
猟名残(りょうなごり):「猟期果つ」
   ばらしては磨く部品や猟名残
雨水(うすい):二十四節気季語
   アルプスの白き頂上雨水かな
春の猫(はるのねこ):「恋の猫・浮かれ猫」
   輝けり姿求めて浮かれ猫
春耕(しゅんこう)
   春耕や運ぶ元肥老夫婦
防風(ぼうふう):「浜防風」
   ぺちゃくちゃと多弁な母ら防風(ぼうふ)摘む
春遅々(はるちち):「春遅し」
   春遅々と今宵届きてランドセル
雉・雉子(きじ):「きぎし・きぎす」
   火音来るこっちこっちと雉子の声
鞦韆(しゅうせん):ぶらんこ「ふらここ・ゆさわり」
   鞦韆は待つ公園の真夜中ぞ
春兆(きざ)す:「春動く」
   洗い立て吊すカーテン春きざす
夜の梅(よるのうめ)
    夜の梅白き一片ひらひらと白き一片ひらひらと
今日の季語 春北風(はるならい):「はるきた・黒北風」
   春ならひ帽子手をやり散歩かな

 蛤鍋やぷりぷり失せし待ちわびて
 寒肥や励ます声の消えて畑

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