「銀河帝国の興亡」

これは、父の蔵書の中から見つけました。

だいぶ古いので、この版は中古でしか手に入らないようです。

新訳版がハヤカワ文庫から出ていますが、私は慣れている旧訳版を選びます。挿絵もなかなか個性的で、宇宙、という感じがしません。内容も、ほぼ室内劇です。

この本のおもしろいところは、歴史上のエピソードを下敷きに、ありそうな未来世界を「心理歴史学」で語っているところです。

1巻では、「オックスフォード英語大辞典」とスペインとオランダの貿易戦争、2巻では、ローマ帝国末期と20世紀のプロパガンダのエピソードが使われているように思います。

3巻はちょっと見当がつきませんが、そのうち類似のエピソードを見つけることができるかもしれません。

もう一つ、科学技術が衰退する社会についても言及されています。

昔の論文を比較検討することしかせず、権威者の予言をうのみにする学者。科学技術を魔法と捉える人々。爆発事故を起こす発電所。宇宙船をメンテナンスできなくなる軍隊。その結果、どんどん生活圏が小さくなっていく世界。

科学技術とは生活圏を拡大する手段なのかしれません。

ちなみに、アシモフ自身が、この3巻に続く物語を書いています。

これから読んでみようと思います。



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