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【絵本紹介】たった一回しか読めなかった「絵本 地獄」

たった一回しか読めなかった絵本
「絵本 地獄」 監修:宮次男 千葉県安房郡延命寺所蔵 出版社:風濤社

地獄

とにかく絵が怖いです。大人でも怖い。
江戸時代の絵師によって描かれた絵巻物の絵を構成した絵本なので納得です。

今日は体験談をお話します。

5歳になる手前の頃、急に「なんだかいうことを聞かなくなったな」
と思う時期がありました。
東京から地元大阪へ引っ越してきて間もない頃でした。
今思えば成長の過程であったり、いろいろな葛藤があっただけで、
それほど躍起になることもなかったのかと思いますが、
その時のわたしにとっては、
嘘をついたり、注意されても改める態度を示さない息子の「豹変」は
なんとか「改めなければならない」ことでした。

そして絵本の力を借りようと思って購入したのがこの
「絵本 地獄」

他の絵本と同じように
寝る前の布団で読みました。

本のレビューにあるような、怖がったり、嫌がったりする態度はなく、
いつもの絵本と同じように、最後まで読み終えました。
「あれ?反応がない。。怖がっていない?効果がなかったかな、、」
なんて思っていましたが、
もう二度とこの絵本を(息子と)読むことはありませんでした。

態度にこそ現れていませんでしたが、
心の何処かに引っかかっているようで、
嘘をついているとき(子どもの嘘はなんであんなにわかりやすいのだろう)
「エンマさまはみてるよ〜」というと顔色が変わります。

「効果あったな、しめしめ。」
わたしの心のうちです。


でも、ほどなくして嘘を突き通すことを覚えました。
「エンマさまがみてるよ!」「地獄へ落ちるよ」「地獄の絵本読むよ〜(息子断固拒否)」
と言っても嘘を改めることなく、突き通すようになりました。

「ほんまに?嘘ちゃうの?エンマさまみてるよ!」
と追い立てるわたし。
改めない息子。

それを繰り返しているうちに、わたしの心の中に疑問がフツフツ。。。

なぜ、わたしは息子を疑っているのか
わたしは息子を責めるために「エンマさま」と言っているのではない。

嘘をつくのをやめさせるために読んだ絵本だったはず。
そもそも、なぜ嘘をやめさせたいのか?

嘘なんかつかなくても、正直に話して欲しいから。
偽りのないコミュニケーションを取りたいから。
ちゃんとあなたを理解したいから。

じゃあ、今疑いまくっているわたしは???

頭の中でぐるぐる考えが廻りました。

結果今は、この本を手に入れた理由が
「息子の態度を改めるため」
というのが間違いだったと今は思っています。

態度が改まるかどうかはわからない。
戒めの要素が強い絵本であっても、目に見える変化を周りが求めてはいけない。
他の楽しい絵本や、優しい絵本と同じように。
絵本は教科書でもマニュアルでもない。
絵本を読む(世界観を見せる)ことで心にタネをまいて
そこから何が生まれるかはお楽しみなのです。

この「絵本 地獄」は
タイトルや絵やコンセプトが戒め要素が強烈なだけに、
大人が結果(子どもの目に見えた変化)を求めてしまいがちですが、
あくまで、こういう世界(価値観)もあるんだよ〜
と教えるくらいでいいのかなと思いました。

今は
わたし「エンマさまみてるけど大丈夫?」
息子 「大丈夫!」(やばい!の顔)
わたし「じゃあ、オッケー」

で過ごすようにしています。

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