見出し画像

【絵本紹介】ちょっとあやしげなキツネとともだちの絵本「ともだちや」

ちょっとあやしげなキツネとともだちの絵本
「ともだちや」作・内田麟太郎 絵・降谷なな

子どもが保育園の頃、演劇の題目が「ともだちや」でした。
演劇では内容がアレンジされていたようで、本来のストーリーはわかりませんでしたが、
「ともだちや」というタイトルと設定にぐっと惹きつけられていました。

絵本を手にとって、まず表紙です。
かわいい、けどなんだかあやしい(笑)
ちょっと目がつり上がったキツネ(キツネは描かれるとき大抵そうなのですが)が、
浮き輪をつけて(水のシーンではない)、のぼりを背負って、提灯持って、
まゆ玉付きのヘルメット被ってて、、、
やっぱりなんだか、、あやしい(笑)

「ともだちや」という言葉から連想する
「お金でともだちを売ったり買ったりするなんてそのダメなんじゃないの?」
というちょっとした猜疑心が湧き上がります。

「ともだち」に「や」をつけことで感じる違和感と、
そのキツネの出で立ちがとってもマッチングしているなあ〜素晴らしい!
なんてストーリーとはちょとずれたところで感心しつつ、
このあやしげなキツネに意識を持って行かれたまま読み終えてしまいました。

だからなのか、お話の根幹の部分がすっと入ってきませんでした。
あれ?なんだこの違和感は、、、
あやしいと思っていたものが、どこからか心温まるものに変わっていたのですが、
はて、どこから??

何度か繰り返し読みました。
キツネの表情の変化や、登場人物の様子に注目し読み直しました。
すると、なんだか感じていたあやしさが消えていくところが見えてきてきました。

よく見ると、キツネの目のが最初と最後で違います。
あやしげに見えていたまゆ玉のついたヘルメットも最後は脱ぎ捨てています。
絵で表現された一つ一つが、心の変化を表しているように思えた時、
ちゃんと「ともだちや」を読めた気がしました。

考えながら読むのが好きなので、いろいろ書いてしまいましたが、
シンプルに最初と最後のキツネの変化が
「ともだちや」という絵本の大切なポイントなのだと思います。

キツネと登場人物とのやりとりと、キツネの様子をじっくり観察しながら
読んでみてほしい絵本です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?