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新聞記者辞めてどう?

昨年2月に新聞記者をやめて、1年以上たった。
今は広報の仕事に就いている。

新聞記者時代の友人からよく聞かれることがある。
「新聞記者辞めてどう?」

そうだよな。気になるよな。
新聞社時代は、仕事は充実していて楽しかった一方、将来不安が年々募っていた。福利厚生は毎年のように削られ、基本給も薄かったため、ほとんど残業代で稼いでいたが、その残業代も次第に少なくなっていった。

「10年後は紙の新聞がなくなるかもしれない」といわれる中、将来のキャリアを現実的に考えるのは当然のことだった。このまま新聞社に残るべきか、残った場合、何年間新聞社は存続するのか。私も頻繁に転職サイトを見ていたのを覚えている。

でも、なかなかやりたい仕事が見つからないんですよね、、、、
そう。分かる。

新聞社を退職する、と決断してから1年以上たった今、私は「辞めてよかった」と心から思っている。

理由は、世の中で求められている基本的なビジネススキルがどのようなものなのか分かるようになったから。それを分からずして、新聞社に居続けた場合、本当に新聞社でのキャリアが見通せなくなったときに手遅れになっていたかもしれないと思う。

基本的なビジネススキルとは何かというと、
●電話の仕方
●営業の仕方
●仕事のタスク分解の仕方
●他部署との連携の仕方
●ブログの書き方
●時間の使い方
●外注の仕方
など、取り上げ始めたらきりがない。

これまでスキルを磨いてきた記事の書き方は、WEBでは全く通用しないことを知ったし、新聞社時代と同じ電話のかけ方をしていたら、話したい人に電話を取り次いでもらえないことも分かった(事前に入念な準備が必要ということ)。

自分が想像していたい以上に、世の中は厳しかった。

最近ようやく基本的なビジネススキルが身についてきた。
これまで話す相手とは「平等」な立場でいることを意識していたが、最近は「下手」に話すのが抵抗なくなった。文章を書くときも、読者を徹底的に意識して書くことに慣れてきた。

ビジネス用語も少しずつ覚えていき、かつてはさっぱり分からなかった求人広告に記載されている仕事のポジションや内容も、今では理解できる範囲が広がった。

ようやくこの資本主義に受け入れられるようになった気がしている。

もし「新聞社辞めた方がいいかな?」
と聞かれたら、こう答える。「一回、転職してみたら?」

私は新聞社にいたとき、新聞社ほど社会問題を真剣に考えている組織はないと思い込んでいたけど、全然そんなことはなかった。

みんなこの日本社会と向き合って仕事をしている。少なくとも私の周りにいる人はみんなニュースに敏感で、新聞社にいたときよりもいろんな視点でニュースを見て、感じられるようになった。(いろんな事情を抱えている人や、価値観に触れられるようになったから)。

もちろん、新しい人と出会って、取材する機会は激減するので、そこは物足りない部分ではあるが、それ以上に多様なバックグラウンドの人と仕事をするのは大変勉強になって刺激があるし、生活していく上で必要なスキルを今学ばせてもらっている気がする。

もし私が今、いまのポジションに就いたまま新聞記事を書けるのであれば、より深く、そして多くの人の心に届く記事がかけるような気がする。新聞社で働く人のキャリアがもっと多様になったらいいのになー。

とにもかくにも、一度新聞社を離れてみると、視野がぐっと広がると思いますよ!


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