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二・三声のメカニズムが分かれば克服できる! ピンイン教本-3 日本人の苦手な二・三声!原因と克服。

中国語 ee!chai

各声調の特徴、そして日本人の苦手な二声・三声、その原因とどこを克服すべきかに焦点を当てました。

■ 要点                              各声調のポイント・単音節での声調、動画から学ぼう!                                一声(高・gao1)➤高く平ら!伸ばしすぎに注意、他                               二声と三声が間違いやすい原因は?転換点。               一音節での声調練習(北京大学テキストより)            

単音節での声調、動画から学ぼう!

YouTube動画の中から聞き取るのに良い動画をご紹介します。

中国語教材のレジェンドはこのカエルライフさんのチャンネルです。
声調を初めて学ぶ方はこの動画をまずご覧になってください。

動画のなかで5線譜のラインがありますね。中国ではこの5線譜で声調を図解します。

各声調のポイント

声調の定説から声調をみてみましょう。まず五度数声調表記法をご覧ください。1958 年に北京で発行された Modern Chinese Reader にも採用されているものです。

Chao (1948) は、音階による表記を用いて、四声のピッチの変化と併せて持続時間の特徴に注目し、「第 3 声が最も長く、第 4 声がそれに続き第 2 声と第 1 声は同じで最も短い」と報告しています。

声調に関する、言い方の定説はこの「5度数声調表記法」に由来していると思われます。

下記の図は前回の【教-2】でも紹介しました。北京大学の漢語語音教程の声調の原図を編集したものです。

下記が原図です。

ここから各声調を発声する際のポイントは次のようになります。一般的な解説にee!chaiで加えた部分もあります。

■ 一声(高・gao1)➤ 高く平ら!伸ばしすぎに注意。

早めに切り上げるのがコツです。汽笛のポーというイメージですが、これは高さと平(たいら)を強調しています。つまり上下にゆれたり、最後にトーンが落ちないようにすることが重要です。

Chaoの言う「第 2 声と第 1 声は同じで最も短い」にも注意を払いましょう。

■ 二声( 升・sheng1 )➤ すこし低いところから一気に!一番高いところに上げます。

一気に上げて、最後を突き上げて喉を絞めるのがポイントです。ぐっと上がって最後はさらに角度を加えて真上に突くという感じです。

■ 三声(低・di1) ➤ ドの低い音をさらに押し下げる。

苦しくなって押し下げきれずに、我慢ができなくて反動で最後が少しだけ上がってしまう感じです。ただ文章中での三声はほとんど半三声ですので、半三声を集中的に練習しましょう。
※ 出だしの押し下げる部分と残りの上がる部分は消えて、低く平らな部分だけを発音するため半三声と言います。
ともかく押し下げることがポイントです。

■ 四声(降・jiang4)➤ 一番高いトーンから一番低いトーンへと急降下します。

よくカラスの「カー」に例えられますが、トーンを落とすだけでなく、声に力を加えますとより四声らしくなります。イメージ的には飛び込みでまっすぐに落とす感じですが、落とす速度を早くするために力を込めるという感覚です。弱々しく落としますと放物線を描いて落ちる状態になります。それでは四声らしさがなくなってしまいます。

日本人の苦手な声調

この声調の中で日本人の苦手な声調があります。

「日本人学習者による中国語声調の習得の研究」という中国人研究者(朱虹氏)による博士論文のなかで、日本人の声調の特徴が記載されています。

吉永 他(1996) は、日本人学習者の中国語発音における難点を説明する中で、四声の誤りを次のように述べている。「一声を高く平らに伸ばすことが出来ず、下げたり上げたりする。四声は上がりがちである。二声と三声は最も間違いやすい。」その原因として、・・中国語のように一音節内で声調の変化がないため、発音と四声を同時に意識できないか、あるいは意識しても実際話をすると弁別できなくなることを指摘している。

http://hdl.handle.net/10097/57694 2.2.2 日本人中国語学習者の声調学習の研究

楊(1999)は・・日本人中国語学習者の声調の知覚テストを行い、・・以下のことが明らかになった: (1)四声の正解率のばらつきが大きい。第 1 声の正解率が最も高く、最も低いのは第 2 声である。‥日本人学習者にとっても聞き取りが困難として挙げられている中国語声調の組み合わせの上位に、第 2 声または第 3 声あるいはその両方が含まれるということがわかった。

この指摘は日本人の学習者なら思い当たることが多いと思います。整理をすると次の図のまとめになります。

二声と三声が間違いやすい原因は、転換点

つまり角度をつけて上がる部分が両方の声調にあり、かつ日本人の発音に音域差がないため、転換点が同じようなトーンの位置で上がってしまい、二声と三声の違いが分かりにくいのが原因です。

ですので三声は半三声をメインにして練習そしてともかく押し下げることがポイントです。、

■ 四声は上がりがち ➡ 本来思いっきり下げる四声が上がってしまうという、間違いは興味深いですね。私もよくこのミスをしますが、昇る・降りるのトーンは日本語にはないので、上がり下がりを、気を付けるぐらいでは治らないのかもしれません。それで四声を落とすとは考えないで、「拳で叩きつける!」というイメージにしています。

実際に中国人のパブリックトークを聞いていますと、熱がこもりだすと四声は強い口調になります。日本人の社会性からしますと強く声を出すのは、けんかの時だけで、普段強い声をだすのは非常識ということで、日本人は強く言うのが苦手です。でも四声を発音するときは、中国人ぽく力を込めて発音したほうが、二声との違いがはっきりします。

次回からは2音節での声調も加わってきます。三声三声が続く場合の変調や二声二声が続く場合の後ろの二声はどの位置からあげるのか、2音節での声調は、単語そのものの声調ですから、話すうえでとても大切になります。

できるだけ中国人が身に付けた方法を踏襲するため、彼らが小学校で学んだ発音練習も取り上げます。子供向けと決めつけて日本の教室では取り上げません。しかし中国人は大人になってもこの練習方法で発音のチューニングをします。