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(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる

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たこ焼き屋が舞台の、ご飯&あやかし&人情ものの連載小説です。お楽しみいただけましたら嬉しいです( ̄∇ ̄*) ★創作大賞お仕事小説部門参加中 ---------- 大阪市南部のあび…
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2023年7月の記事一覧

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<4章第3話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 4章 期間限定の恩恵 第3話 戦いのあと 「……疲れた」  「さかなし」の営業を終え、身体が疲弊し切った渚沙は店内のテーブルに突っ伏した。竹ちゃんが「お疲れさまカピ」と氷が入った麦茶を持って来てくれる。 「ありがとぉ〜」  渚沙は叫ぶ様に言うと、きんと冷えた麦茶を一息に喉に流し込んだ。まだ暑い季節、鉄板

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<4章第2話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 4章 期間限定の恩恵 第2話 てんてこ舞いがやって来た 「たこ焼き8個ちょうだい。持ち帰りで」 「はい。味はマヨソースでええですか?」 「うん」 「はーい。お待ちくださいねぇ」  渚沙は焼き上がっているたこ焼きを8個、発泡スチロールの容器に入れる。イートインなら舟皿に入れるのだが、お持ち帰りなら蓋が付

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<4章第1話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 4章 期間限定の恩恵 第1話 飛び込んできたもの  その日の「さかなし」営業時間が終わり、またいつもの様に茨木童子と葛の葉が訪れる。基本的にはいつもタダ飯、タダ酒を遠慮無くかっくらう2体なのだが。 「おら、今年もきのこが生え始めたで」  茨木童子がそう言って、細長い緑の葉っぱで編まれた袋をどさっとテーブル

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第6話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第6話 もう大丈夫だから  ハーベストの丘からの帰りのバス、そして電車の中で、仔カピバラに戻った竹ちゃんは無言だった。だがその表情には満ち足りた様なものが見える気がした。  つぶらな黒い目は柔らかな弧を描き、口元も心なしか緩んでいる様に思えた。  家に帰り着き、自室で部屋着に着替えてリビン

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第5話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第5話 そばにいるから  まるで時間が経つのを忘れてしまったかの様に、竹ちゃんはカピバラハウスの中を見つめ続ける。渚沙はそんな竹ちゃんに寄り添うつもりで、その場にしゃがみこんでいた。  日傘が無ければ暑くて耐えられなかっただろう。渚沙は時折バッグに忍ばせたお水のペットボトルで水分補給をする。

たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる のこれから

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 創作大賞にエントリーしている、この「たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる」ですが。 一昨日の7月17日でエントリー期間が終了しました。 期間内に完結しなかったのですが、連載はこのまま続けます。 ただ、エントリー分を大きく改稿などをすることはできないので、お話そのものは続くのですが、エピローグページからのリンクはしません。 念のため、エントリー期間最後のお話になった3章4話から、5話へのリンクも貼りません。 なので、3

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第4話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第4話 目の前にいるのに  安倍晴明の大阪逗留は年に数回。渚沙と竹ちゃんはたこ焼きを手に訪ねるのだが、その度に竹ちゃんの元気が少し無くなるのが気にはなっていた。それはやはり、仲睦まじい親子を目にして、自分の家族を思い出しているのでは無いかと渚沙は想像する。  だから渚沙は言うのだ。「竹ちゃん

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第3話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第3話 悲劇であったとしても  渚沙が焼いたたこ焼きは、そのほとんどを安倍晴明が平らげてしまった。葛の葉は少しつまんだ程度。渚沙と竹ちゃんはもともと食べるつもりは無かったので、葛の葉が良いのなら問題無い。 「うむ、今回も旨かった! 渚沙、ありがとうなぁ」 「いいえ、お口に会うたんなら良かっ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第2話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第2話 有名人を訪ねて  水曜日。「さかなし」の定休日、渚沙はお昼ごはんの後片付けを済ませ、キッチンのコンロに家庭用のたこ焼き用鉄板をセットする。  昨夜、閉店後に仕込んでおいた水出しのお出汁を使って、生地を作る。たこを解凍して、みじん切り紅生姜と天かす、青ねぎの小口切りも用意した。  そ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<3章第1話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 3章 親子の絆 第1話 親が子を思うこと  その日も、閉店後の「さかなし」には茨木童子と葛の葉が訪れ、日本酒のグラスを片手に馬鹿笑いである。  季節は夏に差し掛かり、蝉の声が届き始めていた。「さかなし」の店内もエアコンが必須になっている。  この2体が来る様になって、始めのうちは上のリビングを使っていたの

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第10話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第10話 賑やかな日々へ   茨木童子はすっかり酔っ払って床で寝込んでしまった。渚沙は手早く後片付けをし、温かいほうじ茶を入れて、食後の一息を吐く。 「渚沙ちゃんごめんねぇ〜。茨木は引きずって帰るからねぇ〜」  やはり葛の葉は悪びれずに言う。葛の葉はとてもスタイルが良い。その細

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第9話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第9話 驚きの連続 「今日はたこ焼きとか食わしてくれるて聞いたで。人の食いもん久しぶりやわ」 「ほんまにねぇ〜。楽しみやわぁ〜」  茨木童子と葛の葉は案内した椅子に掛け、朗らかに話す。あまりのことに渚沙はまだぼんやりとしてしまっている。 「渚沙、しっかりするカピ」 「う、うん

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第8話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第8話 鬼と狐との出会い 「竹ちゃん、いらっしゃい!」  渚沙が満面の笑顔でドアを開けると、そこには竹ちゃんがちょこんと立っていた。ああ、今日も何という可愛さだろうか。癒される。渚沙がほっこりしていると、竹ちゃんが挨拶もそこそこに口を開いた。 「うむカピ。ところで渚沙、悪いのだカ

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<2章第7話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 2章 渚沙と竹子の出会い 第7話 竹ちゃんを迎えるために (また竹ちゃんに会えるんや。楽しみやわぁ)  次の定休日までの1週間、渚沙は楽しみでならなかった。  竹ちゃんと囲んだ食卓は楽しいものだった。また充実した時間が過ごせれば嬉しい。次はたこ焼き以外に何を用意しようか。竹ちゃんにはいろいろなものを食べて