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(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる

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たこ焼き屋が舞台の、ご飯&あやかし&人情ものの連載小説です。お楽しみいただけましたら嬉しいです( ̄∇ ̄*) ★創作大賞お仕事小説部門参加中 ---------- 大阪市南部のあび… もっと読む
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2023年5月の記事一覧

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<1章第5話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 1章 弘子おばちゃんの憂鬱 第5話 お手紙の提案 「手紙?」  数日後、またおやつの時間ごろに来てくれた弘子おばちゃんに、渚沙がお嫁さんにお手紙を書いてみたらどうかという話をすると、きょとんとして聞き返して来た。 「うん。それやったら落ち着いて、話も整理できるんちゃうんかなぁて思ったんよ」  すると弘子

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<1章第4話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 1章 弘子おばちゃんの憂鬱 第4話 ひとつのアイデア 「ちっちゃいころの童子丸ねぇ、ほんまに可愛かったんよ〜。いつもわたくしの後を付いて来てねぇ〜」  葛の葉はそう言って、懐かしそうに目を細めた。童子丸とは安倍晴明の幼名である。 「それがねぇ、おっきなって、まさかわたくしらを調伏する側になるやなんてねぇ〜

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<1章第3話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 1章 弘子おばちゃんの憂鬱 第3話 妖怪たちとの戯れ  弘子おばちゃんは今でいうところのシングルマザーである。これはまだ渚沙のお祖母ちゃんが「さかなし」の女将だった時、弘子おばちゃんが世間話の様に言っていたことなのだが。この時渚沙は確か中学生の少女だった。  弘子おばちゃんがシングルマザーになった原因は、当

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<1章第2話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 1章 弘子おばちゃんの憂鬱 第2話 弘子おばちゃんの溜め息  塩味の焼きそばにはお塩も使うが、味を補うために顆粒の鶏がらスープの素と日本酒も使う。  渚沙がフライパンを操る横では、お湯と糠に浸かった筍がことことと煮えている。1時間茹でて、あとは常温になるまで放置である。  焼きそばの具は豚肉ときゃべつ、人

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<1章第1話>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる 1章 弘子おばちゃんの憂鬱 第1話 「さかなし」の作り方  4月も下旬となり、すっかりと春の陽気である。風はまだ少し涼やかだが、お日さまが心地好い。  「さかなし」の定休日である水曜日のお昼前、渚沙はお家のごはん用に買って来た生の筍をじっと見つめ、ぽつりと呟いた。 「春限定メニューに、筍入れんのどうやろ」

(連載小説)たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる<プロローグと各話リンク>

こんにちは。ご覧くださりありがとうございます( ̄∇ ̄*) 完全書き下ろし。noteでのみご覧いただけます。 少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。 どうぞよろしくお願いします! ★創作大賞お仕事小説部門参加中 たこ焼き屋カピバラ、妖怪と戯れる プロローグ  たこ焼きを焼く時に、まず生地を流すかたこの切り身を入れるか、迷うところである。  ……坂梨渚沙は迷わない。ステンレスの容器に積まれた切り身のたこをわし掴むと、器用にひと切れずつたこ焼き鉄板の穴に入れて行く。