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いつから始める?中学受験準備  未就学~低学年でできること

近年「少しでも早くスタートを切った方が有利」と考える中学受験予定の保護者が増え、首都圏の大手中学受験塾では開講したばかりの「新1年生コースが満席」になっている事態が多発しています。

「中学受験の低年齢化」は、保護者の「早く入塾しなければ出遅れる」という焦りが焦りを生み出して過熱した結果のようにも思えます。
本当に低学年からの入塾はこれからの中学受験にとって必須なの?と疑問をお持ちのご家庭も多いことでしょう。

入塾後は、高額な塾費用が家計に影響するだけでなく、通塾する本人や、送迎や模試の参加の付き添いなどで家族の生活もガラッと変化するため「いつから塾通いをするか」は中学受験予定の各家庭にとって重要なポイントです。

中学受験の塾入塾のタイミングや、早くから受験塾に入塾するメリット/デメリット、本格的な受験勉強が始まるまでに必要な学力の土台づくりに、未就学~低学年にかけて家庭ではどのような準備や取り組みをすればよいのか、などをご紹介します。

1.中学受験を決めたきっかけや、入塾時期で一番多いのは?

■多くの受験生が3年生の2月から通塾を開始!

弊社が2015年~2020年に行った、中学受験終了者へのアンケート「合格ロードマップ」の調査では、「3年生の2月~4年生の間に通塾をスタートする受験生が一番多い」という結果が出ています。

また、習い事のメディア「EDUSEARCH」が昨年末、中学受験経験者と受験予定の300名を対象に行ったアンケートによると、 入塾時期は小学校3年以下が31%で最多。続いて4年生が28%、5年生が25%と続きました。両方の結果から、小学校1・2年生から入塾する受験生も決して少数派ではなさそうですね。

■中学受験スタートのきっかけは?

中学受験が過熱傾向にある昨今、子どもたちが中学受験に向かうきっかけとはなんでしょうか? 「EDUSEARCH」のアンケートでは回答の多かった回答は上から順に

①中高一貫で大学受験に有利だと思うから
②教育内容がよさそうだから
③高校受験や大学受験がない環境が良いと思うから
④学力レベルが近い生徒がいるから
⑤校風がいいから
⑥公立校には行かせたくないから

といった意見がありました。 そのほかには「人脈」「設備」「部活」「周りが受験するから」「制服が魅力的」「親が受験したから」という理由も。

「高校受験がない」ということは、精神的にも時間的にもゆとりをもって過ごせるため、中高一貫校で過ごす6年間は、一層厳しくなる「大学受験」を突破する学力を身に付けるために、最適な環境と言えるでしょう。

2.なぜ中学受験は4年生スタートが一番多いの?

数十年前まで、中学受験勉強のスタートは「5年生」が最多でしたが、今では大手塾が「4年生から本格的な受験カリキュラム」をスタートさせ、多くの中学受験生が3年生2月の「4年カリキュラムのスタート」時点からの入塾を開始します。 多くの受験生が4年生から中学受験勉強をスタートする理由はどこにあるのでしょうか?

■4年生でのスタートが多い理由

現在の中学受験では、「中学受験に必要な学習範囲を勉強するためには、約3年間かかる」と考えられており、「3年生の2月からカリキュラムを緩やかにスタートさせ、新四年生からは本格的な受験勉強にシフトとするのがよい」と言われています。

集中力の続かない低学年から通塾すると、途中で疲れが出始めやる気の継続が難しくなる可能性もありますが、かといって「普通の子」が多岐にわたる中学受験の出題内容を5年生からの2年間で網羅するのは大変難しいといわれています。 多くの子どもが4年生以前から学習している内容を短期間で詰め込まなくてはいけないわけなので、必然的に志望校選びにも影響してきます。

4年生からの3年間で、中学受験に必要な学習内容を十分に学び、学校選びや志望校対策を余裕を持って行う、というのが現在の風潮です。

■大手塾の4年生はどんなことを、どれくらい勉強する?

塾によってそれぞれカリキュラムは異なりますが、小学校では学ばず、中学受験では頻出の「つるかめ算」「和差算」といった特殊算まで4年生のカリキュラムで進む塾も少なくありません。 4年生の時間割と、中学受験する上で一番重要視される「算数」の4年生のカリキュラムを、大手塾で見比べてみましょう。

①サピックス
サピックス4年生の授業は週2回。「算数A・算数B・理科」の日と、「国語A・国語B・社会」の日に分かれ、各科目の授業時間は60分。17時~20時の3時間の授業を受けに、週に2回通塾します。 サピックスの4年生は「中学受験に向けての基礎学力を定着させる時期」。算数では徹底的に計算力を付けることを目的とします。 基礎となる分数や小数のかけ算・わり算を含む計算に関するすべての分野は4年生までに徹底的に履修し、続いて「つるかめ算」「過不足算」「和差算」「やりとり算」「植木算」「方陣算」にも触れ、中学受験に必須の「算数の発想力」を4年生の時点で身につけます。

②日能研
日能研の4年生は一般的に16:50~19:20の2時間半の授業×週2回と、隔週の土曜日テストに通塾します。 日能研4年生の算数の履修範囲は他の大手塾と比べると比較的ゆっくり。他の大手塾の4年履修範囲である、立体図形、円の単元、約数・倍数・公約数・公倍数等は5年生で行います。 授業で学んだことと、家での復習、隔週のテストをつなげる学習サイクルをまわしながら、学年が進むにつれて同単元を発展させ学ぶ「らせん構造」的学習で、じっくりと確実な力をつけていきます。

③四谷大塚
四谷大塚4年生「本科コース」の場合、週2回の授業と1回の「週テスト」で週3回の通塾です。平日授業の授業は一般的に16:40~20:05の2時間半。50分の授業(演習+HR)×3科目を行います。 2021年にカリキュラムの改定があり、4年生の算数では、それまで夏休み以降に履修していた、中学受験において数の性質をとらえる基礎となる「約数・倍数・公約数・公倍数」の単元を夏休み前に実施。 4年生の時点での進度を上げてきているという見方が一般的です。

どの塾でも、4年生のスタートから1日2時間半~3時間の授業を受講し、難しそうな、恐るべき量の単元を学んでいくことに改めて驚かれる方も多いでしょう。 「小学校3年生までは遊んでばかりでほとんど勉強をしてこなかった我が子がいきなり中学受験塾の授業についていくことができるのかしら?」と不安になってしまいますね。

3.早くから入塾するメリット/デメリット

4年生(3年2月)からの入塾が一番多いとはいえ、現在注目すべきポイントとなっている「中学受験の低年齢化」。 その原因の一つとなっているといわれているのが、「コロナ禍での教育格差」と言われています。学校休校期間が続く間、多くの私学はいち早くオンライン授業を取り入れ、休校にして課題を出すだけの公立中学校との差が話題となり、私学傾向が高まりました。

また、休校期間に学校の授業がストップしたことで、低学年でつけるべき基礎学力をつけることができなかった子どもが多い中で、当時公文や塾などで、オンライン授業を受講できていた子どもとの学力に差が開き、 それに焦りを覚えた保護者が多かったことが、低学年からの入塾希望者増につながりました。

加熱傾向が問題視されることも多い「中学受験の低年齢化」ですが、低学年からの入塾のメリットやデメリットには何が挙げられるのでしょうか。

■低学年から入塾するメリットは?

高学年になるほどハードになる中学受験塾も、低学年では塾に通う回数も少なく、宿題も少なめ。この時期は「学ぶことの楽しさ」や「勉強の習慣づけ」が通塾の主な目的です。

低学年からの通塾メリット①
受験までの時間のゆとり 受験までの時間にゆとりがあるので、子どもの「なぜ?どうして?」を大切にしながら受験に必要な思考力や、知識の蓄積をすることができます。

低学年からの通塾メリット②
学習習慣が身につく それまで何もやってこなかった子どもが、いきなり4年生からのハードな通塾に対応するのは難しいもの。低学年からの通塾で塾からの宿題を習慣づけることで、緩やかに学習習慣をつけていくことが可能です。

低学年からの通塾メリット③
スケジュールを意識できるようになる 週に数回の通塾で「遊び・学校・塾・習いごと」などのスケジュール感覚が身に付きます。「今日は塾があるから遊びはこれくらいで切り上げよう」「ゲームがしたいから、塾の宿題は〇時までに終わらせよう」といった、週単位、日単位、時間単位の割り振りを、低学年のうちから親子で一緒にすることにより、高学年では必須の勉強スケジュールを自然と自分で立て、実行できるようになるでしょう。

■低学年から入塾するデメリットは?

低学年からの通塾は、中学受験に有利になるようにも思えますが、デメリットもあると言われています。 特に、集中力の続かない低学年では、勉強を苦痛に感じてしまうタイミングも早く「勉強って楽しい!」と感じるより前に「嫌い」になってしまう可能性も。

また、勉強が簡単な低学年で成績上位で楽しく通塾できていた場合、多くの子どもが入塾してくる4年生の時点で、成績やクラスが急降下して一気にやる気やモチベーションを失うケースも少なくありません。 4年生からは中学受験カリキュラムが本格的にスタートするため、「本当に理解している子」と、「それまでの通塾でなんとなくできていた子」との間に差が開きやすくなります。 中学受験のスタートが速いことで最初は優位にたてていても、4年生以降の成績やクラスを維持できるわけではなく、難関校に合格するとも限りません。

難関校に多くの合格者を出すような人気の受験塾で、地域によっては3年生の2月・4年生の途中からの入塾が困難になっている事実が保護者の焦りを加速させ、通塾開始の低年齢化傾向が加速していますが、 そういった塾でも入塾説明会では「入塾が早い程良い結果になるとは限らない」ということは明言しています。

低学年の子供を中学受験塾に入れるべきか悩んだ時は、子どもの適性や、デメリットも含めよく考える必要がありそうです。

4.低学年から家庭で準備できること

高額な塾費用や、子どもの適性、低学年から通塾するデメリットなどを考えた上で、低学年は通塾せず4年生からの通塾を決めていても「低学年から入塾している子との差が開いてしまわないかしら……」と心配しているご家庭も多いことでしょう。

低学年は学力の土台となる力をつける重要な期間です。 数年後に始まる本格的な中学受験勉強を、ただの手段として苦痛の中で行うのではなく、知的好奇心をもって楽しみながら進めていくためには、この時期に学習習慣を身につけ、勉強の楽しさを感じることが必要です。 そのために家庭で準備できる一例をご紹介します。

■算数力を身に付けるには

未就学~1年生でできること
・一緒に買い物にいって、おつりなどを計算させながら足し算、引き算を理解させる
・折り紙や積み木あそびで図形に慣れる習慣をつける
・簡単なドリル等を活用し、毎日決まった時間に計算練習を行う

2、3年生でできること
・少しレベルの高いドリルなどで毎日決まった時間に計算練習を行う
・掛け算の九九を夏ごろからマスターする
・普段の生活で、「単位」を意識させる。
・計算練習を1人で決まった時間に行えるように習慣づける(親は少しずつ手を放す)
・1より小さな単位を理解する、分数の足し算をマスターするなど

■国語力を身に付けるには

未就学~1年生でできること
・ひらがな、カタカナの読み書きを覚える
・季節や行事を切り口にして語彙を増やす
・読み聞かせを行い、少しずつ子どもに朗読させる

2・3年生でできること
・図書館などで子どもに本を選ばせ、親子で意見交換をする
・知らない言葉を国語辞典で調べる習慣をつける
・積極的に難しい言葉を親子の会話の中で使う
・四字熟語や慣用句を使ってことば遊びをする

■社会・理科の力を身に付けるには

未就学~1年生でできること
・スーパーなどに連れていき、売っているものについての会話から、関心を高める
・水族館、動物園、博物館で生き物への関心を高める
・親子で地図や地球儀を見る習慣をつける
・絵日記を書く習慣をつける

2・3年生でできること
・身の回りのことに疑問を持たせ、食事時などに子どもに質問してみる
・旅行に行った際にその土地の名産品や地形、名所などに目を向けさせる
・親戚や知人の住む土地に興味を持たせる
・疑問をインターネットや図鑑で調べる力を身に付ける
・歴史漫画や偉人伝、小学生新聞を読んで歴史や社会情勢に関心を持たせる

5.中学受験の貴重な経験談が満載!「合格ロードマップ」

「いつごろから」「どういった塾に」通えばいいのか、そもそも「中学受験をするべきか」は、子どものタイプや能力によっても大きく異なります。 専門家の意見は大変為になりますが、本当に知りたいのは「身近な経験談」ではないでしょうか。

「中学図鑑」に掲載中の「合格ロードマップ」には、50例以上の中学受験の体験談が詰まっています。
難関校に合格した受験生一人ひとりの、
・受験校と合否 ・低学年の時にやってよかったことや、やっていた習いごと ・受験勉強の開始時期や、中学受験を決めた理由
・通っていた塾のことや成績の変遷
・使っていた参考書やそのレビュー
・受験中のスケジュール
・受験を経験して得たこと、後悔していることなど ・これから受験する受験生へのアドバイス

など、詳細な情報を「親」または「子」の視点から紹介しています。 例えば、5年生の7月に入塾を開始し「慶應義塾中等部」に合格した「ゆうさん」や、5年生の5月から入塾し「桜蔭中学校」に合格した「ひつじさん」の「合格ロードマップ」は、 低学年からの通塾に不安をもつご家庭にとって、なんらかのヒントになるかもしれません。

中学図鑑」や「オンライン家庭教師のラコモ」を活用し、一人ひとりにあった進路を見つけていただけますと幸いです。


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