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ランゲージアーツ、帰国子女の日本での大学入試ノウハウ

日本が誇る世界的企業の駐在員として、三度の海外赴任を経験。中でも長男と長女を帯同した二回のベルギー生活において、海外の教育と日本の教育の違いについて目の当たりに。

また海外帰国子女が直面する日本の大学入試についての経験談もお持ちのY.Hoshinoチューターにお話を伺いました。

1男1女の父、HOSHINOさん

チューターになったきっかけは?

子どもを海外に帯同するとき、海外での教育についての情報のなさを実感していました。唯一の判断材料と言える学校ホームページを見ても、自分自身が海外の教育を受けていないので、あまりピンと来ないものがありました。

そんなことから海外赴任する前の人たちに、海外の教育の実情について情報共有できる場があるといいなと感じていました。Edu.torのプラットフォームで、経験者として若い人たちに色々伝えられたらと思ったのがきっかけです。

お子さん二人とも、ベルギーのインターナショナルスクールでIB(国際バカロレア)の教育を受けました。日本の教育との違いについてどんな印象を持たれましたか?

ベルギーには子どもたちを連れて二度赴任しました。一度目は1997年から2000年までで2人とも未就学児でした。二度目は2009年から2014年までで、それぞれ中学高校生活の5年を過ごしました。

首都ブリュッセルの中心部にあるグランプラス
ヴィクトル・ユゴーが世界で一番豪華な広場と驚嘆したことでも有名

長男はIBDPを取得し、日本の大学へ。

長女は高3で帰国。日本の高校に編入し、一般入試で日本の大学を受験しました。

高校の卒業式の様子。最後に恒例の帽子投げがあります。

親としては見守るだけでしたが、勉強の仕方、授業の進め方が全然違うと感じました。IBの長所としては、ランゲージアーツ(=言語技術)をベースとした問題解決型の教育にあると思っています。大学で通用する論文の書き方や討論のやり方が教育に組み込まれています。「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の四技能においてのランゲージアーツの手法が、数学、社会、理科、英語、美術、音楽、体育など各科目に適応されています。

一方日本の教育は、小学生のうちからどんどん知識量を増やしていきます。知識が多いのでそれらを組み合わせて考えることができるようになっているのがとてもいいことだと思います。

しかしながら、日本の教育にランゲージアーツが入っていないため、相手を説得する論理構成などを学ぶ機会はなかなかありません。議論をしても感情的になったりごちゃごちゃしたりするケースが見られます。さらに、基本的に答えを求める教育スタイルであることから、出題者の意図を察して答えを求める、主体性のなさにつながってしまうこともあると思っています。

日本の教育に求められているもの

2020年に教育指導要領が大きく変わり、「言語能力」の育成がより求められるようになりましたが、教える側の教師自体が「言語能力」に重点を置いた教育を経験したことがないというのが実情です。

グローバル標準の教育であるランゲージアーツは筋道立てて論理的に伝えることができる「型」のようなものです。英語のスキルだけ高めれば世界で活躍できる人材になれるわけでは決してないわけです。

ランゲージアーツの考え方を分解しますと下記になります。

① 自分で「問い」を立てる
② 「問い」に対する解決のプロセスを自分で考える
③ 自分の考えを分かりやすく相手に伝える

①~③は、社会に出てからも役立ちます。日本語でいいので、家庭の会話で意識するだけでも違ってくると思います。

異文化・帰国後の対応について教えてください。

ベルギー時代、長男は野球、長女はソフトボールとフルートをしていました。勉強だけでなくて、スポーツだったり音楽だったりのコミュニティーに属すると色々な広がりがあると思います。私自身も親のボランティアとしてハンバーガーを焼きながら交流するなど、良い機会を得ました。

ISST(International School Sports Tournament:全欧州大会)で優勝
メンバーは日本も含め7カ国の多国籍チーム。会場はエジプトのカイロ

インターナショナルスクールにもよりますが「サードカルチャーキッズ」について教えるところもあります。サードカルチャーキッズ(TCK)とは、成長期の大部分に、出身国以外の文化で育った子どものことをいいます。

長男は日本人としてのアイデンティティが強いタイプなのですが、長女は日本人ともちょっと違うし、ベルギーにいたからといってベルギー人とも違うという感覚を持っていて、アイデンティティに悩んだ経験があります。

TCKという考え方があるという知識があるだけでも意義があります。答えが見つかるか見つからないかは別にして、子どもに対しては何に悩んでいるのか、良く話を聞くことが大切だと思っています。

日本の大学の帰国子女入試について教えてください。

大学によって帰国子女入試の適用条件が異なります。また条件も毎年変わりますので、確認が必要です。

国立大学、早慶は、外国の学校の「卒業」が要件に入っています。
従って帰国タイミングの関係で卒業できない場合、大学の選択肢が狭くなりますが、特に私学の場合は一般入試も視野に入れても良いと思います。

実際に娘は私の任期の関係で卒業できませんでしたが、帰国子女入試、一般入試を受けて、無事に希望校に入学しました。

海外の学校は6月に卒業します。帰国子女入試の時期は、私学ですと9月から11月、国立は11月〜12月、2月〜3月です。試験は一般入試と同じ問題の大学もあり、帰国後、帰国子女専門の予備校に通う必要がありますので、入念な事前準備が必要です。

相談を考えていらっしゃる方へ一言お願いします。

ランゲージアーツの考え方、取り組み方についてお話できます。また、帰国子女の日本の大学入試についてもお話できます。どうぞお気軽にご相談ください。

今回インタビューしたチューターのプロフィールはこちら
https://edutor-tutor.com/tutors/121


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