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帰国子女教育を考える会の研究会

帰国子女の教育を考える団体はいくつかありますが、その中の一つである大阪にある、「帰国子女教育を考える会」のオンライン研究会を2月末に聴講させて頂きました。
https://www.osk-ymca-intl.ed.jp/ihs/returnee/

当日は、過去にデュッセルドルフ補習授業校に通われていて、現在は帰国されて関西の学校に通われていらっしゃるご兄弟およびお母様からのお話と過去に補習授業校の校長先生を経験された2名の先生によるご講演がありました。海外の補習授業校に通われていらっしゃった際の生々しい心情や元校長先生からは、日本人学校とは違う学校運営のご苦労など貴重なお話が伺えました。

■補習授業校とは・・・
海外子女教育振興財団の資料によると、2021年1月時点の海外の補習授業校は230ほどあり、生徒数が3名程度の小規模校からサンフランシスコやロサンゼルスのように1,000名を超える大規模校まで様々。基本的には、現地校やインターナショナル校に通う生徒を対象に週末に日本の学習指導要領に準拠した国語や数学などの科目を習う。校舎は持たず、現地の学校や日本人学校の校舎を週末だけ借りて実施。運営母体は現地に進出している企業の駐在員を中心とした地元の商工会などが多く、運営費は授業料、企業からの負担金、外務省等からの政府系機関の補助金など。
◯(参考)文部科学省のページより
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/002/001.htm

■実際に通われていらっしゃった生徒さんや保護者からのナマの声
・「平日はインター校に通い、土曜日は補習校に通うのは大変だったので途中で通うことが難しくなる生徒もいた」
・「当たり前だが日本と違い書店でも日本語の本はないので、とにかく日本語に飢えていた。漫画でも何でも読み漁った」
・「補習校では、平日には会うことのできない日本人の友達に会うことがとても楽しみだった」※補習校の門をくぐると日本語で話すことが普通
・「日本にいる祖父母に会った際に日本語でちゃんと話したいことが補習校で日本語を学ぶモチベーションだった」
・「学校運営には父母会がかなり関わっており保護者としての負担も大きかった」
・「週1回の授業のため家庭での宿題も多く、保護者のサポート時間も必要だった」
・「自らの意思で永住を決めている方々も多かったが素晴らしい方が多く刺激的で学ぶことが多かった」

■補習校の校長先生からのお話
・「教員は駐在員の関係者などが多く、日本の免許は必要がないが教育熱心な方。駐在が終えて欠員が出ると探すことも大変だった。」
・「週末だけということで、日本の学校の2倍以上のスピードで進む」
・「校舎を借りて運営しているため、飲み物は水だけ、食べ物も汚れるものなどは不可など気を使うことも多かった」
・「週1回しかないため学校の話題も少なく、毎月の学校便りを書くためのの話題を集めるため授業などの現場にも積極的に顔を出した」

(感想)
補習校では保護者も運営に積極的に関わらないといけない大変さがある一方、そこでしか得られない貴重な経験があったとのことで素晴らしい制度だと思う。一方で、日本人学校と違い継続的に運営する大変さも痛感した。コロナ禍で海外に駐在する駐在員も減少するとよりダメージも大きいのではないかと心配になった。

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