「女性活躍」ってワードどうなの?と思ってたらやっぱり消えた話
以前書いた記事で、弊社インターン生が女性のキャリアの問題について何かやろうとしているって話をしました。
で、あれから程なくしてこの話は立ち消えたみたいです。正確には形を変えて残ってるんですけど、とにかく企画のタイトルでもあった「女性活躍」というワードや性別に関する方向性が完全に抹消された。
まあでも、正直なところ私も「なんか、これどうなの?」とぼんやりながらも否定的に感じていたので、あるべきところに帰結した感はあります。
この記事はその「ぼんやり」の部分をもうちょっと言語化しよう、そして反省しようという試みのために書いています。
社内で何があった?
この企画の中心に据えられていたインターン生の女性と、弊社の担当者間のやりとりで路線変更が決まったみたい。なので私は委細を知らないんですけど、どうもインターン生がだいぶ反発したっぽいです。
「女性がこれからの社会で活躍する形を考えるならまず男性がこの輪に入ってこないと無理じゃん」
「色んなキャリアプランを考え悩んでいる女性社会人や女子大生だけで集まって、なんか話したりして、それ意味ある?」
私もちょっとだけ参加していたミーティングで、要約するとこんな感じのことをインターン生が言ってたように記憶しています(ここまで強く噛みついてないけど、遠回しな遠慮は無しに直球で否定してたのは覚えています)
担当者的には、「そうは言っても実際にやっていくには段取り・順序ってものがあるから、まずは女性の会みたいなものを作って、それが形になってきたら男性にも加わってもらう、って順番じゃないか?」と考えていたみたいなんですね。
でもこの後、当事者同士だけでも話し合いがあったらしく、そこで路線変更が決まったようです。
「女性活躍」のどこに違和感がありますか?
これを読んでる皆さんはどう感じます?
私は単刀直入に「古い」「時代遅れ」って思っちゃってました。
男女共同参画社会という堅めの言葉が日本でトレンドになって男女共同参画社会基本法が施行されたのが1999年。
関連してジェンダーという言葉が日本で認知されだしたのもこの前後ぐらいから。
以後、男女平等・性差解消的なニュアンスでジェンダーフリーという言葉も登場しましたが、調べてみると今はあまり使われてなさそうです。
ここ何年かではジェンダーフリーよりジェンダーレスという概念の方が話題になっているように感じます。こちらはファッションとか、もっとカジュアルな場面でも使われている印象。
ジェンダーと言うと堅苦しい社会的主張っぽさもあったのが、だんだん生活に根ざした当たり前の概念に認識が変わっていったんじゃないでしょうか。ランドセルもカラフルになって既に久しい。
とにかく、性別や性差に関する話って21世紀の間に目まぐるしく変化してるんですよね。
例えばLGBT…そもそもちょっと前までそんな言葉すらありませんでしたが、今や後ろに色んなアルファベットがついたりそれの解釈が頻繁に変わったりして、非専門家の私には正直最新の状況がよく分からないぐらいです。
「重いものを男性に運んでもらうのは男性差別」なんて価値観もある、女性の社会進出率が非常に高いと言われているスウェーデンでは、
「肉体労働はどうしても男性有利になり、そこで男女の雇用差や所得差が発生している」という、だいぶ進んだ部分で新たな男女差の問題に直面しています。確かに肉体の男女差は埋めようがないですからね…(本当にどうすれば解決するんだろ?)
それから、細かく言及するとキリがないですけど近年はSNS上でもこのテの話題や論争が(悪いものも含めて)尽きない。議論が先鋭化しすぎた結果、反論に対する更なる反論、体制批判だったはずが逆に世論から批判される、なんて裏返りも日常茶飯事です。
(これすらも最近というほど最近の話でもない、すっかり慣れきってしまった)
こういう状況なんですよ、この記事を書いている2021年って。
その今に「女性が活躍できる社会を築くために何ができるか、女性たちで集まって話し合おう」はなあ…
周回遅れ感がなあ…
しかも男性だらけの企業のオッサンが「女性活躍」って言うの、いかにも「活躍させてあげよう」的な見下しニュアンスで、その価値観こそがまさに今の社会の問題なんじゃないのかなあ…
私はおそらく、そんなことをぼんやり感じていたんだろうと思います。当事者の価値観が古い。
ビジネスするなら価値観は常にアップデートしとかないといけない(戒め)
この記事を書こうと思ったもう一つのきっかけは、↓のツイートを見かけたからなんですね。
「このご時世にそれはないでしょ!」みたいな事例って、組織規模や業界を問わずどこにでもあるんだなあと思った。でも全然他人事じゃない。
ここで言いたいのはジェンダー論とかフェミニズムとかの是非の問題ではなく。
ビジネスやる上で市場のニーズを把握するのは当たり前のこと、まして今やちょっとでもおかしなこと言うと叩かれて炎上する時代に、社会情勢をまるで理解していない活動やワードチョイスをしてしまう。
それはビジネスマンとしての嗅覚に問題があるだろうということです。
でもそれを弊社も未遂とはいえやろうとしていたので全然他人事じゃない。
戒めも込めてこの記事を書いたのでした…。
未来へ
この件のMVPは社会人に怯まず果敢に噛みついたインターン生なので無限に褒めちぎりたい。本当にありがとう。
それから後日談ですが、これとは別件のとある社外ミーティングで外資系企業の女性の方が、
「ダイバーシティの文脈で女性活躍なんてことを言うのは日本だけ。他国ではもう当たり前のことだからそんな言葉は出てこない」
「まずは男性(特にオッサン)の意識改革が必要」
って言ってたらしいです。ダヨネー。
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