見出し画像

【Edu-more plusライター企画】海外インターから準備期間1年で高校合格!これまでの道のり

こちらは、Edu-more plus会員が海外子育て、海外での教育や生活、帰国受験など海外赴任ファミリーの実体験や想いを綴っていただく【Edu-more plusライター企画】の記事です。

海外赴任帯同で海外に住む、インターへ通う。そうすると多くの人に「子供はもう英語ペラペラでしょ」、「帰国子女受験だから有利で羨ましい」と言われる。こんなシチュエーションにモヤモヤする海外在住ママは多いのではないでしょうか?
我が家は夫の赴任先マレーシアで上の子供2人は日本人学校からインターへ転校、下の娘は英語ベースのモンテッソーリナーサリーからインターへ入学しました。そして、長男は日本の帰国子女高校受験という挑戦をちょうど終えたばかりです。長男が経験した海外インターからの帰国子女高校受験がどんな道のりだったのか、紹介させてください。

Edu more plusライター、umekoのインスタグラムアカウントはこちら!
➡ 
「準備期間1年の帰国子女高校受験」


Edu-more plusはオンライン家庭教師のEDUBALが運営しています!

帰任時期が見えない中での進路決定

我が家は子供3人を連れてコロナ前にマレーシアへ引っ越しました。初めは慣れない海外生活だからと日本人学校を選びました。
そして1年後のコロナ禍にインターへ転校。最初の1年半近くは、ほとんどがオンライン授業という残念な月日でした。英語はほぼゼロレベルでのインター入学。通学していれば友達に聞いたり助けてもらったりすることもあったと思いますが、1年半自宅のパソコンの前で孤独に授業を受ける日々でした。そしてやっとコロナの収束を迎え通学できるようになった時は、親子共に嬉しくまたホッとしたのを覚えています。

長男がインターでの生活に慣れ、外国人の友達もでき、英語でのコミュニケーションに自信をつけてきた頃、夫と私は長男の進路選択という難しい問題に直面しました。
我が家の場合、日本への帰任は直前に告げられます。帰任かそのまま海外在住か、わからぬまま進路を決める必要がありました。多くの駐在家族が頭を悩ませているであろうこの問題。流石に進路を決めなければ後がない、と我が家が思ったのは長男が中2の11月頃でした。

インターに通っていた長男のこと

インターや現地校を選択した場合、日本のカリキュラムとインターのカリキュラムの両立は多くの人にとって課題ではないでしょうか?

滞在しているマレーシアに補習校はありませんが、日系塾はいくつかあります。日系塾へ通いインターと日本のカリキュラムの両立を目指すお子さんもいますが、高学年になる程なかなか実現できていないことが多いようです。
6年生の1学期まで日本人学校へ行きインターへ転校した長男は、転校してから日本の勉強は何もしませんでした。高学年で転校した長男にとって、英語力が学年相当に追いつくのに精一杯だったこと、夫と私はインターに通っているからにはインターでの学びが最重要だと考えていたからです。

勉強はできればしたくない、というタイプの長男。サイエンスの先生には面談で「彼は理解が早いけれど怠け者なのよ」と愛の鞭で言われるくらい怠惰なところがありました。一方で音楽が大好きで、人前でパフォーマンスするのが得意、本番にも強いタイプでした。そんな彼に日本の帰国子女高校受験という道を進んでもらうことに夫と私が決めました。

学校のステージでピアノ演奏

日本の高校受験に対する親の思い

インターで頑張っていた長男ですが、親として気になっていたこともあったのです。母語が完全に日本語の長男は「インターで勉強して身につけている内容が浅いのではないか」という懸念です。良い成績をとっている科目でさえ、学習の深みについて疑問を持っていました。

高校ではより高度な内容を勉強するのに英語のままで良いのかと悩みました。我が家の場合、日本の大学進学が前提だったので、大学で専門的な学問に入る前に言語の壁がない環境で深く物事を理解し、考え表現する経験が必要だという考えに至りました。

もう一つ高校受験を決めた理由があります。子供たちが実際にインターへ通ったことによって日本の教育の長所を再確認できたことです。日本にいると海外の教育の良いところが多く報道され、日本の教育の長所を見落としがちです。しかし約4年間のインターでの勉強を終えたタイミングで、インターの学びで欠けていた部分を日本の教育で補充することが魅力的に見えました。

こうして海外インターから日本の帰国子女高校受験をすることになった息子ですが、準備できる時間は1年に満たない状況でした。インター転校後に日本の勉強をしていなかった息子は国語、数学、英語、小論文、面接で対応できる学校を受験校としました。実際に何月頃にどんな様子だったのか、1年の短期勝負を振り返ります。

1年間の受験勉強スタート

「入試スケジュールと己の学力を知る」これが初めの一歩でした。

日本の高校を受験をすると決めたのが中2の12月末。1月から早速、日系塾へ通い始めました。帰国子女高校受験は10月下旬に始まり、年内に海外会場の入試、年明けに国内会場の入試が始まるという日程を年末に初めて知りました。なんと、入塾した時点で入試開始まで1年をきっていたのです。

夫と私は慌てて受験情報を集め始め、長男は塾の勉強についていけるよう空白の3年分の内容に必死に取り組みました。入塾時に受けたテストは予想通り数学も国語もとても低い点数でした。数学は基本的な計算レベルでも知識に穴があったので、塾の授業についていけるようになるまでは夫が自宅でフォローしました。

塾で月1回受ける模試の点数が徐々に上がり始めたのが中3夏の初め。その頃に、息子と夫と私で志望校について話し合いをしました。高校に入ったら好きな音楽を思う存分やりたい、そして大学附属高校に行きたいという長男の思いを汲んで志望校は決定しました。容易には合格できない人気が高い志望校、親にも子供にもゴールはとても遠く思えました。

コロナの影響もあり、マレーシア国内を沢山旅行しました

合格までの道

「常に自習室にいく」というシンプルな方法で合格に辿り着きました

夏期講習を終える頃から、本格的に勉強時間を増やしていきました。スクールバスが自宅に着くと、塾用鞄+夜食を受け取り、そのままスクールバスで塾へ直行。自習や授業を終えて塾の最終バスで22時頃に帰宅というスケジュールで平日を過ごしました。週末は朝イチに塾へいき、朝から夕方まで勉強しました。受験生と言えどもまだ15歳、時に甘えが出て当然だと思ったので可能な限り自宅ではなく塾の自習室という環境に置くことにしたのです。

日本人学校と違いインターだと同じタイミングで受験をする友人はほとんどいないのが普通です。受験無しで学校生活を楽しんでいるクラスメイトの中で、自分だけ受験勉強をしなくてはいけないのがインター生。とても孤独な戦いです。塾に行けば、合格に向けて努力している仲間に会えるのは大きなインパクトでした。
またラッキーなことが1つありました。息子の通うインターの同級生に1人だけ日本の高校を受験する友人がいたのです。その友人と切磋琢磨できたのは受験勉強に一番良い影響を与えたと思っています。

15歳の子供は親から「勉強しなさい」と言われても従うことはないし、時には反発を覚えるようです。しかし、同年代の友人や他人(塾の先生)に言われることには敏感なので、家の中よりも外に出て勉強するのが我が家にとっては親子間で揉めない方法でした。


結果とそこから考えたこと

日本の学校を受験するのならば、インターに行くのは邪道なのか?インターに行ったら高校卒業までインターに通い、海外大学に進学すべきなのか?

このように海外駐在に帯同する家族は学校選びに悩む人も多いと思います。私は今回の長男の受験を通じて、インターなのか日本人学校なのか、インターに行くならば何歳がいいのか、というようなことには正解がないと考えました。

長男はなんと志望していた大学附属の3校に合格しました。塾の先生の模試偏差値を用いた分析によると合格はほぼ不可能だったようですが、息子はそのセオリーを覆した結果でした。そこからわかるのは、入試日直前まで諦めずに勉強すれば最後の最後まで学力は伸び結果へ繋がるということです。インターでも日本人学校でもどこに通っていても、最後まで粘り強く目標に向かって努力できる強さや忍耐力を中学校3年間で学び、身につけていることが大切だと感じました。

息子の場合は、ブランクがあり受験勉強開始も遅かったので正直不安でした。だから合格できてとても嬉しかったのは事実です。しかし、あんなに怠惰な息子が入試日の前夜まで勉強をする姿を見て、入試結果が出る前からインターを選んだことも日本の受験をさせたことにも、親として後悔はないと思いました。

学校が開校して初めての交換留学生として1週間オーストラリアへ滞在

海外インターに通っただけでは英語はペラペラになりません。これは声を大にして言いたい。インターが求める英語力を目指して必死に勉強するから英語ができるようになるのです。帰国子女受験だからといって、楽だということもありません。国内一般生がやらなくてもいいインターのカリキュラムを勉強しながら日本のカリキュラムも勉強するのです。息子の場合、入試問題も国内一般生と同じものでした。

大変さを乗り越えて必死に身につけた英語力と受験で得た学力はどちらも子供の大きな財産であり、自信になると考えています。

最後に

親の仕事の都合で海外に住む。インターナショナルスクールに通う。
息子にとって、自分で選択したわけではないこの環境が時に過酷だったことを私は知っています。日本の帰国子女高校受験もブランクを埋めるのに大変でした。
しかし、どちらの経験もこれから息子の人生の糧となると思っているし、願っています。そして、この記事が今海外で子育てをしていて学校選びに悩んでいる方や漠然と海外での子育てに不安を持っている方に少しでもお役に立つことを切に願います。

親は常に子を思い、悩むのは万国共通ですよね!

こちらの記事へのコメントやEdu-more plusへのご意見・お問い合わせは
メール(
info.edubalmore@gmail.com)でお気軽にどうぞ!