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【Edu-more plusライター企画】中国・上海で英語力ゼロからIB校へ〜コロナ禍からの復活〜

こちらは、Edu-more plus会員が海外子育て、海外での教育、帰国受験など海外赴任ファミリーの実体験を綴っていただく【Edu-more plusライター企画】の記事です。

時は2020年、コロナ禍で日本はオンライン授業が始まった頃、一時落ち着きを取り戻していた上海へ夫の赴任が決定しました。

あれから約4年。すっかり日常生活を取り戻した中国・上海から「非英語圏・インター校生の日常生活や、学びについて思うこと」を綴ります。

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上海・インターIB校への転校

当時息子は、のびのびとした教育方針の国立小5年生。お友達も先生も大好きで、なぜ日本語しか分からない自分が、上海のしかもインターにいかなければならないの?と猛反発されました。
しかし私達夫婦はもともと、息子にIB教育を受けさせたいと考えていたため、迷う事なく帯同を決断。とはいえ、インターの授業についていけるような英語の準備は全くさせておらず、編入からしばらくは本当に大変だったと思います。

G5のセメスター2に編入した最初の1年目は、とにかく元気に登校してくれれば良いなという親の願い通りに、休む事なく通学できました。
勿論、持参したおにぎりの海苔が臭いと言われたり、歴史的な背景から嫌味を言われたりと、問題は少なからずありました。
しかし息子は得意なオンラインゲームを通じて言葉が通じないうちから学校のお友達と交流を図れたため、人種の別なく楽しむことが出来たようです。

ロックダウン~編入試験の受験を決意

学校に慣れ、生活に慣れてきた2年目にやって来たロックダウン。水の確保や、いつ来るか何がくるか分からない配給を待つ日々。当初3日間との通達で始まったのに、マンションから一歩も出られない2ヶ月は、私達の生活は勿論、子供にも大きな影響がありました。
ロックダウン中、連日のPCR検査により陽性反応が出たため、私達家族は隔離施設に移送されたのです。その際、学校のオンライン授業を引き続き受けるため、ギターを背負って移送用バスに乗り込む息子に、大量の消毒液を吹き掛ける防護服の方達…その光景が今でも忘れられません。

厳しいロックダウン中の街の様子

晴れて日常生活が戻った後、息子が「日本に帰りたい。日本に帰れるなら日本の学校を受験したい…」と。
今から半年で編入試験の準備?そんな無謀な挑戦を、させて良いものか悩みました。しかし、ロックダウンを耐え抜いた息子の希望を蔑ろにしてはいけないと思い、条件付きで編入試験を受けることに決めたのです。
その条件とはたった1つ。今受かりそうな学校を探すのではなく、本当に入りたいと思える学校のために勉強し、受験すること。
そうして受験を決めた息子は猛勉強開始。願書の作成や自己の振り返りなど、親子共に濃密な半年を過ごしました。
ですが、その結果は…残念ながら不合格。一方でどこか安堵している私がいました。
このまま合格をいただいて日本に戻ったら、上海で暮らした経験全てがマイナスのイメージとなって息子の心に残るかもしれないと思ったからです。

上海での学びを形にしていくために

そうした中、上海での暮らしも3年目に入り、日常生活は全く問題なく過ごせるようになって来た頃、やっと日本への一時帰国が叶うようになりました。
ずっと会えていなかった家族や友人との再会を果たせた時に、あぁやっと自由になったのだな。と感じたものです。
あらためて今後私達家族が、残りの駐在期間をどのように過ごすのか、何度も何度も話し合いました。これはロックダウンを経験し、日々の日常が当たり前ではないのだと心の底から感じたからだと思います。
この家族会議の結果、息子が上海で学んだことを形にしていくことになりました。

もちろん中国は非英語圏のため、学校以外の日常生活で自然に英語が上達するということはあり得ません。私達夫婦も日本人ですので、家庭内ではオール日本語。
ある先生に息子の英語は、大海に救命胴衣を着せてもらえず放り込まれたため、犬かきで凌いでいるようなものだ。と表現されたため、いわゆる日本式の英文法を一から学び直すことに。無理をせず、英検準2級と2級を目標にコツコツと勉強を始めました。
と同時に、インターでの学びを疎かにせず、一つ一つ丁寧に取り組む姿勢を応援しました。というのも、IBの授業や課題は、その生徒本人がどこまでこだわり探究心を持つかという点も評価されるため、当時の息子の成績は良くもなく悪くもない。といった状況。学校の成績を改善することも、息子の今後のためになると感じたからです。

今振り返っても、3年目は本当に穏やかな日常で、友人とも「1年前が信じられない、あれは夢だったの?」とよく話題に出るほど人々はノーマスク。徒歩8分の最寄駅までに、3か所もあったPCR検査小屋は、現在ジューススタンドや守衛室として活躍しています。
そんな日常を私自身がママ達と楽しんでいるからか、息子はマイペースに勉強しつつ、着々と思春期を謳歌している様子。そして順調に昨年の夏の一時帰国の際、英検準2級と2級を取得しました。この勢いで冬に準1級を!と考えていたのですが、残念ながら受検日が合わず。中3の夏におあずけとなりました。

そして、努力の結果は…?

そして年が明け、2024年1月、G8のセメスター1が終了し成績が出揃いました。
なんと息子は見事Honor Rollを受賞!この結果には私達夫婦が一番驚き、私は涙しました。名前を呼ばれ、壇上に上がり握手をして記念撮影。
彼のこれまでの地道な努力や経験が形となって表されたのです。

大好きな学校から離れるのを嫌がる息子を連れて来たのに、辛い思いばかりさせてしまっている。私は、息子がここに来て良かったと思える何かを与えてあげたい、何とかしたい。という思いが大きかったのですが、息子は自分自身でその結果を掴み取りまし た。
この事こそが、息子にとって何よりも自信につながる経験だったと感じています。

高みを目指し叶えたからこそ感じる、次への不安と戦う息子の姿を見て、成長を感じずにはいられません。来期もあわよくば…と願わないわけではありませんが、全ては昨日の自分との比較。
自分自身にそう言い聞かせて、後方支援し続けたいと思います。