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【小五と読書】なぜ引き寄せられたのか

普段手にはとらない、「老い」をテーマにした本。

海外暮らしにはとりわけ幸いなことに、両親は四人ともみな健在。世代的にも親のことより子供のことが頭を占めている日々なので、日頃気になっているというわけでもないのに、ふと気になってぱらぱらとめくったらもう、するすると最後まで読んでしまいました。

内容は、舅の死別をきっかけに、明治の時代に外交官の家に生まれ育ち、華やかで教養深い姑と同居を始め、感じた日々のこと。凛と前だけを向いてほとんど身一つでやってきた姑は、得意の英語と教養を教える英会話教室を始めたり、庭を美しく花で彩ったりと素敵に暮らしますが、実は外交官の家に嫁ぐも離婚して家を出て苦労するなどなかなか波瀾のある人生の持ち主。そして、最後は介護が必要になります。

時代が時代なのと、姑を尊敬する心から、他人に恥をさらすのは忍びないと、誰にも助けを借りず、最期を見取ります。

吉沢氏自身、日本初の家事評論家として、「働く女性」の先駆け的存在だったそうで、エッセイは飾らず、気取らずでとても読みやすく、この時代の雰囲気を娘にも知ってもらいたくて、娘にもおすすめしました。

日本で、女性の料理研究家が、そのレシピだけでなく暮らしの全般に絶大な支持を集め、活躍するようになる、もう一世代前の方の瑞々しいエッセイ。

こんな本も書いていらっしゃるようです。



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