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【小五と読書】鎖国ジャパン。その、代償

表題からは、何のテーマかわからなかったのですが、中島京子さんの小説は、見かけたらつい手に取ってしまいます。

そして、これもまた、本当に読んで良かった一冊でした。

日本で外国籍パスポート保有者が暮らしていくのがいかに難しいかということを、そして、そのことに対して、どれだけ無知だったかをここまで示される物語はなかったから。

今年、看護資格の技能実習生がほとんど集まらなかったことに関して、「この円安のせいだ」と言わんばかりのニュースがありましたが、そういうことよりもむしろ、日本に働きにきている外国籍の人への敬意があまりにも不足していることが問題なのでは、、と、身につまされるエピソードの数々。

本作では、日本に滞在するスリランカ人男性が、日本人女性とあたたかな家庭を築こうとする横で、ボタンのかけ違いがおき、入管送りになったが最後、そこで壮絶な経験をしながら、後半裁判で争っていきます。入管側の意識も登場人物を介して述べられており、その意義とその現状を本当によく描いた作品だと思いました。

重い内容にも関わらず、終始、穏やかな語り口調で読みやすく、娘にも現状を知ってもらいたくて、手渡しました。

このニュースは、娘も知っています。


人権がこんな扱いを受けている国が、先進国なんてとても言えない。2度と過ちを犯すことのないよう、いい加減、鎖国時代から続く村意識を捨てるべき時にきていることに、気付かされる一冊でした。


よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!