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ひとつひとつの事件が積み重なって、今の企業史となっている重み

「確かに聞いちゃったといえば、聞いちゃった」

この本のタイトルを書棚に見つけた時、真っ先に脳裏に蘇ったのは、平成18 年の村上ファンド事件での記者会見でした。まだ学生でしたし、ちゃんと事件をわかっていたとは言えないのですが、あっけらかんといってもいいような「聞いちゃった」という言葉が、司法の場ではなく、記者会見の場で発せられたことと、一斉にたかれるフラッシュは、妙に鮮明に記憶に残っています。

このような、ある種、時代を映したようなアメリカの企業や市場にまつわる逸話が、10話取り上げられたのがこの本で、小説のような臨場感のある語り口と、訳もとても自然で、興味深く読みました。

「その時代には当たり前だったこと」「許され、多めに見られていたこと」、「その時の技術水準の限界」。中には悪癖もあり、一方で、今見ても革新的なこともあり、タイトルほど、直接的に「失敗の原因」に言及されていないことがかえって面白かったです

この100年、50年、もっと言えば、10年、5年ほどの間に、規範となる商慣習は目覚ましく変わってきたし、それを受けて、規制側もますます増えて行く。その中で、古典ともいえる一冊だったのではと思います。

日本版で作るなら、長銀破綻、村上ファンド事件、青色LED訴訟、福島第一原発メルトダウン、日産ゴーン逮捕、目下の、ジャニーズ事務所問題…などでしょうか。

長銀破綻はいつだったかな…と検索中に、NHKのアーカイブスを見つけました。ここに出てきている事件で、記憶があるものがどんどん増えていっていることに驚きますが…こういうのを経て今があることを娘たちにも見せていきたいなと思います。


よりたくさんの良書をお伝えできるように、頑張ります!