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東京メトロ東西線短歌

千葉からの神羅万象堰き止めて 苛立ちのコウテン西船橋駅

5月無き定期を落とした所為にして 原木中山降りてまた乗る

妙典で並ぶ人々 列車には乗らずに別の何かを待ってる

行徳の安売りパンは 星屑を散らして遊ぶ妖精が食え

縦がなく横につなげてめぐる線 バスこそ走れ南行徳

浦安のトイレは綺麗に使われず まるでトイレに非があるみたいに

快速を待ちくたびれて葛西駅 恒星二つ亡ぶまで待つ

陰鬱な穴より出でし甲虫よ西葛西駅でようやく吐き出す

より多く元をとろうと詰め込もう 社畜バイキング南砂町

無機質な高層マンション収めるは 命の灯東陽町駅

深々とエスカレーター寄り掛かりそれではさよなら木場の洞穴

十字架を背負って彼らは飲みに行く 門前仲町ビールお代わり

そんなにもこの駅のホームを嫌がるか茅場町の乗客どもよ

超高層 働き蟻には象の足 日本橋から足裏を噛め

ありえない話だけど大手町に毒撒かれたら生き残れるかな?

秋の気を粉々にするすり鉢か竹橋駅の出口交差点

わがままはよくよく噛んで飲み込めと九段下下り階段に言った

飯田橋直角カーブを曲がったら少しだけ違う飯田橋が居る

神楽坂お前は下を這っていけ 言われるままに下りゆく人生

早稲田駅 乗客よりも空腹な車両は都心へ下りゆくのみ

騒がしく高田馬場に夜通しでペンキみたいな若さが流れる

落合の公衆電話を置く台は帰らぬ主をただ待つ忠犬

終点の点と呼ぶには巨大なる中野の駅は終点点点



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