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中国教育ニュース通信2020年4月号 | 中国EdTech#32

この記事は株式会社BEILリサーチブログにて 2020/5/1 に公開した記事を移行したものです

4月の中国の教育関連のニュースをまとめてお伝えしていきます。
今週の注目は、新型コロナの流行が落ち着いてきた中国が、オンライン学習の整備や学校再開に向けてどんな取り組みをしているかです。
引用元は芥末堆というニュースメディアの週ごとのニュースまとめを翻訳したもので、政府の政策から企業のサービスや統合、大学や社会の動きまで幅広くカバーできます。
それでは見ていきましょう。

今回扱うトピック

・新型コロナ対策
・学校政策
・サービス
・規制

新型コロナ対策

3/30:多くの省で授業再開の通知、休日の削減と夏休みの短縮して補習を実施する予定

近日、多くの省市では小中学校の再開の通知を発行しました。カリキュラムは現在、調整中です。 山東省、広東省、陝西省、四川省などは、週末を減らしたり、夏休みを短縮したりすることで、総授業時間数を確保する予定だとしています。
さらに、四川省攀板芝花市の小中高では、毎週土曜日に授業を行うとしています。

3/30:北京の小中高でオンライン授業がスタート、半日以上の授業は禁止との通達

北京市教育委員会の公式WeChatによると、北京市教育委員会は、春学期の教育工作部会を開き、オンライン授業開始の手はずを整えましたとしました。 通知によると、北京市は4月13日からオンライン授業を開始するといいます。 市教育委員会は、小中高を対象としたオンライン授業を提供します。 さらに、市教育委員会は、毎日のオンライン学習の長さが半日を超えないことを要求し、また学生は自分自身でオンライン授業の受講時間をスケジューリングできます。

3/31:2020年高考を7月7・8日に延期

今週、中国教育部から2020年の高考(中国の全国統一大学入試)の時期についての発表がありました。今年の高考は1ヶ月延期され、7月7日~8日に実施されることになりました。ただし湖北省と北京市においては、新型コロナ流行の状況に応じて試験日程を検討し、教育部の承認ののちに正式に発表するとしています。

4/7:北京海淀区委員会が隔離中の未成年者に学習サービスを提供

4月7日午後4時、「北京市新型コロナウイルス肺炎流行予防対策」に関する記者会見にて、海淀区党委員会常任委員、組織部長官の周志軍氏は記者の質問に対して以下のように回答しました。
現在、海淀区の集中観察点と呼ばれるホテル等の隔離施設では130人以上の未成年者が隔離されています。区は学習支援を必要とする学生に対し、集中観察期間中の補習授業のニーズに対応するため、委員会はオンライン学習コースの提供を調整しています。

4/13:上海市がオンラインの新経済推進計画を発表、オンライン教育に重点

上海市人民政府弁公庁が近日発表した「上海市オンライン新経済発展推進行動計画(2020-2022年)」では、オンラインとオフラインのさらなる統合を進めると発表しました。教育分野では分散型教育と集中型教育の融合した学習モデルを推進し、“上海微校”や“空中课堂”といった、オンライン教育ブランドを創出し、キープラットフォーマーや学校が大規模なオンライン学習に適した情報プラットフォームを構築することを推進する計画を示しました。
また、行動計画で示された6つの具体的なアクションプランの1つに、データ資源の共有化とオープン化の取り組みがあります。これは、パブリックデータを収集し、医療や教育などの主要分野でのデータのオープン化を推進することを求めています。

<コメント>
“上海微校”は上海市教育委員会が万达信息等のIT企業から技術サポートを受けて開発されました。この上海市によるオンライン授業プラットフォームに関しては、日本語の記事では超教育協会の記事がよくまとまっています。コロナ流行において、早速、行政による教育のオンライン化が急速に進められているのがわかります。ただ、この上海市による授業プラットフォームが面白いのは、インターネット環境が整っていない生徒のために、テレビでの授業配信を行なっている点です。公教育分野では単にオンライン化と言っても、こうした多様な情報技術を使っていくことも必要でしょう。

4/14:新型コロナ防疫期間中の学校教員のオンライン教育満足度に関する全国調査

本研究では、オンラインデータプラットフォーム「極術クラウド」上で、2020年3月8日から12日までの間に、初等・中等学校の教員2,377名に対し、利用しているオンライン教育プラットフォームの種類、オンライン教育技術の受容度、オンライン教育の満足度を、調査しました。
全体的には、新型コロナ防疫期間中の初等・中等学校教員のオンライン教育に対する満足度はある程度高くなっています。オンライン教育の満足度の全体平均点は3.32点(5点満点)で、中央値の3点を上回りました。しかし、まだ満足度を高める余地があることにも注意が必要です。
属性別でオンライン教育満足度が最も高かったのは、小中高別では中学校の教員、地域別では直轄市や地方都市省都など大都市の教員、科目別では物理学、化学、政治学の教員でした。

学校政策

3/26:義務教育科目に労働教育を追加、素質教育は新たな領域へ

3月26日、国務院は、「新時代の大学・高校・小中学校における労働教育の全面的強化に関する意見書(关于全面加强新时代大中小学劳动教育的意见)」(以下「意見書」という)を発表し、小中高の義務教育課程及び専門学校・普通大学の人材育成課程に労働教育を組みこむことを提案しました。 「意見書」では、労働リテラシーテストを成績評価や卒業認定、入試に用いるとしています。同時に、労働教育の教育監督制度も整備します。

サービス

3/24:コロナショック下の留学市場は?Shorelightが米国大学の単位取得前提コースを開始

近日、留学サービスを提供するShorelight社は、米国大学の学士単位が取得可能なオンラインコース「美国大学学分先修直通车」を開始し、新型コロナ流行の影響で一時的に渡米できなくなった留学生に新たなチャンネルを提供しています。自宅にいながらにして米国の大学で勉強できるうえ、Shorelight提携校間で単位を互換したり、学士の就学期間を短縮したりすることも可能です。

3/26:バイトダンスが教育サービスに参入、上海市普陀区とスマートキャンパスプロジェクトの提携を最終決定

3月26日午後、上海市普陀区政府とバイトダンスは、スマートキャンパス実証エリアに関する協力協定を締結しました。 双方はスマート教育をはじめとした教育情報化で関係を強化し、スマート教育実証区を共同で建設すると報じられています。
普陀区はバイトダンススマート教育イノベーションセンター(智慧教育创新中心)、未来スマート教育実験室(未来智慧教育实验室)などのプラットフォームを設立し、地域教育の情報化を推進するとしています。 同時に、教育行政、教授研究、コアリテラシー、キャンパス管理、家庭と学校のコミュニケーション、成人教育、大学教育などの分野で提携し、「授業、教務、教育研究」をカバーするスマート教育ソリューションを構築します。

<コメント>
TikTokで有名なバイトダンスが、教育事業をさらに進めているようですね。特に公的セクターとの共同事業は大きな足掛かりになるはずです。
ただし、中国では壮大な計画に中身が伴わないことも多々あるので、これからの動きを注視していくことが必要でしょう。

規制

3/31:WeChatミニゲームを完全実名制に、未成年者の利用時間と使用金額を制限

今週、WeChatミニゲームは騰訊のヘルスシステムを正式に導入し、未成年者の保護機能を新しくアップグレードしました。プラットフォームは完全実名制を採用し、未成年と認定されたユーザーはゲームの利用時間や課金金額が制限されることになります。
さらに、全てのユーザーはミニゲームサービスの利用に身分証情報の提出が必要となります。またヘルスシステムは、公安の実名検査システムと接続されており、未成年ユーザーのゲーム行動を管理に注力します。

<コメント>
香川県のゲーム条例が議論になっていますが、中国ではさらに身分証と紐づいた検査システムまで導入されるようです。
ただし、背景としてはもともとアニメやゲームなどエンタメ全般に対する規制・検閲が強いということもあげられます。

参考

【懒人周末】劳动教育加入学校必修课,上海一少儿英语机构面临破产(3/29)
【懒人周末】全国高考延期一个月,卖淫嫖娼人员收容教育办法废止(4/5)
【懒人周末】跟谁学两次回应做空,北京中小学开学时间近期公布(4/12)
【懒人周末】最高检督导鲍毓明性侵案,北京事业单位将优先招聘高校毕业生(4/19)


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