政治資金パーティー収入の裏金問題をめぐる「ほとんど報道されない」真実

政治資金パーティー収入の裏金問題をめぐる「ほとんど報道されない」真実


 政治資金パーティー収入の裏金問題をめぐり東京地検特捜部が本格捜査に乗り出している。世間では、これで政治とカネの不透明な関係が是正されるとか、不人気な岸田政権に代わって国民のためになる政権が生まれるなどと期待されているが、残念ながら「絶対に」そうはならない。

 裏金問題をめぐる「ほとんど報道されない」真実と、想定される「落としどころ」について解説したい。各マスコミは連日のように特捜部からのリークをそのまま報道しているが、ここでは必要最低限の引用にとどめる。特捜部お得意の情報操作で、往々にして真実が歪められているからである。


その1  どこから始まり、どのように世論が形成されていったのか?


 2022年11月6日、しんぶん赤旗日曜版が自民党主要5派閥の政治資金パーティー券の大口購入者の名前が政治資金収支報告書に記載されておらず、長年にわたって裏金とされていると報じる。この記事中でコメントを求められた神戸学院大学の上脇博之教授が独自調査を開始する。

 同教授は2023年10月、自民党主要5派閥が政治資金パーティー収入を2018年~2021年の政治資金収支報告書に計4186万円分過少記載しているとして東京地検に告発状を提出する。しかしこれだけなら政治資金収支報告書を訂正すれば済む話である。

 2023年11月2日、読売新聞が同教授の告発状提出を報じ派閥の裏金問題が「初めて」表に出る。さらに11月18日にNHKが、東京地検特捜部が5派閥の担当者に任意の事情聴取を進めていると報じ、裏金問題が全国的に知れ渡る。特捜部は世論を味方につけるため意識的に捜査状況等をマスコミにリークするが、早くもその効果が出てきたことになる。

 そして12月1日に今度は朝日新聞が、安倍派が政治資金パーティー券のノルマを超えて販売した所属議員にキックバックしており、所属議員は政治資金収支報告書に記載せず長年にわたって組織的に裏金としていた疑いがあると報じる。ここで初めて「安倍派」と特定されている。

 この場合、所属議員へのキックバックとは議員それぞれの政治団体への寄付との前提に立っているはずで、政治資金収支報告書への記載が義務付けられている。

 さらに12月3日には朝日新聞が二階派にも同様の疑いがあり、この時点では安倍派と二階派とも時効にならない2018年~2022年の直近5年間にそれぞれ1億円超を裏金としていたと報じるが、その額は後に大幅増加となる。

 それ以降、安倍派と二階派を除く自民党主要派閥である麻生派、茂木派、岸田派の裏金問題が報じられることはなく、あたかも政治資金パーティーをめぐる裏金問題は安倍派と二階派「だけのもの」との印象を世間に植え付けたまま現在に至る。

 もちろん同様の裏金問題は主要5派閥すべてに存在するが、それ以降も(とくに)安倍派を狙い撃ちにした報道(特捜部のリーク)が連日のように出て来る。

 現在の安倍派はトップ(会長)が不在であるが、萩生田・政調会長、世耕・参議院幹事長、塩谷座長と並んで(新しい順番に)高木・国会対策委員長、西村・経済産業大臣、松野・官房長官の事務総長経験者がキックバックを受けていたと報じられている。しかし各議員の裏金は直近5年間で最大でも1000万円ちょっとである。

 ここでまだ時効ではない2018年当時に事務総長だった下村博文の名前が一切出て来ない。安倍派トップ(会長)の座を狙って森元首相にすり寄っていた下村が、特捜部に積極的に情報提供していたはずである。少し古い話であるがライブドア事件の羽田取締役(当時)のように不思議に名前が出ず逮捕も起訴もされない主要人物は、まず間違いなく特捜部への情報提供者である。

 また所属議員の裏金が最大で1000万円ちょっとでは「もの足りない」と感じたのか、12月10日には朝日新聞が安倍派の大野泰正・参議院議員(大野伴睦の孫)が直近5年間で5000万円超、池田佳孝と谷川弥一・衆議院議員がそれぞれ4000万円超という「大口議員」を公表する。

 かくして特捜部と主要マスコミの見事な連携により安倍派包囲網が完成して、12月13日の臨時国会閉幕を待って本格捜査開始となる。


その2  捜査方針等について特捜部から知らされている岸田首相


 国会開催中であるかどうかにかかわらず、特捜部は国会議員を対象とする捜査については事前に官邸に根回しする。特捜部を含む検察庁(法務省)も行政機関であり、形式的には官邸の(正確には内閣官房の)コントロール下にあるからで、また法務大臣の権限である指揮権発動を封じておく意味もある。といっても指揮権は1954年の造船疑獄で発動されて以来、事実上封じられている。政権が持たないからである。

 特捜部が根回しする直接の相手は内閣官房長官である。今回は松野官房長官も捜査対象であるため、官僚トップである官房副長官(事務担当)が直接の相手となる。現在の官房副長官(事務担当)は2021年10月の岸田政権発足と同時に就任した元警察庁長官の栗生俊一である。

 この栗生は2018年10月に岸田文雄・政調会長(当時)が頼りとする木原誠二・政調副会長兼事務局長(当時)の夫人への捜査を中止させた功労で官房副長官に抜擢されたと囁かれており、当然に自身の保身のため岸田政権の存続を最優先と考える。

 そのためには最大派閥(99名)である安倍派の勢力は削いでおきたいため、報告を受けた岸田首相は安倍派排斥のためにこの機会を利用しようとする。報告を受けたと思われる12月上旬以降、裏金問題について報道陣から追及される岸田首相の表情は明らかに余裕があり(つい「にんまり」している)、また根回しも済んだため特捜部から安倍派に関するリークに拍車かかる。

 そして臨時国会が12月13日に閉会すると特捜部が一斉に安倍派議員への強制捜査の準備に取り掛かるとの報道(リーク)を受け、岸田首相は即座に安倍派の4閣僚(松野官房長官、鈴木総務大臣、西村経産大臣、宮下農水大臣)と5副大臣と1政務官を辞任させ(実質解任)、政権から安倍派全員を一掃してしまう。同じく安倍派の萩生田政調会長も辞任を表明する。

 実際の安倍派事務所への強制捜査は12月19日だったため、岸田首相は単なるマスコミ報道だけで政権から安倍派全員を一掃したことになる。

 また同じ12月19日に二階派事務所も強制捜査を受けているが、二階派についてはトップ(会長)である二階俊博が親中国の代表で中国利権の最大保持者であり、そもそも岸田派(宏池会)は昔から最も親中国の派閥であるため岸田首相は今も二階に頭が上がらず、強制捜査後も二階派の2閣僚(小泉法務大臣と自見内閣府特命大臣)をそのまま留任させるダブルスタンダードとなる。

 ちなみに二階俊博は2023年4月に空席だった超党派の日中友好議連会長となり、岸田派で最も親中国でその前任の同議連会長だった林芳正は常に優遇されている。岸田政権発足以来の外務大臣に起用し、バイデンの圧力で交代させられると今度は官房長官に起用している。また林芳正は衆議院の区割り変更で安倍元首相の地盤だった山口新3区に移ることも優遇の理由と考えられる。


その3  特捜部が安倍派を集中攻撃する背景


 表向きには安倍政権の政権発足以来、法務大臣官房長と法務事務次官として政権を支え続け、2019年1月から東京高等検察庁検事長となっていた黒川弘務の任期を63歳定年直前の2020年1月31日に閣議決定で半年間延長させて検事総長に据えようとしたことが、今回の安倍派への集中捜査の背景だとされている。

 しかしコトの本質は「もっと」複雑怪奇である。

 現在の裏金問題の捜査に対して岸田首相や栗生官房副長官「ごとき」が圧力をかけるなど不可能であるが、当時の安倍首相・菅官房長官・黒川弘務のラインで実際に個別事件にも介入していた。

 そして当然のようにこの状況は、林真琴・名古屋高検検事長(当時)を検事総長に推す大半の検察庁(法務省)勢力の反感を買う。何よりも脈々と続く検察庁トップ人事を混乱させ、将来にわたって政権の影響を受ける恐れがあるからである。

 検事総長だけ定年が65歳であるため、黒川の任期を半年延長しておけば誕生日が黒川より5か月遅い林も定年となってしまう。それ以前の2021年に林は、当時の菅政権の上川法務大臣の不興を買ったとして検事総長からやや遠い名古屋高検検事長に追いやられていた。

 ところがその黒川は新聞記者との賭け麻雀が発覚したため2020年5月22日に辞任してしまう。検事総長が目前の黒川が新聞記者と頻繁に麻雀卓を囲んで「情報交換」していたことも問題であるが、なぜこのタイミングに限って表沙汰になったのかも不思議である。

 後任の東京高検検事長には林真琴が就き、同年7月に「予定通り」検事総長となる。そこから露骨な黒川派の排斥と、安倍政権とその後継の菅政権に対する猛烈な攻撃が開始される。黒川本人は今も天下り先がなく「半浪人」状態のままである。

 そして安倍政権への具体的な攻撃として、東京地検特捜部は2019年7月に行われた参議院選挙の広島県選挙区における河井克之(元法務大臣)・案里夫妻の選挙違反に目をつける。

 この参議院選の広島選挙区(定数4・改選2)において安倍政権は案里候補に対立する現職(岸田派)の横手候補への10倍もの1億5000万円を支援したとされる。結果的に案里候補が当選し横手候補は落選する。岸田は自派の現職所属議員を安倍政権に「札束」で落選させられたことになり「恨み」が残り、今回の岸田首相による露骨な安倍派排斥の遠因ともなっているはずである。

 ところがこの1億5000万円の半分の7500万円は官邸の4名(安倍、二階、菅、甘利)から支援されたことになっているが、実際はこの4名が受け取り(100万円を受け取った甘利を除く3名は他の表に出せない工作資金に回したはずである)、河井陣営に渡っていなかったはずである。

 東京地検の森本宏・特捜部長(当時)は、河井夫妻を逮捕して収賄側を徹底的に追及するが、その本当の目的は河井陣営に渡った資金が1億5000万円ではなく、半分の7500万円だったことを立証するためで、本当のターゲットは安倍首相(当時)だったことになる。

 結果的に安倍首相は持病悪化を理由に2020年8月28日に辞任を表明して「手打ち」となる。特捜部は単なる選挙違反(買収)で河井夫妻を起訴する。夫の克之はこの7500万円については最後まで口を割らず、2021年10月21日に控訴を取り下げ懲役3年の実刑判決が確定している。

 つい先日の2023年12月22日、東京地検特捜部の当時の収賄側への捜査が、不起訴を示唆して供述を誘導したと認定されたが、組織性は否定されているため大勢には全く影響がない。

 話を戻す。安倍元首相の後継首相は菅官房長官となるが、コロナの最中に東京オリンピックを強行開催するなどで支持率が低下し2021年10月の総裁選への出馬を断念し、岸田政権が発足する。しかしこの時点の岸田政権は安倍元首相の再登板までの「つなぎ」程度の位置づけで、安部・菅政権の政策を「丸呑み」してスタートしたはずだった。岸田は2019年の「恨み」を封印していたことになる。

 間もなく岸田首相は財務省に取り込まれて緊縮財政・増税路線に突き進み、外交でも一方的にバイデン政権に追随して安倍元首相の築き上げた外交政策を完全に崩壊させ、その安倍元首相が2022年7月8日に凶弾に倒れると「ますますやりたい放題」となる。安倍元首相暗殺の背景も一切究明しないまま放置している。2016年の「恨み」を晴らしていることになる。

 余談であるが本誌も独自に安倍元首相暗殺の背景を克明に調べている。近々ご案内できると思う。

 岸田首相は執念深いだけでなく不思議な政治感覚をお持ちのようで、自分の回りにいる「強いもの」(具体的には財務省、バイデン政権、習近平、安倍派を除く自民党主要派閥、公明党、それに今回は東京地検特捜部が加わった)と戦わずに言いなりになっていれば、国民生活がどうなろうとも、支持率がいくら低下しようとも「半永久的に」政権を維持できると考えている。

 岸田政権と財務省・バイデン政権の「これから」の関係は、今回のテーマとは直接関係はないが、「どうしても」気になることがあるため、そこだけ最後に書き加える。

 ところで安倍元首相を取り逃がした森本・特捜部長は2020年7月に津地方検察庁検事正に転出していたが(通常の人事コースである)、2021年7月には早くも呼び戻されて東京地検次席検事となり、2023年7月から最高検刑事部長として今回の「安倍派の裏金問題」捜査の陣頭指揮をとっている。

 安倍元首相が亡くなっていても「遺恨」は続いている。


その4  その後の検事総長レースも関係する裏金問題の「落としどころ」


 林真琴・検事総長は2022年6月に勇退し、その後任も復活した検事総長レースの通りに甲斐行夫が検事総長となり、2024年6月頃までの任期を全うするはずである。

 その後任も畝本直美・東京高検検事長が2023年1月に就任しており「ほぼ」確定である。初の女性で、しかも私大(中央大学)出身の検事総長となる。戦後の私大出身の検事総長は大阪特捜部の証拠捏造事件で2010年12月に辞任した大林宏・検事総長の後任に急遽指名された笠間治雄(中央大学)がいるだけで、大半の検事総長は東京大学法学部出身である。あまり捜査現場に出ない「赤レンガ派」が多い。

 畝本のライバルと目されていた辻裕・仙台高検検事長が2023年1月に留任となった時点で検事総長となる可能性が消滅し、7月に退任している。辻は長く検事総長レースの先頭を走っていたが、安倍政権が黒川「検事総長」の後任と考えていたため、黒川派と見なされて畝本が繰り上がった。

 ところで「その次の次」の検事総長の有力候補に安倍派の裏金問題捜査の陣頭指揮をとる森本・最高検刑事部長(名古屋大学)がいる。2020年に安倍元首相を取り逃がした当時の特捜部長で「遺恨」がある。そのためにも今回はしっかり安倍派議員を逮捕しようと力が入っている。というもの2023年1月に1期下の松下裕子・法務省刑事局長(早稲田大学)が誕生しているため、実質的には検事総長レースで一歩リードされてしまっている。松下は証券取引等監視委員会に出向していたこともあり経済事件に強い。

 そこで森本・最高検刑事部長は、何が何でも今回の安倍派の裏金問題を過去のロッキード事件やリクルート事件クラスの「政界を揺るがす大型事件」に仕立て上げる必要がある。

 大型事件は探し出して捜査して立件するのではなく、仕立て上げるものらしい。

 また「政界を揺るがす大型事件」を仕立て上げれば、捜査した検事はすべて出世するため、長く検察庁の主流を占める「一大勢力」の頂点に立てる。

 安倍派といっても安倍元首相は2021年11月に派閥会長になると、すぐに現金でのキックバックをやめさせて銀行振り込みとした。つまり裏金を排除していたのである。また安倍元首相自身は長く政治パーティー券を販売せず、ノルマ分は自己負担していた。派閥に所属する議員の販売ノルマ達成を助けるためである。

 最新の推計では直近5年間の裏金総額は、安倍派が5億円、二階派が3.7億円、麻生派が3.1億円、茂木派が1.3億円、岸田派が1.6億円となっており、確かに安倍派と二階派が多い。しかし安倍派は所属議員数も突出しており、しかも裏金の大半は前任の細田会長時代のものである。

 しかしあくまでも安倍派の裏金問題として捜査を開始しているため、いまさら修正できない。もちろん陣頭指揮を取る森本・最高検刑事部長にとって自身の検事総長がかかっているうえに過去の「遺恨」もある。

 これが今回、安倍派議員から逮捕者が出る「単純な理由」である。

 ここで細田元会長(元衆議院議長)も安倍元首相も亡くなっているため(森元首相はご存命であるが昼間だけ隠れておられる)、誰が指示・承認していたかの立証が難しい。それでも清和会会長で会計責任者を兼ねる松本淳一郎と、先述の「大口議員」の大野、池田、谷川議員のうち1~2名を逮捕すれば格好はつく。

 本来は政治資金収支報告書の虚偽記載なので(訂正すれば問題ではない)、よほど悪質性を立証しなければ逮捕は難しい。在宅起訴で罰金刑となっても公民権は停止となり議員は失職するが、やはり会計責任者だけの逮捕や議員の在宅起訴だけでは「政界を揺るがす大型事件」とはならない。

 だからどうしても国会議員の逮捕が必要となるが、だとすると来年1月中旬の国会開幕前に逮捕しなければならない。結構ギリギリのスケジュールである。

 ところで政治資金パーティーの裏金問題より、はるかに不明朗で金額が大きい政策活動費は、今回も放置されたままとなる。政策活動費は2022年だけで14億円も自民党から支払われているが、その行き先や使途が一切不明である。

 また今回の政治パーティー券のキックバックも政治活動費の支払いたったとの証言もあるが、それでも問題とならない。政治をめぐるカネの問題は、もっともっと複雑怪奇なのである。


その5  それでは岸田政権の命運はどうなるのか?


 先述のように政権の延命しか興味のない岸田首相は、そうは言っても支持率がこのまま低下すれば選挙が戦えないため政権から引きずり降ろされる恐れに気がついたため、11月初旬に唐突に減税を打ち出した。

 それも来年6月以降の減税であるため支持率がさらに下がってしまっただけでなく、「強いもの」の代表である財務省からも見放されそうになった。

 しかし今回の安倍派の裏金問題が持ち上がったため、逆に財務省もここで急いで岸田政権を交代させたら新年早々からの2024年度予算の国会審議まで滞るため、しばらくは「岸田のまま」となったが、それでも来年3月の予算成立までである。

 しかしその来年3月までにも「大きな問題」が残っている。例によって大手マスコミが全く報道していないが、来年2月19日に「ウクライナ復興支援会議」が東京で開催される。

岸田首相がバイデンに約束したとされる10兆円規模の巨額資金をウクライナに支援するための具体的な会議でしかないが、政府からは何の説明もなく、もちろん予算化もされていない。来年早々から2024年度予算の国会審議が始まるが、すでに出ている概算要求にはウクライナ支援がどこにも見当たらない。

 どうやって捻出するのか? その前にそもそも日本がウクライナに巨額支援する意味があるのか? 中国からの脅威に最優先で備えるべきではないのか?

 バイデンによる640億ドルのウクライナ支援を含む総額1059億ドルの緊急予算は与党・民主党が多数を占める上院で否決されてしまった。つまりもう米国ではウクライナを支援する資金が完全に枯渇しており、ユーロ圏からも期待できない。

 日本政府だけが12月19日に6500億円の支援を決定したが(それまでに1.2兆円をウクライナに支援済み)、本番は来年2月の10兆円である。

 最近までの外交日程を見ると、もう完全に「外堀」は埋められているが、不思議なことに財務省まで関与しているようである。財務省の日本国内における緊縮財政・増税路線は何なのか?と言いたくなる。

 最近までの関連する外交日程は、2023年8月2日に神田財務官がウクライナを訪問しており、8月18日のキャンプデービッドにおける日米韓首脳会談で岸田首相がバイデンから巨額支援を「念押し」されたはずである。そして9月9日に林芳正・外務大臣(当時)がウクライナを訪問するが、帰国したら外務大臣交代となっていた。

 また11月8日には岸田首相とゼレンスキー大統領が電話会談し、11月15~16日のAPEC首脳会議(サンフランシスコ)で再度訪米した岸田首相は、そこでバイデンから来年春の米国への国賓招待を告げられ、いよいよ逃げ出せなくなってしまった。

 また11月20日には外務副大臣と経済産業副大臣と日本企業10社がウクライナを訪問している。具体的な復興の打ち合わせである。日本企業も同行していたが、すべての復興工事が日本企業に発注されるわけではない。

 こうやって並べてみると、日本がウクライナ復興の名目で10兆円規模の巨額資金を提供数することは、すでに既成事実化しており、知らないのは日本国民だけである。また国内では緊縮財政・増税路線を強いる財務省まで了承しているように見える。

 来年3月まで首がつながった岸田首相は、勝手にバイデンに約束した10兆円規模のウクライナへの巨額支援金を「置き土産」に消えることになりそうである。