疑惑の凶弾  その5

疑惑の凶弾  その5  2022年7月30日に掲載

 安倍元首相が凶弾に倒れて亡くなった7月8日から3週間が経過したが、久々に「事件の報道」があった。最近は新たな報道も無くなり、意識的に事件を風化させるつもりとしか思えなかった中に出てきた久々の報道であるが、その内容は大いに「困惑させられる」ものでしかなかった。

 それはNHKが29日に報じた「(安倍元首相が)体に2発受けたとみられる銃弾のうち1発が見つかっていないことが捜査関係者への取材でわかった」というものである。

 ここで捜査関係者への取材というのは、捜査関係者からの意図的なリークと「ほぼ同義語」である。ましてはNHKともなれば、捜査関係者の明確な意図を受けての報道のはずである。

 しかし、その内容がとんでもなく「困惑させられる」もので、ここまでくるとNHKに報道させた捜査当局の意図にまで気を回さなければならなくなる。

 7月22日付けの「疑惑の凶弾 その3」にも書いたが、事件当日の医師団の発表では「(安倍元首相の)体内には銃弾は残っていなかった」となっていた。また20日に開催された自民党の治安・テロ対策調査会において警察庁幹部が「体内から銃弾は発見されなかった」とはっきり説明している。

 安倍元首相に命中した銃弾はNHKの報道にもある通り2発であるが、少なくとも20日までは「2発とも(安倍元首相の)体内には無かった」ことになる。

 さらに20日の同じ自民党の調査会で警察庁幹部は「(2発ともとは特定していなかったが)盲管銃創で銃弾は貫通していない」と説明しており、余計に辻褄が合っていなかった。それだけではなく事件の重大な証拠となる銃弾が発見されない段階の12日に安倍元首相のご遺体を荼毘に付し、さらにそれを待っていたかにように13日になってようやく令状を取って現場の通行を制限し現場検証を行っていた。

 しかしその13日にも、その後にも、さらに現場以外の例えば安倍元首相が担ぎ込まれた病院の内外等でも、新たな銃弾が発見されたとは報じられていなかった。

 29日のNHKの報道に戻るが、その安倍元首相に命中した2発の銃弾のうち、1発が見つかっていないということは「1発は見つかっていた」ことになる。

 いつ、どこで見つかっていたのか? またなぜ公表されなかったのか?

 ここにこだわる理由は、銃弾とりわけ安倍元首相に命中した2発の銃弾は「事件の重大な証拠」である。同時に銃撃犯とされる男の手製銃以外から発射された可能性の検証にも絶対に必要だからである。

 ましては(以前も書いたので詳しくは繰り返さないが)安倍元首相に命中した2発の銃弾は、銃撃犯とされる男の手製銃から2発目に同時に発射されたはずであるが、「銃弾の方向」が全く違う。つまりこの2発が同じ銃から発射されていない可能性が残る。

 あくまでも可能性が残るだけなので、その2発の銃弾を検証すれば十分となる。
 
 そんなときにその銃弾が2発とも消えていたとなると、何がなんでも探し出さなければならないが、奈良県警察本部は取材に対して「銃弾が見つからなくても捜査に影響はない」と説明していたなど「意識的に探さなかった」というより「最初から隠していた」としか思えなくなる。

 そこへ「1発は見つかっていなかった」つまり「1発は見つかっていた」と言われても、今度は「どうだったことにしたいのか?」と考えてしまう。

 つまりますます「困惑させられる」結果にしかならない。またこの件の続報も出てこないはずであるが、また何かが分かれば続編で書く。こういうことが続くので、陰謀論者でもない本誌でも、いろんなところに気を回さなければならなくなる。

 また26日付け「疑惑の凶弾 その4」で書き始めていたケネディ暗殺事件との「類似点」も、続編で完成させる。

2022年7月30日に掲載