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イスラエルの司法改革に抗議の大規模でも、主催者は「50万人参加」なぜ現在の司法改革が批判されているのか

 3月27日に発表されたイスラエルのネタニヤフ首相の声明によると、政権が進めていた「司法改革」の立法手続きを4月末まで停止するという。これは、大規模な抗議デモが続いていることを受け、野党側との対話を実施するためである。ただし、改革を実行する姿勢は変えておらず、先行きは見通せない。政権を追い込む引き金になったのは、ガラント国防相の25日の発言だ。ガラント氏は改革に抗議するため、軍の予備役が「職場放棄」を始めたことを受け、「(改革は)国の安全保障に対し、明白な脅威だ」と主張。改革の延期と超党派での協議を求めた。しかし、改革の早期実施にこだわるネタニヤフ氏は26日夜、ガラント氏を更迭。これに対し、国内各地で数十万人が参加する大規模デモが一斉に起きた。

 イスラエルの人口は900万人ある。主催者の発表が正しければ、全人口の約5%がデモに出たことになり、週末のデモは連続10週目となった。発表によれば、商都テルアビブだけで24万人が参加。エルサレムでは、ヘルツォグ大統領邸の前に数百人が集まって国旗を掲げ、「イスラエルを独裁国家にさせない」などとスローガンを唱えった。

タニヤフ政権に対する抗議デモに集まった人々

 デモ参加者らは、改革によって司法の行政、立法へのチェック機能が低下することを懸念している。

(右)タニヤフ首相(左)ガラント国防相

イスラエルでは、過去数年間にわたって複数回の司法改革が行われてきた。しかし、現在の司法改革については、批判的な意見も多くある。この記事では、なぜ現在の司法改革が批判されているのか、その理由について説明してみたいと思う。

政治的介入の危険性

現在の司法改革は、過去に比べて政治的介入の可能性が高まっていると批判されている。具体的には、裁判官の任命プロセスにおいて政治的な力が介入する可能性があるということである。過去には、政治家や政治的な利益団体が、裁判官の任命に影響力を行使することがあったため、この点については慎重な対応が求められる。

司法制度の疑念

現在の司法改革によって、一部の市民は司法制度に疑念を抱くようになっていると指摘されている。例えば、裁判所が長期間にわたって不十分な処理をしてきたため、一部の人々は、司法制度に対して不信感を抱いている。そのため、今回の司法改革で、市民に対して十分な説明や情報開示が必要とされている。

刑事司法制度への影響

現在の司法改革が、刑事司法制度に影響を与える可能性があるとも指摘されている。例えば、裁判官の任命プロセスによって、司法制度における刑事事件の取り扱いに影響が出る可能性がある。また、代替紛争解決の導入によって、刑事事件に対する市民のアクセスが限られることになる可能性があるため、慎重な検討が必要とされる。

以上のように、現在の司法改革には批判的な意見が存在している。このような批判にもかかわらず、政府は引き続き司法改革を進めているため、今後もこの問題に関する議論が続くことになるだろう。


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