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【落語遠征】さっぽろ落語まつり

2023年5月26(金)~5月28日(日)に催されたさっぽろ落語まつり。
今は亡き六代目円楽の最後のプロデュースだそうである。

私の参加は、
5/26(金)
13:00~〝円楽夢の協会統一 昼席〟 札幌文化芸術劇場hitaru
17:00~〝円楽夢の協会統一 夜席〟 札幌文化芸術劇場hitaru   

5/27(土)
11:00~〝まもなくみんなおじいさん!〟 道新ホール
以上三席である。

全十二席のうちの四分の一。
コンプリートした人もいたんだろうなあ。
萬橘師匠の出番は全四席だが、私が参加したのは二席。半分か。

それぞれの演目は以下のとおりです。

5/26 円楽夢の協会統一昼席
書き順を間違えると
〝円楽夢の統一協会〟になる
5/26 円楽夢の協会統一夜席
漢字も間違えると完璧に
〝円楽夢の統一教会〟である
まもなくみんなおじいさん!
そらそうだけど……
出演者全員に不評だったタイトル

のどかな登別温泉で湯を楽しんだ後、札幌入り。
大都会で会場を探してさまよう方向音痴であった。

まず5/26(土)の会場、札幌文化芸術劇場hitaruがハンパない。
四階席まである全2300名以上収容の大ホールである。
はっきり言って落語向きの会場ではない。
オペラやミュージカル用の会場である。
実際この先の予定は「サロメ」「フィガロの結婚」だし。
「さっぽろ落語まつり」はいかにも場違いである。
けど、この大会場がほとんど満員なんだね。
北海道のみなさんは、この落語会を楽しみにしてらしたんだね。
善哉、善哉。

三遊亭萬橘師匠は、例によっていの一番の登場。
まずはこの大会場を温める役である。
(円楽一門会の代表なのに殆ど前座……)
もちろん充分にその役割を果たした。

志の輔師匠は……いや立川流真打は皆そうだろうが、こういう大会場に慣れている。
堂々と「ねずみ」を語るのだった。
宿の主人が身の上を語る場面も、甚五郎に促されて……という自然な流れだった。
(個人的には、兼好師匠の改編による但馬屋大活躍の型も嫌いじゃない)

札幌といえば時計台
迷子の最中に見つけた

だが私が最も感服したのは、夜席の一之輔「らくだ」である。
見事なトリだった。
前方の全てを忘れさせるほどに物凄かった。
私は一階最後列に近い席だったけど、あの大会場全体を包み込むような圧倒的な勢いは充分に届いた。
またあの空間の観客が、舞台の小さな点にも等しいたった一人の人間に集中させられ、飲み込まれる様子が目に見えるかのようだった。
そもそも「らくだ」であんなに笑ったことないし。

と当日も大いに興奮したのだが、遠征から帰ってつらつら考えた。
あの時、一之輔師匠は仕草をかなり大袈裟にやっていたように思う。
カンカンノウなど特にそうである。
そりゃ、そうだ。
二千人越えの大会場で数百人規模の会場と同じような動きでは、伝わるものも伝わらなかろう。
逆に寄席であのままやったら、大袈裟過ぎてしらけるだろう。
会場に応じて演じ分けの出来る一之輔師匠なのだった。

札幌大通公園
道新ホールのすぐそば

そして私にとってのラスト5/27(土)道新ホール。
こちらは収容人数700名だそうである。
落語会場としては、まずまずありがちな規模である。

どことなく昔懐かしいホールである。
と思っていたら昭和38年の開館。それは懐かしい。
〝まもなくみんなおじいさん!〟
のタイトルにふさわしい会場なのだった。
(しかしこのタイトルは出演者に不評だったし見ているこちらも謎だった)
そして令和6年 6/30に閉館の予定だそうである。
道民のみなさんには思い出深き場所なんだろうなあ。

毎度の感想だが地方落語会で笑点芸人とテレビタレントはお得である。
三遊亭萬橘師匠が出て来た時、会場全体に巨大な疑問符が浮かぶ。
「誰?この人」
と客席の一人一人が思っているだろうしらけた空気。

(前日の札幌文化芸術劇場hitaruでは萬橘師匠の存在が疑問符以前だったのは、トップバッターで遅れて入って来る人もいるような状況だったからである……悲しからずや)

道新ホールの緞帳

「テレビで見たことない」
「笑点に出てないし」
という声なき感想が会場内に漂っている。
テレビや笑点に出てなくても、面白い落語家はいっぱい居るんだよ!

後半、立川志の春師匠が出て来た時も同じ反応だったけど。
でも志の春師匠が、
「萬橘さんは44才で私は46才」
と言った時の会場のざわめきたるや!
更に萬橘さんをアウェーに押しやるのだった。
「あの白髪頭が44才!?」
って、ほっとけ!!

でも仲入りで後ろのご婦人が、
「この萬……何とかいう人、面白かったわね」
と呟くのに留飲を下げる私なのだった。
いや別に、萬橘さんだけを見に北海道に行ったわけじゃないけれど。

正直に言えば、関東に住んで都心のさまざまな落語会に足を運べる恵まれた身で、わざわざ地方の落語会に遠征する必要はないのかも知れない。

以前、三遊亭白鳥さん肝煎りの新潟の落語会に遠征した折、図らずも柳家喬太郎師匠がのたまったものである。
「お前らが東京から来るから、地元の人が見られないんだよ!」
まったくである。

いろいろな落語家を見られない地方の方々に、各派の落語家を紹介しようという円楽さんの計らい。
それは地方の方々が享受すべきものなのだろう。
邪魔して、ごめんねごめんね~ ♪

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