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元気な高齢者が地域を盛り上げ日本を活性化する!!

毛塚英俊

少子高齢化による人口問題が日本の大きな課題になっている。ボリュームの多い団塊の世代が間もなく後期高齢者となり生産年齢人口(15~64歳)の割合が減り支え切れなくなるのではないかという悲観的な予測だ。人口構成比については誰が何を言おうと避けようがない現実だ。

また、都市部への人口集中により地方が過疎化していく問題もコロナでこれだけ密のリスクが叫ばれても一向に解消する気配がない。沢山の地方の消滅が危惧されている。

この二つの問題の当面の解決策は実はシンプルだ。対象となる「高齢者層がより長く元気に活躍し若者を支え地域を良くしていく事」そしてそういった地域が地方に多数発生し人口が分散していく事だ。

今回のコラムでは私が暮らしている笠間市の「NPO法人 グラウンドワーク笠間(以下GW笠間)」の高齢者達の活躍を皆様に紹介したいと思う。私自身が感銘を受け続けているその「パワフルな行動力」と「地域を良くしたいという純粋な想い」を少しでもお伝えできれば幸いに思う。

1.地域の未来に笑顔の種をまこう  ~グラウンドワーク笠間の活動紹介~


「GW笠間」とは36名いるスタッフの大半が高齢者(平均年齢74歳)の非営利活動法人(NPO)、当時遊び仲間だったシニア3人が「人生のラストステージを遊んで暮らすのではなく地元(笠間市)の為になることをやろう!」と意気投合してスタートしたという組織は間もなく創業10年になる。

元気なシニア達が「シニアだからわかることがありシニアだからこそできることがある」との思いで、「無理はせず、愚直に一生懸命に、仲良く楽しく」多岐にわたる社会貢献活動に果敢に取組んでいる。(活動全ては紹介しきれないので是非ホームページFacebookをチェックしていただきたい)

活動の中には胸を打たれるものが多い。子供達の通学の安全を守る為の朝の「立哨活動」。メンバー有志が学校のある日は雨の日も風の日も休まず約10年間続けている。悲惨な交通事故のニュースを見て何か自分達でできる事はないかとの衝動でスタートしたとのことだがやり続けることは簡単ではない。該当地区の子供達に元気に挨拶する子が多いと感じるのも活動の成果なのかもしれない。

コロナ禍においても困っている人達から目を背けない。「こんな時こそ助け合おう! 雨が降っても傘をさせば出来る事がある」として資金を集め多数飲食店の宅配サービスに取り組み、配達はもちろんシニアメンバーが受け持った。「できることを考えとにかく動く」という姿勢には本当に頭が下がる。

子どもから高齢者まで多世代が輝いて楽しめる居場所作りとして、多目的ホール「ふれあいサロンかさまーる」を拠点として様々な交流企画を実施、各種イベントではシニア女性メンバーが抜群の家事力を発揮しおもてなしを実施している。

更に子供達の安心できる居場所として学習サポートや食事提供をする「ともだちハウス」を「夜9時迄開設/夕食提供/低料金」をコンセプトに運営している。多世代が交流することにより町が活性化する事例は全国各地で出てきているが、自己肯定感が諸外国に比べて低いという日本の子供達にとって、学校以外に自分達を認めてくれる人達がいる「第3の居場所」がある事はとても貴重だと思う。不登校児の数が(コロナの影響もあり)増え続けている事が問題になっているが、そういった難しい課題にも怯まずに立ち向かい学校や市の教育委員会と連携し、自分達でできることを模索し続けている。
 
デジタル化への取組についても(なんと)積極的でPR活動にはSNSを駆使し、「笠間ふれあいTV」というYouTubeチャンネルも立ち上げている。「輝いて活動する背中を若者達に見せ夢を与えることが高齢者の責務である」と理事長(79歳)は言うが、若くはない私も沢山のエネルギーをいただいている。


2.「強度」×「鮮度」  ~「繋がり」を武器に未来につなげていく~


私自身の立ち位置だが、理事長と家が近所でゴルフ仲間という縁があり、「非常勤アドバイザー」という立場で末席ながら関わらせてもらえることになった。現状教えてもらう事ばかりだが、何とかこの素晴らしい組織を更に繁栄させたいと日々考え始めている。

  • 広くつなげていきたい> シニア × 〇〇

「地域の課題」という点では全国(全世界)共通のものが多く、その解決に取組み成果を上げている成功事例も多くある。学ぶべき知見を持つ人(組織)が日本各地には沢山いて、そういった人達は主に非営利団体であることもあり惜しげもなく貴重な情報を提供してくれる。

現在も理事長の広い人脈により各地と連携しているが、これを更に拡充する為に繋がるべき人や組織を探すことやそのセッティングに協力していけば、「GW笠間」自体に相手にとって有益な情報もあると思われる為非常に有効だと考えている。

また、事例であげた不登校問題のような難しい課題を本気で解決していく為には専門的な知識が非常に重要となる。不登校児の抱えている課題は多種多様で地域の中だけでは解決できないセンシティブなものも多いからだ。専門的知識を有する団体や個人と繋がることにより課題解決につなげていきたい。

  • 稼いでいきたい>

非営利団体でありメンバーの奉仕の精神によって成り立っている部分も多いが、更にその活動を拡大し大きな成果を上げていく為には一定の資金は必要になる。ここにも出来る限り協力したい。

行政の交付金や、社会貢献に取り組む財団・民間企業のスポンザー支援を得ることはもちろんだが、できることならば独自で稼ぐ仕組みも作りたい。稲荷神社や焼き物があり多数の観光客が訪れる笠間市の「強度」を活かし、それにIT技術等の「鮮度」を掛け合わせることによりメンバーの地道な活動が収益に繋がる事業を必死に考えている。

イベント開催や独自商品(若さの秘訣「スッポンドリンク!!タオ」)の販売、Youtube配信等を計画しているのでぜひ楽しみにしていただきたい。

  • 未来につなげていきたい>

パワフルで前向きな組織ではあるが、健康の問題で離脱するメンバーがでてくるのは避けようがない現実だ。組織を拡大維持していく上では我々世代がバトンを受け取り若い世代へと繋いでいく事が重要なミッションになってくる。何としてもこの強度のある地域を良くしたいという「想い」やお互いに助け合うという「結の精神」を絶やすことなく繋いでいきたい。

SNS活用による情報発信、EC活用による収益化等様々な鮮度ある取組により、若いメンバーもどんどん巻き込んでいきたい。現役世代はもちろんだが学生世代も捕まえ手伝わせよう。「多世代がごちゃ混ぜになって面白い事をやっている」笠間をそういう町にしていきたい。

これからの観光は「観幸」になるとも言われている。元気で活動的なシニア達が盛り上げている面白い町は訪れる人にとっても魅力的なはずだ。そこで暮らしたいという人もでてくるだろう。そういった町が全国各地に広がってくことが日本の「地方創生」に繋がると私は信じている。

ぜひ皆様も機会があれば笠間に、更に「GW笠間」の拠点である「まちの駅 笠間」に遊びに来て欲しい。シニアメンバーから沢山の「元気」をもらえると思います。



毛塚英俊  
グラウンドワーク笠間特別アドバイザー

茨城県笠間市出身、立命館大学卒 通信会社勤務の傍らNPO法人「グラウンドワーク笠間」も特別アドバイザーとしてシニアによる町おこし活動に取り組んでいる。「犬も歩けば棒に当たる」をモットーとして「犬の道」を突き進み、全国各地の色々な町おこし系の団体の活動にも顔を出し最近では収拾がつかなくなっている。


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