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インドネシアのアーティストコレクティブとローカルの、ゆるくて密な関係

橋爪亜衣子

こんにちは、橋爪と言います。関東のアートスペース勤務後、約3年前から大分県別府市に住んでいます。

さて、別府の前に半年ほど居たインドネシアの話。

インドネシアでは、「コレクティブ」(Collective=集合体)という形態で活動するアーティストが多いです。

集団で活動するのは、ひとつにはアートの市場や政策が確立していない国でのサバイブの手法。場所や資源をシェアすることでコスト削減。そこから始まり、共に過ごすうちにスキルや知識もシェアされていきます。メンバーシップも曖昧な印象で、専門は様々、関心領域が重なり合うメンバーが加わったり抜けたり形を変え、その都度有機的にアイディアが生成されます。

とはいえ全て狙っているかと言えば、彼らのところに出かけてみると、寄り集まり、食べてなんとなく喋って、という時間がかなり多い。

えっと、今、何待ち?

違うんですよ。寄り集まって時間を過ごす、ということ自体も目的のひとつ。会議より飲み会でいい案が出るみたいなあの感じ?・・・かと思えば急に真面目になったりでびっくり。

社会運動と連動するコレクティブも多く、森林保全のフェスを開催したりとか、アート=作品制作というだけではなく、クリエイティブな社会実践も射程範囲な模様。

インドネシアでは1998年に30年以上に及ぶ独裁政権が崩壊するまで、5人以上の集会が検挙対象だというほど言論の自由が封じられていました。政権交代を機にまずは寄り集まることから始めたのが、老舗コレクティブ「ルアンルパ」(アートの家、みたいな意味)。活動が社会を構想することとセットになるのも自然な流れですね。

彼らはアートスクールやフェスティバル等の活動を続け、現在はジャカルタ郊外の敷地にスペースを持っています。写真もその部屋のひとつ。子どもがめちゃくちゃ遊んでました。小さな図書館や食堂も併設し、展覧会やマルシェ、音楽イベントなど開いて、近隣との関係も築いています。

分野を超えた化学反応とか、さまざまなひとが参加でき混ざり合う場とか、日本のローカルでの実践に近い気もしますよね。

そのルアンルパは、現在ドイツで行われている5年に一度の美術の祭典、ドクメンタでディレクターを務めており、各国からたくさんのコレクティブが集まっています。近く=ローカルを見て活動することが、遠くにも届く。ドイツで彼らは、どんなコミュニティを形成しているのか?

行って見てきます!


橋爪亜衣子
大分県別府市在住。アーティスト・イン・レジデンス兼企画チーム(ゆ)共同代表。EDIT LOCAL BOOKS「危機の時代を生き延びるアートプロジェクト」寄稿。ときどきアートマネジメント、会計。

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