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【物価上昇】本の値上げ、いつ止まる!?

こんにちは。
現役教材編集者のえでぃです。

日本中の人々の頭を悩ませている、物価高。食品をはじめ、さまざまなものの値段が上がっていますよね。もちろん、本も。

あまり感じないという人もいるかもしれませんが、定期的に本屋に行く人や、同じシリーズの本を買っている人、ドリルや雑誌といった消費スパンの短いものをよく買う人は感じているのではないでしょうか?

ぶっちゃけどこまで上がっていくのか。下がることはあるのか。
前後編でお届けします。

前編は、本の価格が今より下がることはあるのか。についてです。

本の値段、下がりはしない。

結論から言うと、今より下がることはまぁないでしょう。
食品や生活必需品の価格が落ち着いてきたとしても、本の価格は下がらない…その理由をいくつかあげます。

本ってそもそも価格改定しにくい。

まず、本の値段を書店が好きに決めることは、法律的にできません。
つまり、本の裏表紙に書かれている値段の記載とバーコードを変えるしか、価格を変える手段はないのです。
そのためには、

  1. 新しいバーコードの取得

  2. 既に市場にある本に、新しいバーコードを貼る

  3. 新しいバーコードがついた本をつくって搬入

この作業が必要になります。簡単に書いていますが、めちゃくちゃめんどくさい。価格を下げる=利益が下がるために、こんなこと普通しません。

つまりは、初刷り制作時の物価で値段を決めたら、その後どれだけ物価が下がろうが、価格は変えない。(利益は増えるので出版社としては万々歳。)

本を作るためのコストが下がらない

昨年あたりから、ここ何十年も価格が上がることのなかった紙代がついに値上がりして、編集も営業もみんな頭を抱えました。
版元たちとの交渉を重ねて、なんとか値上げした紙代を下げる、なんていうことはまぁないでしょうね。
製本代、印刷代も軒並み値上がり。
一度上がったものを下げるのは、まぁよっぽどのことがない限りないでしょう。

今までも結構かつかつだった

最近の物価高が話題になる前から、そもそもかつかつでやっています。もちろん、すごく売れている本とか漫画とかは別ですが、少子化が進む一方の児童書などは、余裕があったわけではありません。

ここまでをまとめましょう。
この物価高で新刊の値段がどんどん上がる。でも簡単には下げられないし、競合他社との探り合いもある。そもそも値段を下げられるほど余裕があるわけでもない。となれば、物価が落ち着いてきたころに出版される本はわかりませんが、最近発刊されている本や、改訂される本は、この物価高状態での値付けでこれからも販売されることになるでしょう。

ただ、版元によって戦略は様々。
しっかり値上げする分、本の魅力を増やすやり方もあれば、従来と同じ値付けにして、クオリティを下げるやり方もあります。
他の要因もありますが、すべての新刊が高くなるわけではありません。

というわけで、前編はこのくらいにして、続きは後編へ。
後編では、値上げがどうなっていくのか、について話そうかなと思います。
では。

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