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塩田千春展:魂がふるえる

どこかのサイトでたまたま観た、巨大な空間にびっしりと糸をめぐらした作品。写真でこれだけ脳に焼きついてくるってことは、実際観たらすごそうだな〜と思い、ずっと楽しみにしていた塩田千春の森美術館での展覧会

初日に行ってみたらかなり空いててびっくり。森美術館にしてはネームバリューが低いからかな〜。こちらとしてはじっくりゆったりと観れてよかったけど(来ている人は8割が外国の人)。

館内入ってさっそくお目当ての「不確かな旅」という作品。床に置かれた舟形のフレームから、壁や天井に向かってびっしり絡みつく真っ赤な糸。部屋の広さも相まって、異様な迫力。

近くで観たらその密度にクラっと来るし、離れて観たら部屋いっぱいに血の蒸気(赤い糸)が渦巻いてるようにも観える。作品の説明書きを見なくても、感覚的に”何か”を理解させてしまう強度がある。

そこからは今までの活動を追っていくような展示で、どれも生々しくて生と死が匂い立つような作品が続く。ただ、ドイツで活動していることもあって、使われている素材や場所、英字表記などが少し生々しさを軽減させてくれていた(日本の素材や場所だったら、ホラー感があるかも)。

その流れで途中にいくつか大きなインスタレーションがあり、どれもいい。「不確かな旅」の前作品である「静けさの中で」という作品も、部屋中を真っ黒な糸で覆い尽くしていて、すごい迫力だった。

この黒い糸に感じるものが、亜人という漫画に出てくるIBM(黒い幽霊)にすごく似ている。感覚的に同じようなものを表してるのかも。

最後まで観終わって、作品の見せ方・流れ、作品数の多さなど文句なくよかった。大きな美術館でこの規模の展覧会をやってくれたことに感謝しかない。

あと、全く面識はないけど、塩田千春が同じ大学で同学年ということが後日判明(学部は違うけど)。どえらい才能が京都→ドイツで開花したもんだ。


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