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改姓して思うこと 匿名化された自己

結婚して改姓した友人の話。

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選択的夫婦別姓を支持していたし、自身のルーツを示す姓を捨てざるを得なかった海外の人のエッセイを読んで、改姓の強制がアイデンティティに及ぼす影響についてずっと考えてきた。

いざ変えてみると、煩わしさと理不尽さに憤りを覚え、信じられない、かくも簡単に、と思った。しかし同時に、憤っても仕方ない、という諦念も生じ、頭の片隅で、なんとか憤りを鎮めて善処しようと努力を始めたのがわかった。

一つ感じたのは、新たな姓を含むわたしの名前は、なんの文脈ももたないまっさらな名前であるということ。その名前で検索しても何も出てこない。その名前を外に出しても、何の情報も引き出せない。匿名性が高いように感じられるのに、対外的にはそれが本当の名前であると扱われる不思議。こんな感覚、感じる必要なかったけど、改姓前は気づかなかった気持ちとして、覚えておきたいと思っている。

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