読売新聞#20240928

 皆さんは「ヤマノカミ」という名前の魚をご存知でしょうか。漢字でそのまま「山之神」と書く、15㌢ほどのカジカの仲間です。川と海を行き来する回遊魚の一種で、国内では九州の一部にのみ生息する絶滅危惧種でもあります。
 名前から神々しいイメージを連想するヤマノカミですが、名前の由来を知ると複雑な気持ちになります。
 「昔々、山の神様がいました。醜い女の神様で、それはそれは嫉妬深く、美しい女性が山に立ち入ると怒り狂って災害を引き起こしていました。困り果てた人々は、山の神様の機嫌を取るため、とても不細工な魚をお供えしました。するとどうでしょう、山の神様は自分より醜い姿を見て高笑いし、とうとうご機嫌になりました」
 ここで登場する不細工な魚、これはヤマノカミです。実際に、似たような言い伝えは全国津々浦々で継承されており、いつしかカジカやオコゼなど見た目の醜い魚を山の神に供える風習を生みました。ちなみに生魚ではなく干物にしてお供えするのが一般的だそうです。

さいたま水族館では、10月5日から期間限定の特別展「おさかな津々浦々」が開催されます。ヤマノカミが当館で初展示されるそうです。ご興味のある方はご来館されてみては如何でしょうか?

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