時代別のバンド演奏や宅録作品を聞いてみた
昔のアマチュアバンドや宅録作品の動画を探してみました。
バンド演奏
◼️1965年
1965年に楽器メーカーブランド、グヤトーンが主催したコンテストだそうです。
演奏はすごいと思う。ただ、チューニングが合ってないバンドが普通にいる。全国大会なのに。
どうしてここまで合っていないのか?
どうやらこの時代はチューナーがなかったらしいのです。
蛇足になりますが、少年時代のビートルズのジョンがポールに接近した理由は、「ギターのチューニングができたから」らしいです。
また楽器の精度もそこまで高くなかったのではないでしょうか。
むしろ個人的には観客が気になっていて、もそれでいい、受け入れている、ということから「チューニングって合ってなくて良いのか?」と、考えてしまいます。
◼️1989年
70年代のアマチュアバンドの動画を探したのですが、ないのです。
その頃は録画媒体はフィルムでしたので、録音にも機材や技術がいるし、主に暗い場所で演奏するアマチュアバンドを撮影するという人はいなかったのだと思います。
さて、これは1989年、いわゆる「バンドブーム」真っ盛りでして、この頃になると動画が一気に増えます。
ここに出ている人は後にプロとして活躍されました方もいらっしゃいます。
なので前にも紹介したことがありますが、ビートルズコピーバンドの紹介番組を。
◼️1992年
聞いて思うのは粗削りですよね。
現代では、メディアやSNSでリコメンデッドされる方はクオリティがとても高いことが多いのですが、それに比べると当時の演奏レベルはやはり今ひとつだと思います。
でも、例えば60年代のエレキギターのペケペケ音(これはこれで良いですが)と比べると、機材はとても良くなっていると思います。
宅録
◼️1980年代中期
この頃、テープ媒体の4tr.MTRがアマチュアにとってメインとなる録音作品制作ツールでした。なのでオープンリールかカセットテープかはわかないのですが、テープ媒体で録音されていると思われる作品です。
先日、カセットテープMTRの音質はローファイではないと書いたのですが、それの証明としてテープ媒体の実力を知っていただくことができると思います。
ノイズが入っているのは不可逆媒体だからです。
そう考えると、この方の演奏能力の高さを窺い知れると思います。
◼️1990年代後半
先日も紹介したRocket or Chiritoriなのです。
「1980年代より音悪いじゃん!」と思われると思いますが、たぶん録音は同じ4tr.MTRで、機材の質とスキルの差だと思われます。
リズム隊の音が悪いのは「ピンポン録音」という、4trで録音したものを一度ミキシングして1tr.(モノ)または2tr.(ステレオ)にまとめる工程をしていて、その分音質が悪くなるのです。
このように、さまざまな面の実力差がはっきり出るのがアナログ録音です。
波形編集できないですし、弾いたものしか録音できないですから、当然シンプルな楽曲になります。
でもこれはこれで良いと思いませんか。
DAWでは絶対にできないものがある。
ここまで聞き比べると、ツールが音楽を作っていると言っても過言はないように思えます。良い悪いは別として。
今のDTM作品と比較して考える。
そして、現代のDAWで作った作品とそれ以前MTRの作曲創作の違いとは、
DAW→譜面に書けるところの特徴や個性を出す
それ以前MTR→譜面に書けないところの特徴や個性を出す
だと思ったのです。
なのでプロも含めて、演奏できるかどうかは関係なく、複雑な構成や展開が勝負の鍵になってきました。
音楽の勝負所が衝動ではなくプログラムされたものになっちゃったんですね。
でもアマチュアの人が持つ、譜面に書ける部分のネタってあまりストックがなくて、よほど才能があるか勉強を続けない限りすぐにネタ切れしちゃうと思います。
特にボカロPって賞味期限が切れるのが早いと感じています。数作聞かせてもらったら、「もう結構です」という気持ちになってしまう。
それは上記が理由だと思います。
一方で、アナログMTR録音作品の名作が、ノイズが多くても、下手くそでも、テンポが遅くても、飽きないし、いまだに心を打つのは、「譜面に書けない部分」が濃いからだと思います。
そこはDAWに頼っている限り出りないし、結局、演奏とか歌を頑張るしかないと思うのです。
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