ライブハウスのビジネスモデル転換期?

以前、ライブハウスのビジネスモデルは限界に来ているのでは?という話をしたことがあるのですが、その実証みたいなツイートを拝見しました。

「ライブハウスのブッキングをキャンセルする人が多過ぎて、事業として成り立たないので、事業売却することにした」
という話です。

私が思うに、ライブハウスと出演者側との意識の違いが生まれていると感じます。

以前、Twitterで「『チケットノルマ』という名前に違和感がある。『ステージ使用料』にした方が良い」という意見を拝見しました。
実は、その引用をさせていただいておりましたが、引用先の方からの誤解との指摘を受け引用を削除いたしました。誤解していたことについてはお詫び申し上げます。(2023/8/3)
ただ、私は「『ステージ使用料』にした方が良い」という意見もごもっともだと思うし、そう思っている人も少なくないのではないかと思うのです。

本来、ライブハウスはエンターテインメントを提供する場です。
なので、ライブハウス、出演者、お客さんがいて初めて成り立ちます。ライブとはその3者による共同作業です。少なくとも昔はそういう文化でした。
なので出演者には責任があります。お客様を呼ぶ責任、そして楽しませる責任。だから「ノルマ」なのです。ステージに穴を開けるなんてもってのほかで、トラブルがあったとしてもサポートを入れるなりして、できる限り出演するべきでしょう。

しかし、ライブハウス側はその意識だったとしても、今の出演者側は違うのではないでしょうか?
おそらく、ほとんどの出演者は「自己満足の『発表会』であり、カラオケの延長」みたいな意識なのではないでしょうか

はじめから自らの実力を認識しており、エンターテインメントができるとは思っていないのです。ある意味、今の若い人は頭が良くて、自分がスターになる妄想なんてできないのではないでしょうか。
なので「発表会のためにステージを借りている」という意識なのかもしれない、と考えました。

【ライブハウスの意識】→ エンターテインメントを提供する場
【ほとんどの出演者の意識】→ 友達を呼んでやる「発表会」、カラオケの延長

このギャップが悲劇を呼んでいるのではないか?ということです。

というのは、私の時代は急遽出演しない、というのは記憶にないのです。弾き語りにするとか、サポートを入れて乗り切るとか、そういったことはありました。
そんなことをしたら信用を失い、2度とお声がかかりません。出演キャンセルをするアーティストというのは、そういったことが考えられないか、「キャンセルは消費者の権利」と捉えているのだと思うのです。

そして現実として、エンターテインメントを提供できるアーティストはほとんどいません。
経験上、公開ブッキングオーディションでイベントに誘われなかったり、ブッキングライブ一発目でリピーターを獲得できないアーティストは、頑張ってもほぼダメで、地腹を切って出演を続けるだけだと考えています。

なので、実際のところ、場末のライブハウスは、そのほとんどが、おじさんが集うカラオケスナックと機能的には変わりません。「地域の交流の場」です。ファッションが違うだけです。

私としては、真のエンターテインメントを提供できるライブハウス以外の、「発表会」の場としてのライブハウスは、ビジネスモデルとシステムを変更する時代なのではないかと考えています。
少なくとも、まだ「自己満足のための発表会の場」としてのニーズはあるのですから、ビジネスとしての可能性はあると思います。


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