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最近の記事

『ナミビアの砂漠』感想(ネタバレあり)

先週、『ナミビアの砂漠』という映画を観た。 すごく面白いわけではない、けれどもつまらないわけでもない、評価の難しい映画だった。 いや、こうやって感想を書くくらいなのでやはり面白かったのだが、その面白さは、映画体験として一般的に想像される面白さ、興奮や感動からは、かなり離れたところにある興味深さだった。 というのも、この映画は一般的な起承転結のある物語ではなく、主人公のカナという女性の「観察記録」であるからだ。 137分。けっこう長い。視点がカナから動くこともない。そして、その

    • 実機リバーブ『OTO MACHINES BAM』使ってみた

      OTO MACINES BAM とは おフランスのメーカー「OTO MACHINES」社が製造・販売している実機リバーブ「BAM」。日本の販売代理店サイトによれば「BAMは1970年代後期~1980年初期のデジタル・リバーブ・ユニット(EMT250やLexicon 224など)の持つ、太くて派手なサウンドを再現した個性的なリバーブ・エフェクト・プロセッサーです!」とのこと。 自分は EMT250 とか Lexicon 224 はなんとなく名前聞いたことあるかも、程度で詳し

      • 人間は受動的存在か、意識的存在か

        この論争は、おそらく古くからある。 まあ古代とかはよくわからないけど、例えばキリスト教が社会全体を覆い尽くしていた中世ヨーロッパなどでは、人間はほぼ完全に受動的な存在としてみなされていただろうと思うし、その反動でギリシャローマの文化が復活したルネサンス期以降は、むしろ意識的な存在であることを謳歌しはじめたのだと思う。 でもその後、実存主義が出てきて、構造主義がでてきて、それに対するポスト構造主義が出てきて、現代思想は混迷を極めている。まあそれを話し出すと終わらなくなっちゃう

        • 初音ミクと時間

          初音ミクは歳を取らない。 生身の人間ではないのだから当たり前だが、音楽という芸術分野において不老不死の歌唱者が出現したことは大きなインパクトのある事象である。 いうまでもなく、音楽とは時間芸術だ。始点と終点があり、その間を区切ることで展開を持たせ、さらに細かく区切ることでリズムをつける。4分の曲であれば4分間の空気の振動を表現者が支配することで成り立っている。 ここで問題になるのが、芸術を芸術たらしめるためには、多くの人間の鑑賞が必要という点である。つまり「再生可能」性

        『ナミビアの砂漠』感想(ネタバレあり)

          『青』の中心で輝く永遠の「青」

          164さんの『青』が大好きだ。 164さんといえば『天ノ弱』が有名で、もちろんそれも名曲中の名曲である。しかし個人的な思入れが強いのは断然『青』の方だ。 発表から9年を経てなお、その輝きが僕の中で色褪せることはない。なぜか。もちろん、サウンド面の迫力やメロディの美しさ、曲展開の妙は言うまでもないことだが、今回は『青』の持つ世界観を主軸にその魅力を追ってみようと思う。 *   *   * 浮遊感のある電子音がゆったりとした時間を紡ぐ冒頭の24秒。 その後、突如として厚み

          『青』の中心で輝く永遠の「青」