見出し画像

むつだの「チャイナマガジン」⑦

不定期配信・むつだの「チャイナマガジン」
~チャイナガンダムに騙されるな~ 
2011年2月12日

先週まで、旧正月のお休みで日本に帰っておりました。
滞在中、飲み会だのにお付き合い頂けた方、ありがとうございました!
で、結構方々できかれたのが、日本のメディアに大きく取り上げられた、オレンジ色のチャイナガンダム。あれどこにあるのよ。みたいな。

僕も四川にあるとしか知らないのですが、そもそもこういうパクリニュースが飛び交っているのって

「まったくマネばかりして、しょうもない国だなぁ、わっはっは」

って感じの小ばかにしたメッセージが込められているわけですよね。
でも、皆さん気づいているんでしょうか。コピーの先にあるのは、「洗練されたオリジナル」があることを。

画家になるには、まずデッサンや模写があったり、有名アーティストだって、最初は好きなバンドのコピーから始めたりします。
ある程度の基礎を作り上げるためには、人の真似をすることって、すごい有効だったりするわけですよね。

まあ、それをオリジナルですっ!って言い張ったりするのは、全然別問題でNGなわけですが、少なくとも中国文化においてコピーをした一歩先が少しずつ現れはじめています。

中国で今最も人気のあるキャラクターが何か、ご存知ですか?
ミッキー?ドラえもん?ちびまる子ちゃん?
どれももちろん人気があるのですが、どれも違います。
それらを差し置いて、No.1の座についているキャラクター、それは「喜羊羊(しーやんやん)」。

画像1

まあ、一見、どこかで見たような感じもありますが、キャラクター漫画ってそんなものですよね。じゃあ、何に似ているか?って言われてもすぐ思いつかない。となると、完全にオリジナルと言ってよいでしょう。

一日ににチャンネル回すとどっかしらの放送局でアニメ本編を目にするわけですが、その物語はいたってシンプル。

たくさんの羊キャラクターがいて、その羊たちを狼夫婦がいたずらしようと近づいてきて、返り討ちに合いめでたしめでたし系。

トムとジェリー的な話の内容ではありますが、それを言ったら、アンパンマンだって同じなので、こういうキャラモノからしたら、王道的な流れであるものの著作権云々の話じゃないですね。

画像2

驚くべきは、その収益を見越し緻密に計算された制作企画。
そもそもアニメは一枚一枚を手書きで仕上げていく緻密さから実写の何百倍も製作コストがかかってしまうことがよくあります。日本では漫画週刊誌において、ある程度のファンを獲得している漫画は、一定の視聴率を見込めるので、収益見込が立てやすくアニメ化しやすい。

そういった漫画週刊誌という土壌がない中国ではいきなり多額の投資をするアニメ制作は非常にリスクがあるわけですが、そこを喜羊羊はFLASH技術を用いて、超低コストに抑えた。

そして、なぜ羊と狼をモチーフにキャラ設定をしたのか。
もちろん動物キャラは受け入れられやすいという背景もありますが、羊と狼が天敵関係にあるということは、世界共通の認識であり、受け入れられやすいであろうという製作者の計算があったそうです。

つまり、当時から「世界で放映させるために作った」アニメということですが、その製作者の目論見どおりにことが進み始めています。

2010年11月、すでになんとあのディズニーと契約を結び、ディズニーの所有するチャンネルを通して、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール等の52カ国で放映が決定したということです。


偽ガンダム、偽キャラクターばかりに目を取られていると中国が繰り出そうとしている「本命」に足元をすくわれる可能性があります。日本のメディアは、もっと基礎が固まりつつある中国を取り上げるべきですね。


・・・話はチャイナガンダムに戻りますが、
新しいチャイナガンダム(マークⅡというべきでしょうか)はまだまだ洗練されたというレベルではありませんね。
個人的には嫌いじゃないけど。「コレジャナイロボ」みたいで。

画像3

一部のマニアには人気が出ているようで、どうせならこれをモチーフにどこかの会社、プラモでも作ってくれないかな。で、逆にこの遊園地から訴えられちゃえ、みたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?