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フリーのインテリアコーディネーターが「金は出せないけど(今後に繋がるよ)」という仕事を依頼されたら

独立して間もない頃、お世話になっていた方から「知り合いの建築会社のイベントでインテリアセミナーをやってもらえないか」という依頼がありました。
インテリアセミナー。
願ってもないチャンス到来です。

でも・・・
続けてこう言われたのです。

「予算が無くて、今回のお仕事の報酬金額は支払えない。けれど、名前を売るチャンスになるし、次に繋がると思うよ」

迷いました。
せっかくのオファー。
でも、報酬はない。交通費も出ない。
それって仕事に値するの?

でも、お世話になった方からのせっかくの依頼だし。
迷った挙句、一度は経験と思い、やることにしました。

でも、それ以来、無料の依頼は断ることを決めました。

正当な対価を払わない相手は、こちらをプロとして見ていない

あなただったらどうしますか?
なぜ仕事なのに対価としての報酬が出せないのか・・・
対価が発生しないものは・・ボランティアです。
そもそもなぜ、仕事として報酬がないのでしょうか。

考えられるのは、
「そもそもイベント自体に予算がない」(=集客による売上が見込めない)
この場合は手伝ってくれる協力業者に「協力」してもらって、イベントのコンテンツを提供してもらうということですね。
でもこの場合はすでに「協力関係」にある企業やフリーの人との今後の付き合い上のことが前提としてなければ、引き受けるべきではないと考えます。

なぜなら取引実績のない企業に「協力」して顔を売ったところで、協力業者に正当な報酬を払わない会社、なのですから、いくら「今後の話」をされても今後いい仕事は回ってきそうにないのです。
また、金銭トラブルの予感がします。

「中抜き」をされている可能性も十分考えられる

また「仲介業者がすでにお金を受け取っていて受注者にお金が渡らない仕組みになっている」ことも十分考えられます。
これは日本のビジネス界ではよくあることで、しばしば問題になります。

たとえばイベントの主催会社が予算100万円を仲介業者に渡します。
仲介業者(イベントプロデューサー)は、まず報酬として50万を自分の取り分とします。
そして、残りの50万でイベントができないかと一次受け企業Aに依頼します。

一次受け企業Aは、二次受け企業Bに、20万円で仕事を依頼します。
子会社Bは、Cさんに「報酬がなくても、名前を売るチャンスだよ」と持ちかける、という仕組みですね。

つまり、それぞれが手に入る報酬としては
仲介業者ー50万円
一次受け企業Aー30万円
二次受け企業Bー10万円
Cさん(わたし)ー無料

という構造になるのです。
私は無給ですが、イベントの主催会社は十分に高額な予算を注ぎ込んでいる、という矛盾が発生しています。

駆け出しの人はターゲットになりやすい

ではなぜ、私は無報酬ということで声をかけられたのでしょうか。
それは、圧倒的に私が不利な立場に立っているからです。

声をかけてきたのは、昔お世話になった人。
つまり、声をかけてきた人は、私のことを目下のものだと思っています。
もし私のことを目上だと認識していたら、無料でやってくれ、顔を売るチャンスだ、とは口が裂けても言えないでしょう。
・・悔しいですね。

フリーランスのICさんは、多かれ少なかれ、「無料でやって」の問題にぶつかったことがあると思います。

引き受ける時はコレを意識してみて

引き受けるか断るか・・それはあなたの自由です。
ただ、あなたもプロの端くれなら、もやもやしたまま、内面で不満や不安を抱えたまま仕事を引き受けてはいけません。

そこで、もし無報酬でも引き受ける、という場合は、次の点を意識してみてください。
なぜお金が出せないのか、率直な事情を聞いてみる
なぜ無報酬で仕事を請け負うことになっているのか、あなたには聞く権利があります。
率直な事情を聞いてみましょう。
もしこの時点で答えをしぶられたり、嫌な顔をされたら、引き受けないことをお勧めします。

本来もらうべき報酬額と、交通費や必要な備品の金額を算出する
本来あなたがもらうべ金額を算出してみてください。
そして
「今回は特別に引き受けますが、次回からはいくらで引き受けます」と金額を設定する返答をしてください。

一度無料で請け負ってしまうと次回も無料で、と言われる可能性大ですから。

お金の代わりに何が得られるのかを意識して仕事する

お金の代わりに顔が売れる、有名な方と一緒に仕事ができる、
そういう理由で無料での奉仕を頼まれたら、お金の代わりに何を得たいのかを意識して、それを得るための準備を行ってみてください。

たとえば、参加者に自分のビジネスを紹介したチラシを配る、連絡先をゲットする、次の一歩に繋がるアクションを必ずつけましょう。むしろあなたの目的はここにあります。

駆け出しの時は、自分に自信がないことも相まって、金額の設定がなかなか難しいというインテリアコーディネーターは多いです。
無料での奉仕をどう捉えるべきか。
いざとなった時に悩んだりアタフタしないように、自分で最初に引き受ける、引き受けないルールを決めておくと、ストレスなく次の仕事につながりますよ。


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