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カナダのパンがおいしい: 2024年5月26日

出張でほんの短い間、カナダのトロントに行っていた。トロント、ビビるくらい都会。ビルがでかすぎる。30階建てのビルが小さく見えるほど、とにかくタワマン、ホテル、バカデカオフィスビル、と数十階レベルのビルがドンドコ建っている。行ったことないけどニューヨークとかこんな感じなのかしら。

トロントにはカナダ料理の店はとても少なかった。ホテルの人に聞いて教えてもらった、カナダローカルフードを銘打ったレストランはあったがメチャクチャ高くて(あと混んでて)諦めた。円安云々の前に物価が高い。というか、そもそもカナダの料理というものはこれといってないと言われた。そうなん?ステーキとか?
少なくとも私が滞在していたホテルの周りはアジア系の店がずらーっと並んでいたので、そういう街なんだと思う。焼肉とか、丼飯とか、タピオカミルクティーもあれば、韓国料理だったりインド料理だったりした。ラーメンもあった。しかも結構日本で食べるのと遜色ないくらいおいしいらしい。食べに行った同僚曰く。

そんなわけで特にカナダならではの食べ物には期待していなかったのだが、ホテルの朝食バイキングに積まれていたちっさいクロワッサンがあまりにもおいしそうだったので確保した。そしたら、思い描いてたクロワッサンの100倍美味しくてのけぞった。
日本のパン食べ放題ビュッフェとかで食べる、よくあるやわらかクロワッサンとも違い、フランスで食べたパリッパリのでっかいクロワッサンとも違う。めんどくさがってリベイクしなかったせいか、かえって冷えたバターが口の中で溶けたときの香りが際立った。表面はシャリサク、中はしっとりしているのに歯切れがよく、バターの香りと小麦の甘さが混ざり合う。うますぎて目が開いた。なんだ。これは。
日本で上等なクロワッサンを目指すと、多分フランスのクロワッサンに寄せにいくのだと思う。フランスのクロワッサンは外側のパリパリ部分がとにかくおいしいが、そのとき食べたカナダのクロワッサンは中身を食べるタイプのように感じた。小麦の上等な甘みを感じる!
でも、まあパイみたいなもんだし、甘みを足して作っているのかもしれない。それにリッチなパンはうまいのは当たり前だから。
で、もう一つとってきていた薄切りの小さい食パンみたいなパン。色からしておそらく全粒粉のシンプルなパンだ。これならもっとこう、実力勝負な味がするかなと思った。トースターが混んでいたのでこれもリベイクなしで、ブルーベリーのジャムをつけてかじった。
これも目を見張るほどの小麦の甘みだ。焼いてないのに歯切れがよくて、バターを塗ってないのに全然パサつかない。日本のもちもちフワフワ食パンとも違い、ヨーロッパのすこし酸味のある硬めのパンとも違う。とにかく小麦の味と香りと甘さが引き立って本当においしい。
感動しつつも、まあこのホテル結構上等なところだし(仕事なので)、と、それほど信じていなかった。何しろカナダはパンが美味しいよ!などという前情報は誰からも聞かなかったからだ。その場でネット検索しても、カナダのパンはおいしくない、日本の食パンが恋しい、などといった評判が目についた。

ソーセージを横向きに盛ると映えないことがわかった



しかし、会議会場で出てきた軽食のピザも、パンみたいなふかふか生地でまたうまかった。ナポリピッツァの生地ではない。いやまあ、会議会場のホテルもいいとこだし。高いからうまいと言う線も捨てきれない。まだまだ。

翌日、街中のイタリアンで、注文したパスタの前に出てきたのは2cm厚くらいにカットされたバゲットだった。まさか…これもか?と思いながら口に運んだ。見た目はフランスのバゲットとは似つかない、中身のやや詰まった、皮の焼き色が薄めのバゲットだった。
やっぱりおいしかった。提供前に軽く温めてくれたのだと思う。口に入れる前からふわっと香る小麦の香り。皮はしっかりカリカリと厚めに焼かれているのに、中身はしっとりとしていて甘い。パスタが食べきれなくなる可能性があるので泣く泣く1切れだけにしたけれど、このバゲットを人数分独り占めしたい…と思うくらいおいしかった。
その場に同席した同僚に、パンが美味しいと思わん?と話したが、同意してくれたのはひとりだけだった。まあ美味しいけど、普通かな。という感じ。そうなん??私、何ならフランスの超美味しいバゲットと同じくらい好きかもしれない。ちなみにパンの後に出てきたパスタもちゃんとおいしかったです。カナダで食べる、イタリアン。

翌朝、ホテルの朝食ビュッフェはベーグルにした。確かめずにはいられなかった。表面にケシの実とごまがたっぷりかかった薄茶色のベーグル。日本のベーグルよりひとまわり大きい。ベルトコンベア式のトースターにカット面を上にしたベーグルを送り込み、コト…と出てきたところを皿に乗せる。
ポーションタイプのクリームチーズを塗って齧りつくと、食感は思ったよりもずっと軽く、焼き目が香ばしい。日本のベーグルはもちもちに寄せすぎと聞いたことがあるが、カナダのベーグルはサクサクと軽く、大きな1個を丸ごと食べてもそれほど重くなかった。日本のベーグルとは別物だった。

カリフラワーの上に乗せた黄緑の野菜何だったんだろう

富沢商店とか、小麦粉の種類がたくさん置いてあるお店にいくとわかるが、カナダの小麦といえばパン用で最上級の強力粉によく使われている。ふんわりと大きなパンが焼けるとのこと。あと高級な小麦粉といえばフランス産だ。だったら、フランスのパンと同じくらいに、カナダのパンが大人気になったって、いいはずなのに…。
カナダ料理というものがないのと同じように、カナダのパンもまた、これという特徴がなく単に個体差なのかもしれない。小麦がおいしいから全体的においしいけれど、名物になるほどのわかりやすさがない、とか。そうですよね。きっとそうですよね。誰か食べにいって確かめてください。

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