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妄想沖縄旅行(一日目)

 今年の夏も沖縄に行けそうもないから、3泊4日の沖縄旅行に出発します。よかったら一緒に行きませんか。といっても、沖縄が大好きな私の妄想旅行です。妄想ですが、ラグジュアリーでなくリアルに近い旅です。貯めたマイルで飛行機に乗ります。

 この妄想旅行は、夫と息子2人と実際に行った沖縄旅行がベースになっているので、カフェ・ショッピング・エステのような女性向けアクティビティは一切出てきません。小学生ぐらいの子供とこんな感じで沖縄行ったら楽しいだろうな~という旅程です。

 前置きはさておき、みなさん荷物の用意は出来ましたか。日焼け止めは塗りましたか。そろそろ出発しま~す。

 ここは羽田空港。チェックインを済ませ、荷物を預ける。乗るのは夕方の便。出発まではまだ時間がある。いつものように羽田空港のデッキに出る。夏の晴れた午後のデッキはものすごく暑い。出発をおとなしく待つ飛行機や遠くの空からやって来る着陸体勢の飛行機を眺める。無類の飛行機好きというほどではないが、飛行機を見るだけで心が躍る。これから飛行機に乗るんだという気持ちが一気に盛り上がる。でもそんな気持ちも刺すような日差しと暑さには勝てず、滞在時間わずか数分で見学は終了。

 次に向かうは小さな書店。ここで機内で読む文庫本を一冊買う。飛行機に乗る直前の直感で本を一冊選ぶのが楽しい。軽めの短編かエッセイがちょうどよい。今回は益田ミリさんの本に決定。

 デッキ見学と文庫本購入という出発前のルーティンが終わったので、搭乗ゲートに入る。飛行機にもうすぐ乗れるんだという実感がわく。子供だったらスキップしたいぐらいうれしいのだが、いい大人なので涼しい顔をして歩く。

 スマートで旅慣れた雰囲気の旅行客でいたいのに、どうしても好奇心が勝ってしまい売店へ向かう。面白い商品が売っていないかなとマーケティング。帰省ではないので誰かにお土産を買う必要はないが、東京土産を旅行中のおやつ用に購入する。売店をぐるりと回って満足したら椅子に座り、搭乗アナウンスを待つ。

 搭乗のアナウンスが聞こえてきた。さあ並ぶか、と思ったときにすでに長蛇の列が出来ている。そういうときは座ったまま待機。そろそろかなと思ったところで列に並ぶ。ゲートに搭乗券をかざすときの音が好きだ。座席のアルファベットを確認し、手前の通路か奥の通路かを一瞬で判断する。座席に座ったら荷物を下に置き、早々にシートベルトを締めてスタンバイ。あとは飛行機が飛ぶのを待つだけ。ふと顔を上げると荷物を棚に入れていたお客さんが座っている。飛行機が方向を変えて動き始めた。

 そして飛行機は滑走路を勢いよく走り始める。私はこの何秒かの滑走路を走るときが飛行機に乗っているなかで一番怖い。ふわっとするあの瞬間よりも滑走路が怖いのは大きな音のせいだろう。モニターを見たり、機内誌を読んだりして怖さを紛らわす。

 大きな音は消え、いつの間にか飛行機は空に飛んでいた。どんどん高度を上げていく。安定した飛行になったので、さっき買った本を読み始める。私にとって飛行機の読書タイムは無心になって本が読める至福の時間。電車でする読書は乗り過ごさないようにしなくてはいけないし、家だと家事や家族のことが気になって本に集中するのが難しいのだ。

 飲み物のワゴンがやってきた。コンソメスープをお願いする。CAさんが手早くカップに入れてくれる。テキパキしているのに丁寧な動作は見ていて気持ちがよい。ほどよくエアコンが効いている機内で飲む温かいスープは格別の味。

 それからだいぶ時間が経って、沖縄はまだかなと時計を見ると、もう少しで着陸だというアナウンスが流れてくる。高度がどんどん下がってくる。耳が痛くなりませんように、と願いながら窓の外を眺める。よかった、今回は痛くない。滑走路を走る音が少しだけ聞こえる。耳が膜を張ったようになって聞こえにくくなるのはいつものことなので、鼻をつまんで口を閉じて口内を膨らませる。何回かやっているうちに治ってホッとする。

 飛行機が止まった。旅行客が次々と飛行機から降りていく。私もその流れに合わせて飛行機を降りる。笑顔のCAさんに私も笑顔で会釈。「やった~!沖縄に着いた~!」と心のなかで叫びながら空港を気持ち急ぎ足で歩く。

 荷物を受け取る前にトイレに行き、次の行動を確認する。今回は初日から本部(もとぶ)に行くことにしたため、空港でレンタカーを借りることになている。レンタカー会社の方とどこで待ち合わせだったかな、とスマホをチェック。

 荷物を受け取り、外に出る。ムワ~ッと生ぬるい空気が顔に当たる。私はこの瞬間が大好きだ。沖縄に着いたことを実感し、これから始まる旅への期待が一番高まる瞬間。

 レンタカーを借りるためにマイクロバスに乗り、手続きを終えて、いざ出発。カーナビで目的地を設定する時間がもどかしいが、ぐっと堪えて設定する。本部までは意外と遠い。高速に乗ったらおなかがすいてきた。ホテル近くのお店で夕食を食べようかなと思っていたけれど、予定変更。伊芸SAで沖縄グルメ第一号をいただく。うちの子らには食物アレルギーがあるので、お店の人に聞かなくてもアレルギーが確認できるのはありがたい。お料理も温かくて美味しかった。

 おなかが満たされたので、下道を進む。道の駅許田を過ぎるとゴールまであともうひといき。

 ホテルに到着。すっかり暗くなった時間のチェックインは夢のようにスムーズ。夕食は済んでいるからあとはお風呂に入って寝るだけ。明日の天気予報と予定は確認した。楽しみすぎて寝られないと思ったけれど、いつの間にか眠っていた。

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