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B'z『Hard Rain Love』-歌詞解釈

[Hard Rain Love]

久しぶりのB'zの新譜『Highway X』が発売されました。
コロナ禍の影響を感じる曲がいくつかある中で、この曲は所謂、禁断の愛の曲ですね。
一見単純な歌詞にも思えましたが、解読していくとダブルミーニングや歌詞の構造など面白い歌詞でした。

タイトルのHardRainとはそのまま激しい雨、土砂降りみたいな意味です。
ずっと書こうと思っている『ARIGATO』と『overture』でも雨について書こうと思っていたのですが、稲葉歌詞の【雨】とは悲しみや困難の暗喩です。詳しくはそちらで改めて解説していきたいです。

曲の始まり
この男女2人は折れ曲がった傘に身を寄せながら雨をしのいでいます。
闇の雨にも通じるような情景。

折れ曲がった傘の下 2人歩く
肩が濡れるほど寄りそう
夜更けの恋心

[ Hard Rain Love ]Highway X収録 

と始まり「世界の果てにようこそ」へと続く。
世界の果てとはどこだ?と思うけれど、B'zファンならば世界の果てとエレベーターという描写があると、やはり[SAIHATE HOTEL]を思い浮かべてしまいます。
そのホテルの真っ赤なエレベーターに乗り込み、恋のパレードが始まります。
そして、この男女は「悲しみは全部脱ぎ散らかし」、エレベーターとともに昇天していきます。

雨という悲み
同じ禁断の愛の曲である[Never let you go]でも「君の街見降ろして 無口なビルをつつむ 音のない雨に気づいたよ」「誰かが待つ僕の街にも雨雲が近づいてるはず」と雨が悲しみを暗示しています。
この男女にも雨に打たれるような悲劇性とともに『熱き鼓動の果てに』では「どしゃぶりの雨だって君となら喜んで濡れよう」という困難に対するポジティブな描き方に通じるふたりでもあります。
そんな状況でもパレードとして盛り上がっているがゆえに炎上Loveなわけです。
そして、この炎上には二重の意味がかかってますね。
雨でも消えないくらい激しく燃え上がる男女と昨今のスキャンダルとしての炎上ですね。

2番歌詞
続く2番はホテルの部屋の中の描写になります。

ひび割れた鏡 映し出す2人
あなたの祈りがそっと響く煙の中

この祈りの詳細(男女が結ばれることなのか、発覚しないことを願うのか)は分かりませんが、本当のパートナーから疑いをかけられており、もう火の手が上がって煙が立ち込めているのではないでしょうか。

この曲はメロは不穏な描写でサビで弾ける描写の対構造になっていることに気が付きます。
だからこそ「七色に曇るウィンドウ」とは、こんな状況でも雨が上がり虹がかかっていると思えるわけです。

恋のアドバンテージとは
それに続く「何もいらない そんな潔さが恋のアドバンテージ」これは『Love Phantom』や『Ring』などを連想しつつ、闇の雨でも「なにもかも捨てられると 涙みせてくれたから」と同じようにアドバンテージが垣間見えます。
その恋の対比としてtamayuraで「愛が重労働に変わるようなシステムを胸にインストールされて 不満を漏らした時にはもうどっぷり肩までつかってる それこそが人生のワナじゃん」という部分を連想しました。
愛なき道でも「愛という名のルールに懸命に尽くしてきた」りしているけど、恋はそんなものがいらないからこそアドバンテージだと主張しています。

ミントの香りとは
けれど、その夢は甘くない。むしろ「ミントの香りだけが漂うほろ苦い夢を泳ごう」と。
なぜほろ苦いのか?なぜミントなのか?
ミントの花言葉は[美徳]であり、そんな美徳=道徳にかなった立派な行ないの香りだけが漂うのは背徳行為のこの男女にはさぞほろ苦いでしょう。

終わりに
HardRainLoveの男女もホテルを出れば夢が覚めて、土砂降りの雨に打たれることを分かっています。
「明日どうなるかわかっていても びしょ濡れで突き進もう」
最後のフレーズはもちろん雨と性を絡めたわいせつな比喩ですね。
稲葉歌詞において明日はどうなるか分からないという設定が多い中でこの曲は炎上が確定しているから突き進むという潔さで終わります。

冒頭で名前を出した[闇の雨]の結末は「待ってるはず 闇の向こうに あなたはいるはず」と淡い期待や願望とともに終わりますが、Hard Rain Loveは「なにもかも捨てられると 涙みせてくれたから」という恋のアドバンテージと愛が重労働に代わるシステムはどちらが勝ったのでしょうか。

[闇の雨]はもう30年近い前の曲ですが、根本的な部分はあまり変わっていないのが稲葉歌詞の魅力の一つだなと感じています。


また気が向いたら、他の歌詞も解説したいと思います。
リクエストや感想がありましたらコメントいただけると嬉しいです。


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