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#22 「 no name 」

あなたがこの部屋に持ち込んだ、

愛や約束が腐っていくよ。

シーツの上でだけ、並べて、弄ぶから、

嘘にも本当にもなれずに。

だから言ったのに、

そんなものいらないって。


嘘。


そう、噓つきはわたし。

無音のテレビがカーテンに映す、

わたしとあなたの影を、

わたしが勝手にそう呼んだだけ。

初めから無いものを、

そう呼んだのは、わたし。


< 了 >

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