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劇場版「輪るピングドラム」の激しくてやさしい映画体験

「劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編]君の列車は生存戦略」をみてきました。2011年放送のTVシリーズ「輪るピングドラム」全24話を、新作を加えつつ前後編の映像として再構成した映画の1本目。

あぁ放送当時は毎週、本編を観たあとに感想をツイートしていたな、そうか、もう10年…なんて、上映中はノスタルジックな気分に浸ることになるだろうなという想定で劇場に足を運んでみたのですが、とんでもない。

幾原邦彦さん監督作、きらきらした、それでいて芯のつよいビジュアル、アイコン表現、エキセントリックな演出、謎おおき物語、トリプルHのキャッチーな楽曲、など、作品への入り口や語る切り口がたくさんあるタイトルではあるのですが、その中でも、よりにもよって尖った部分ばかりを厳選して抽出、全面に打ち出したような映像になっていて。スクリーンから発信される異様なエネルギーにクラクラしてしまう125分間となりました。

エンドロールを観終わった後の第一印象は、アレっこんなにも「どうぶつ」がいっぱいなアニメだったっけ?というもので。ただ、24週間にわたって積み重ねてきた全体像からすると意外な感じもするけれど、苹果ちゃんやべーな、今週はどこへ行っちゃうのこの子。というのと、海のギャングか、、みたいな部分が、たしかに、観はじめてしばらくの印象ではあったなーと、帰り道、エスカレーターを降りながら、頭の回路がじわじわとつながって。10年の間に生まれた技術も盛り込まれてはいるけれど、やっぱり他の何か、ではなく、あの「ピングドラム」を観たんだなと納得したのでした。

まったくノスタルジーには浸らせてはくれない激しい映画ではあるものの、同時に初心者にもやさしい、というか文字通り、これまでの物語を知らないひとに、あらためて物語を届ける映画にもなっていて、そのムチャとも思えるような振り幅での運行が、絶妙なバランスで成立していることにびっくりでした。後編も楽しみです。

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