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豊かさの本質ってなんなんだろうね?

豊かさっていう言葉が以前よりも世間に蔓延っている気がしていて。

この感じは、言葉が一人歩きしてそれが指す意味もわからないまま表面上だけで語られているときに起きるものの気がしている。


5年前くらいの、「好きなことを仕事にしよう」と似ている。



「好きなことを仕事にしよう」は、大きな矛盾を孕んでいた。

仮に、服が好きな人は皆、アパレルやデザイナー、ECサイト運営に携わったほうがいいかと言われればそうでもなくて。
仕事にすると自由よりもお金になるかどうかが基準になるから趣味でとどめたほうが良い人はいっぱいいる。

当たり前だった。


でも、5秒考えればわかる当たり前のそれらが考慮されずに、言葉だけが一人歩きして、就活生は「やりたいことが見つからない自分はダメな人間だ」と嘆くこともよくあった。


「豊かさ」にもそれが起きていそうな気がする。




「豊かさ」とは、花を愛で、風と太陽を感じ、食事に感謝し、自然に囲まれ、美味しいものを食べ、友人や家族と笑い合うことだと、認識されてはいないだろうか。

それが一つの形なのはわかる。

でもそれは、技術が発達した現代人がイメージする、いわゆるすこし昔の人間の過ごし方であり、ある種の原点回帰で、それを理想郷のように認識されてはいないだろうか。


本当にすべての人が花や風、太陽、美味しい食事、人との繋がりが必要なのだろうか。

言い換えれば、「豊かさ」の本質は人間本来の過ごし方に立ち戻ることなのだろうか。

言葉が一人歩きしていないだろうか。



僕にとって豊かさは「足るを知る」「不足を知る」だと思った。

「足るを知る」は、今の自分の持ち物を認識できていること。

「不足を知る」は、理想と比べたときに今の自分が持っていないものを認識できていること。

両者を知り、今の自分に満足し、次に進もうとしている状態が「豊か」って言えると思う。


つまり言い換えると、捉え方を変えられれば、誰でもその場で豊かになれることが重要なんだと思う。



今の僕は仕事人間なので、花を愛でるよりも勉強したいし、風や太陽を感じる時間よりもキーボードを叩いている時間のほうが長い。

一人歩きしている「豊かさ」という言葉から振り返れば、どう考えても仕事に追われるだけで豊かな状態だなんて、言えそうにない。

それはきっと、僕だけではなさそう。


では、僕ら仕事人間は、豊かになることはできないのだろうか。

当然、そんなことはない。
5秒考えずともわかる。


言葉が一人歩きするときの怖さはここにあって、なんだか知らぬ間に、全人類の幸福の形を押しつけられている気がして、その形からかけ離れていると「不幸でかわいそうな人」みたいで自分が嫌になる。

表面的な豊かさにただ踊らされると、「今の自分は不幸でかわいそうな人」「都会で仕事を頑張っても認められない人」だと思い込んでしまう。
行動力がある人なら、すぐに転職とか移住を選択することだろう。

それがすべて悪いわけではないけれども、世間の表面的な流れを自分の意見だと思い込んで選択してしまうことは、やっぱり危険。

自分の芯がわからなくなるから。


僕には、花を愛で、風と太陽を感じ、食事に感謝し、自然に囲まれる時間はほぼ無い。
美味しいものと笑い合うことは、足りないけど少しある。

一方で、評価してくれる上司、慕ってくれる同僚・後輩、「憧れです」って言ってくれる新卒、違う景色を教えてくれる社外のメンターはたくさんいる。支え合える家族もいる。
疎遠になっていたけど、居酒屋で飲むお酒の楽しさも思い出してきた。


あなたは豊かですか?
と聞かれれば、間違いなく豊かなんだと思う。もちろん、不足もあるけどね。

ありがたい事です。



「そんなの恵まれているだけ」と言われることもあるかも知れない。

そうかも知れない。運は良いほうだと思う。
特に、人には恵まれている。


一つ言えるのは、僕は自分で考えて生きているっていうこと。

誰かのアドバイスで失敗したこともあるし、責任をなすりつけられたこともある。
俺が悪いわけじゃないのに、と思いながら謝罪したり残業したこともある。
これは正しいことではないな、と分かりながらその選択をしたこともある。


それでも、自分で考えてきたから、後悔はしていない。



「足るを知る」「不足を知る」ことができれば、誰でもその場で豊かになれる。これが僕の言いたかったこと。

表面的な言葉に踊らされて、自分を不幸にしてしまう人が1人でも減ってくれたらと願っています。




今回、ふと「豊かさ」が気になって考えてみたけど、「足るを知る」には、どうやら続きがあるらしい。

足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志有り。
(満足することを知っている者は精神的に豊かであり、それでいて努力する者にこそ志は宿っている。)

老子
https://gimon-sukkiri.jp/taruwoshiru/#i-4


前半はわかりやすい。

後半はどうだろう。
満足しているのに努力する、というのが引っかかる。


僕の解釈では、現状に満足していれば、不足しているのは悪いことではなくて、自然と次の目標になるんだと思う。
すっと、自然体なまま、次の目標に進める。

確かにそれなら、継続して行動もできそうだし、豊かにもいられそう。



念のため、補足です。

「花を愛で、風と太陽を感じ、食事に感謝し、自然に囲まれ、美味しいものを食べ、友人や家族と笑い合うこと」はできたほうがいい。

どの行為もメンタルヘルスに効果があることは実証されているし、人生に色をもたらしてくれる要素だと思う。

でも、これが唯一の正解ではないので、その点はお気をつけて。



2023年7月19日
えだちゃん。


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