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HTC VIVE Cosmos Eliteを改造した話

HTCが出してるVR用ヘッドセットはVIVE無印とCosmos Eliteしか知らないけど、どちらも素晴らしいVR機器だと思う。

思いつく欠点は、個人的に毛嫌いしているフレネルレンズを除けばほとんどない。
ルームスケールでのフルトラ(トラッカーを用いた全身トラッキング)対応。
分かりやすい設置ガイドとインストール手順。
VR黎明期に「これがPCVRだ」と、開発者とゲーマーに見せつけた先駆的機種(初代)。

しかし、やはりアラは存在してしまうもの。
初期投資の大きさや個人的に毛嫌いしているフレネルレンズもそうだけど、HTCのVR機器には、コミュニケーションにおいて致命的ともいえる共通した欠点があった。
マイクの音質があまりにも酷いのだ。


というわけで、今回は前回予告した通り
・VIVE Cosmosの純正クッション厚すぎ問題
・VIVE Cosmosの純正マイク音質ゴミすぎ問題
をDIYで解決した手順を解説していきたいと思う。

“改造”とは言っても、分解してパーツを交換するような大それたものではなく、部品を戻したり取り外したりすれば後々中古で放出できる程度の可逆性を持たせつつ、既製品をうまく利用して使いやすさを底上げしよういう魂胆。

読者の皆々様方のDIYの参考になれば幸いです。


純正クッション厚すぎ問題

3Dプリンタを用いて、乱反射の激しい純正レンズをGear VRの凸レンズに換装した所までは、前回の記事で紹介した通り。
けどせっかく視界がクリアになっても、Cosmos純正のクッションが厚すぎるせいもあって、HMDを強く顔面に押し付けないと最適な距離にならない……
ということで、Gear VRくんには再び生贄になってもらうことにした。

Gear VRのクッション裏は、VIVE Cosmosのクッション同様ベルクロのメス(フカフカしてる方)だ。
曲線の大きさもほぼ同じくらい
厚さはCosmos純正クッションの半分以下。
これをCosmosのHMD側のベルクロ(オス)の形に合うように切り出して、断面をライターで炙ってほつれ止めを施せば

薄いCosmos用クッションの出来上がり。
断面の仕上がりは若干雑だが、人に見せる所でもないし肌にも別に当たらないのでヨシとする。

HMDを装着してみたら、ニチャァ…と笑みがこぼれた。

※装着時イメージ

クッションが薄くなってもつけ心地は変わらず、しっかりとHMDを目に近づけることができるおかげで視界が一気に開けた。
VIVE Cosmosのクッションが厚すぎる問題はこれで解決。

次は音質の改善じゃ。


純正マイク音質ゴミすぎ問題

VIVEシリーズは開発時マイクに使える予算がほぼ無かったのか、ガラケーで録った動画かよってくらい音質がひどい。

まるで水中にいるかのような謎のゴボゴボした声になったり、音割れもひどかったり、吐息鼻息をこれでもかというくらい拾いまくる。

「あー」と言おうものならこうだ。

Cosmos純正マイクの周波数別出力

3kHzの雑な盛り上がりと各周波数の谷の高さでノイズの多さ、出力の不安定さで水中のような音質になっていることがなんとなく分かると思う。

参考までに、audio-technicaのAT2020の出力と比較してみる。

「あー」

出力はどっしり安定していて、谷もクッキリ。
高周波のノイズもほぼない。美声。

一人で黙ってゲームをしているだけなら何も問題はないけど、通話しながらVRゲームをしたり、VRChatなどのコミュニケーションの場での印象は最悪…
これはどうにかしなければならない。

巷では、スポンジ片やファーの切れ端をマイク用の数ミリの穴に貼り付けてノイズ対策をしている人もいるようだが、根本的にマイクの質が悪かったら意味がない……

これを見越した上なのかは分からないけど、VIVEシリーズはHMDにUSBポートが余分に一つ付いている。
VIVE無印はUSB Type-A、VIVECosmosはType-Cの端子が刺せるようになってる。

VIVE無印には安いUSBコンデンサピンマイク(ノイズも拾わず音質もそこそこ)を既に刺して使ってたので、今回はこれをUSB Type-C端子に移植して使うことにした。

まず、生贄として別のUSB Type-Cマイクを購入。
ケーブルが1.5mと長すぎるので適度な長さに切断。
HMDのソケットから装着予定部までなら20cm程度あれば足りるので、数センチ長めに切った。

無惨

ヒートシュリンクチューブを通して、ケーブルの中身を観察。

どうやら、オーディオケーブルでは一般的なバランスケーブルのようだ。
赤と緑(ホット/コールド)は繊維状の皮膜、銅線(グラウンド)はエナメルでコーティングされているようなので、ライターで皮膜だけを炙ってそれぞれハンダ付け。
ハンダ付けが済んだら、繋げたケーブルを一本ごとに絶縁テープで巻いてからヒートシュリンクチューブで覆って、また炙る。

ピンマイクについてきた、服に装着する用のクリップにマイクを固定するためのプラスチック部分をクリップ本体から外して、HMD下部のスリットに結束バンドで固定。

あとはコントローラーなどを引っかけないようにケーブルを隙間に押し込んで……

完成!

早速テスト。
「あー」

フランケン・マイクの出力

当然、大型のコンデンサマイクには音質で劣るが、出力は圧倒的に安定し、バチバチとしたノイズもほぼなくなった。
自分の声が相手に聞き取られなかったり、苦情を受けたことのあるVIVEユーザー垂涎の改造と言っても過言。
ハンダ付けとかいう七面倒臭い事をしなくても、外部マイクを付けるだけ付けることは可能なので、すぐにでも改善したい人はすぐにでも外部マイクをポチるべきだと思う。

マイクをポチるときに一点注意してもらいたいのが、Amazonに出回っている安いUSBピンマイクのほとんどが全指向性だという点。
全指向性(無指向性)マイクの安いものは、それこそエアコンの音、フル回転するPCファンの音、近所で泣き叫ぶ子供の声まで無差別に拾ってしまう。
HMDに装着して使用する場合は、単一指向性のコンデンサマイクがいいゾ。
”ピンマイク コンデンサ”とかで検索するがよい。

USB Type-CのコンデンサマイクはSONYも出しているようなので、もっと音質を良くしたいならそっちを買ってもよさそう。
ただ、単価がハネ上がるので個人的には手は出せないかな…
買ったとしても、今回みたいに容赦なく切断するのも怖いし、長いケーブルを巻いてヘッドバンドに固定して使用することになりそう…(チキン)


まとめ

ということで、無事に我が家のVIVE Cosmos Eliteはそこそこ高音質で、どのCosmosよりもクッキリ見えるHMDになりましたとさ。
実は一度マイクのケーブルを短く切りすぎて、長く切り直したケーブルを再度ハンダ付けして……等面倒なトラブルもあったんだけど、冗長になってしまうので丸っきりカットした。
ケーブルだけに。

紆余曲折あっただけに、かなり満足のいくVR環境が構築できたのは素直に嬉しい。
今回のDIYが誰かのインスピレーションになってくれるとなお嬉しい。
やってみた、質問、アドバイス等あれば是非コメントお願いします…🙏

次回書く事はまだ決めていないけど、何もなければ3Dプリンタ関連の話でもしようかな。


それでは✋

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