声かけに使うワーディングは大事だ

子すずの観察日記ではなく、常々思っていることを書きます。

「声かけ変換表」という、子育てをなさっている親御さんが蓄積した知見がございまして。その中の変換事例の中に「走るな!」を「歩こうね」と言い換えている事例を見つけました。声かけの具体例をしっかりまとめていて、とても素晴らしいツールだなあと思いました。

子どもの脳は否定命令文を理解できない、「走るな!」と言っても、まずは「走る」場面が思い浮かんでしまうので、「走るな!」という声かけをしても走る行動をすぐには止めることができない、一旦「走る場面」を思い浮かべてからそれに上書きするような感じで「否定する」という2段階のアクションがあるので、否定命令文は幼児の脳には難しいーーーと子すずめが幼少期に受講した子育て講座では言っていました。つまり「走るな!」というやってほしくない行為を否定文で伝えるのではなく、「止まろうね」とか「歩こうね」という好ましい行為に変換して伝えてあげる、できれば命令形で伝えるのではなく未来形(今から~するよというような言葉がけ)にすると、幼児にも現在からちょっと先の未来を見越しやすい、とその講座で学びました。

私が幼児期の子すずめを育てるときに、その子育て講座で聞いたことはとても参考になり、否定命令文はなるべく使わずに済むよう、事前にどういう言葉にするのかをひとりブレストしました。子どもの取り扱い想定問答集(FAQ)ですね。

「走らないで」→「歩くよ」「親を待つよ」「止まるよ」
「大きな声を出さないで」→「アリさんの声で話すよ」
「お店のものに触っちゃダメだよ」→「見るだけだよ」
「ひとりでうろうろしちゃダメ」→「親(私)の隣にいてね」

大抵の場合、事前に考えていたワーディングがハマりました。「~しちゃダメ」という声かけをせずに、なんとかできる場面が多く、子どもの扱いにくさでイライラすることは少なかったです。予習、大事!

しかし、私にとって変換が困難だったのは、「夕方にスーパーに買い物に行かねばならない状況だったので出かけたけど、子が機嫌が悪くなってスーパーの床に寝転がってジタバタした」時の声かけでした。そもそも子が愚図りそうな時間帯にスーパーに連れて行って買い物をしなければならない事態を避けるべきだったのですが、その時は不運など重なってしまい、私も想定外の事態に言い換えの文言が考えつかず…咄嗟に出たのが

「床に寝転んじゃダメ!」

あー、即興で声かけ変換できるほど私は声かけがうまい人間じゃなかった。予習してなんとか子の望ましくない行動を抑えることができたに過ぎないのだと思いました。想定外の事態には、人間は(←主語が大きすぎ)素が出てしまうものなのだ…

後から「立つよー」とか言えたかもしれないなと考えついたけれど、我が子の大声と床ジタバタに、理性的な言葉よりも感情がとぐろを巻いてるいら立ちの言葉しか出て来ず。床に寝転んでジタバタした場合の想定問答集、準備できていなかったのはイタかった…スーパーに来ている買い物客の視線をくぎ付けで恥ずかしかったよ。

ところで。最近、そういう声かけ、言葉がけの機微に関して、ムッとしていることがあります。助手席に乗っている配偶者の言葉がけに、です。

車発進直後に「ブレーキブレーキ!」→ブレーキと言われると、減速しろという意味だと思ってしまう。パーキングブレーキが入ったまま走ってるよということを言いたいなら、「PKB解除」とか「PKB!」とか「解除!」と言ってくれ!「ブレーキ!」という時は減速が必要な時だけにしてほしい。

交差点などで「危ない!」→危ないという注意喚起ではびっくりするだけで、危険を避けることができるとは限らない。びっくりした挙句、望ましい行動ではない行動をしてしまうかもしれないじゃないか。「右から来てる歩行者に注意!」とか「右から歩行者!」とか「左から自転車!」と、何が危ないのか、危ない対象物…何に気をつけるべきかがわかるように言ってくれ!あるいは、どういう行動をしたら危険が避けられるのか、「止まって!」などと伝えてくれ。

よく聞け、配偶者よ。危険なことが迫っていることを伝える言葉がけとしては、「危ない!」と叫ぶことが一番の愚策だと私は思っています。危険を避けてほしいならば、危険を避けることができるようなアクションワード(動詞:「止まれ」とか「減速しろ」とか行動を表す言葉)、または危ない対象物(何が危ないのか)を言ってくれ!と思います。

ということで、子育て途中の声かけだけでなく、成人済であっても危険を伝える際の声かけは、「言われた人が瞬時にどうすべきか推測できるワーディング」でしましょうという話でした。

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