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【速報!】1月29日施行、株式型CFの法改正をイークラウドが徹底解説

イークラウド代表取締役の波多江です。

株式投資型クラウドファンディングに関連する法改正が本日(2022年1月28日(金))公布され、2022年1月29日(土)より施行されます。最新情報を徹底解説します。

2021年、株式投資型クラウドファンディング(以下、株式型CF)は150社以上、約37億円の資金調達として利用されるようになり、調達金額でみると前年の約20億円と比べ金額ベースで倍増しています。

2022年には金商法(施行令、内閣府令等を含む)の改正が発表され、ベンチャー企業にとっては利便性が向上することが見込まれています。本稿では改正の注目ポイントについて解説します。

①資金調達できる1億円の通算方法がついに見直し! 注目度:★★★

株式型CFでは、投資先のベンチャー企業の株式価値が目標通りには向上しなかった場合にも、投資家の損失額を限定するべきであるという投資家保護の考え方から、ベンチャー企業が調達可能な金額は1社につき、1年間で1億円未満とされています。

この1億円未満の資金調達額について、現行法では過去1年間の有価証券による資金調達を「通算」することが求められています。つまり、株式型CFを実施する1年前以内に、他の有価証券(普通株式、種類株式の他、J-KISSなども含む)により資金調達をしていた金額と合わせて1億円未満とする必要がありました。例えば、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなど、他の投資家から半年前に7,000万円調達していたベンチャー企業においては、事業が急成長していたり、何かしらの理由で追加の資金ニーズが発生した場合にも株式型CFでは、上限となる1億円未満から調達済みの7,000万円を差引きし3,000万円未満が上限として設定されてしまいます。また、株式型CFでは調達手数料なども発生することから、資金調達方法として利便性が低いと判断されてしまうことがありました。

今回の改正では、1年間の「通算」については原則不要となり、株式型CF単体で1億円未満の資金調達を行うことが可能になる予定です。この変更により、例えば3億円の資金調達ニーズがあるベンチャー企業が2億の資金調達を完了(内諾)しており、追加で1億円未満は株式型CFを使って個人投資家から調達するなどのケースも増えることが想定されています

*ただし、株式型CFで複数回募集を実施する場合にはこれまで通り、通算が必要となります。

実際に、米国の資金調達事例において、有名VCと同じラウンドの戦略的に一部を個人投資家に配分したMercuryのような事例や、株式型CFを今後毎年実施することを宣言したGumroadのように、資本政策に戦略的に個人投資家を巻き込む事例も増えてきており、今後も増加することが見込まれています。

ベンチャー企業にとって、この1億円未満の通算規定の変更が今回は何よりも重要なポイントです。

*この1億円未満の枠を米国の5億円水準、英国の10億円水準に拡大していくことも検討されましたが、今回の改正では1億円未満の枠は現状のままとなる予定です。残念ながら、今回の法改正では上限金額に変更はありません。

②投資できる上限金額50万円が、一部の人に上限緩和されます 注目度:★☆☆

2点目は投資家に定められている上限金額の一部緩和です。現行法では1人が1社に対し、1年間で株式型CFで出資することができる金額は50万円と定められています。株式型CFでは、投資先のベンチャー企業の株式価値が目標通りには向上しなかった場合にも、投資家の損失額を限定をすることで市場を拡大していこうという考え方から、1人が1社に対し、1年間で投資できる金額は50万円以下と定められています。仮に500万円をベンチャー投資してみたいという方は、50万円10社や20万円25社のように投資を行うことができます。

1人の1社当たりの投資金額について、米国や英国において適格投資家(accredited investor)等については投資上限が緩和されています。日本においても、今回、*特定投資家として認定された個人投資家については、50万円を超える単位でも投資を受け付けることが認められる予定です。

*特定投資家とは、適格機関投資家を始めとしたいわゆる「プロ」の投資家のことです。個人投資家も、純資産3億円以上、投資性のある金融資産3億円以上、取引開始後1年以上経過した者が手続を行うことで特定投資家として扱われることが可能になります。

*株式型CFの個人投資家を特定投資家として認定する具体的な手続きについては、日本証券業協会で協議中です

資金調達をしているベンチャー企業にとってみると、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどから直接投資契約を行う方法により資金調達をすることができました。今回の法改正によって実現できるようになるのは、株式型CFにより資金調達をする前には関係性がなかった(薄かった)大口の個人投資家がプラットフォームを通じて投資機会の情報を知った場合が想定されています。

規制緩和の対象となる個人投資家は、多くないため、ベンチャーの資金調達からみると、資本政策の中では計算しにくい要素かもしれません。

③株式型CFの後の調達で注意が必要だった6ヶ月が3ヶ月に短縮されます 注目度:★☆☆

49人以下の相手に対して資金調達の勧誘を行う場合(私募)には、有価証券届出書の提出や有価証券報告書といった開示規制はありません。また、1億円未満の資金調達を行う場合には有価証券通知書という有価証券届出書に比べて簡便な書類の提出を行うことが定められています。

一方で、株式型CFでの調達直後(6ヶ月以内)に資金調達を行う場合には、株式型CF後の通算規定があり注意が必要になります。ベンチャー企業が一般的に行なっているベンチャーキャピタルや、事業会社などから行なっている私募の場合には通常は有価証券届出書などは想定していないことががほとんどだと思いますが、調達直後(6ヶ月以内)で、同一種類の有価証券で資金調達をおこなった場合には通算規定があります。通算して1億円未満であれば、有価証券通知書の訂正(追加提出)、1億円を超える場合には有価証券届出書が必要になってしまいます。

今回の改正で、ベンチャー企業の機動的な資金調達を阻害しないために、6ヶ月以内の通算規定が3ヶ月になります。上記は、かなり細かい規定になりますので、当社では法令遵守をして機動的に資本政策を実現していただけるよう、株式型CFでの調達後も、資本政策をサポートさせていただいております。

以上3点が、今回の法改正の概要です。

C向けサービスやクリエイターエコノミー領域、夢のある技術を保有しているベンチャー企業と株式型CFとは相性がよく、最大1億円を調達できる可能性があります。どのような会社がいくらぐらい調達実績があるのか、自分達はいくらぐらい調達できる可能性があるのか、詳しく知りたい方はこちらから個別相談をご予約ください。

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