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株式投資型クラウドファンディングの仕組みとその魅力とは? 昨年の注目トピック総まとめと2022年の展望

株式投資型クラウドファンディング(以下、株式型CF)は、個人投資家がインターネットを通じて成長期待の大きい非上場のベンチャー企業に少額から投資できる仕組みです。2015年の金融商品取引法の改正によって、株式型CFのサービスの提供が可能となりました。

投資先が将来成長し、新規株式公開(IPO)や事業売却(M&A)などに至れば、投資額を大幅に上回るリターンを得られる可能性があります。

2019年に約10億円だったベンチャー企業の調達額は、2021年には約37億円に。市場が急速に成長しており、起業家や個人投資家の間で注目も集まっています。

今回は、改めて株式型CFの魅力と2021年マーケットの振り返り、そして今後の展望をイークラウド代表の波多江と取締役の高橋が対談形式で語ります!

未知なる可能性を実現へと推し進める「応援投資」

——改めて、お2人が感じる「株式型CF」の意義や魅力とは?

イークラウド株式会社 代表取締役 波多江直彦

波多江:ベンチャーキャピタル(VC)での経験を活かし、新たな手段でベンチャー企業の成長を支援したいと創業したイークラウド。おかげさまで設立から3年を迎えることができました。

株式型CFの魅力は、ベンチャー企業に対し、金融機関だけでなく個人が資金調達の支援を通じて「応援」の気持ちを形にできる構造にあると思います。

例えば銀行での資金調達だと、決算書や財務諸表をもとにした厳密なスコアリングにより融資できるかできないかが決まってしまう。一方で、株式型CFは「このベンチャー企業を応援したい」という人が100人、200人と集まれば成立する世界です。そこに面白さとやりがいを感じて事業を進めています。

高橋:たしかに、株式型CFのベンチャー支援においては過去の業績ももちろん参考にすることはありますが、一番大切だと思っているのは事業の「未来の可能性」。その点も従来の金融機関からの資金調達とは異なりますね。

イークラウド株式会社取締役 高橋洵

2021年に支援させていただいたNUProteinは、タンパク質合成技術によって食糧問題の解決や再生医療等での活用を目指すという、まさに可能性を感じる事業です。この分野は最近アメリカでIPO間近の企業がやっと出てきた段階。国内では未開拓の市場ですが、個人投資家の方には最先端の技術や分野だと非常に興味を持ってもらえました。

未来より過去の実績を重視する銀行融資では十分な金額が調達できなかったり、プロの投資家から現時点では投資対象としてもらえなかったりするベンチャー企業への支援がしやすい点にも、意義を感じています。

波多江:
ちょっと話が飛ぶかもしれませんが、自動車や飛行機、インターネットなど今では当たり前に活用されているものに対して、発明当時に「本当に普及するのか?」と懐疑的な見方をする人は多かったと思います。どんな産業も、広まるまではなかなか世の中に認めてもらいにくいんです。

現代でも、多くの人が「本当にそんなことできるの?」と信じられないようなことを実現したいと、世の中のさまざまな課題やニーズに向き合い奮闘する人たちがいる。インターネットを通じて、どこからでも支援できる株式型CFは、シンプルに大きな価値を生み出せる仕組みだと確信しています。

国内市場が成長する中、支援領域の拡大と地方提携に取り組んだ2021年

——事業のマーケット感について教えてください。

波多江:この3年間、株式型CFの市場は二桁成長を続けてきました。現在では年間150社ほどのベンチャー企業が株式型CFで調達しています。知られる機会が一気に来た感じですね。

ベンチャー投資に関わる人口も着実に増えてきています。日本国内で、いわゆるエンジェル投資家と呼ばれる著名な方は100名ほどしかいません。ですが、「実はベンチャー投資をしているんです」というビジネスパーソンや経営者の方にも普通に出会えるようになりました。身の回りの友人知人から調達や投資の話を聞き、興味を持っていただくケースも多い。

高橋:そういった方は、ベンチャー企業に対して事業の可能性や経営状況だけでなく、いろいろな共感の軸を持っている方が大半ですよね。

「なぜこの人がやるのか」という起業に至るまでのストーリーを聞いたり、「同じ地元出身だから」とか「起業家の人柄にほれ込んだ」と起業家に親しみを感じたり。もちろん、その事業が成長すれば自分の生活にも何かしらのメリットがあるはずだと支援する方もいらっしゃいます。

多様な観点で「このベンチャー企業を応援したい」と思い、手触り感を感じながら投資体験ができる点を面白く思ってもらえているのではないでしょうか。

——2021年ならではの業界内の注目トピックは何でしょうか?

波多江:業界内のトピックとしては大きく2つあります。一つは、野村ホールディングスが株式型CFのサービス会社へ出資したことですね。私たちは創業時より大和証券グループと資本業務提携をしていましたが、他の大手証券会社にも注目されるようになってきたのは大きな出来事です。

高橋:株式型CFに限らず、非上場株への注目が全体的に高まっていると感じますね。

波多江:もう一つは、金融庁による株式型CFの規制緩和の動きが出てきていること。

高橋:その中でも最も影響が大きそうなのは、ベンチャー企業が調達可能な金額(1億円未満)の算定方法の見直しです。

今までは、ベンチャー企業が1年以内にVCから6000万円を調達していたら、4000万円未満しか株式型CFで調達できない計算になっていました。法令が変わることで、他の資金調達の手段とも組み合わせやすくなり、シードより先のステージにいる企業でも利用しやすくなると思います。ベンチャー企業にとって、より株式型CFの存在を身近に感じていただけるのではないかと期待しています。

——イークラウドとしての2021年の印象的な取り組みも教えてください。

波多江:イークラウドのトピックで言うと、こちらも大きく2つあります。まず、2020年の2件から、2021年は7件と支援案件を大幅に増やすことができた点です。これまでご一緒したベンチャー企業はIT系の領域が多かったのですが、先ほどご紹介したNUProteinのようなバイオや創薬を手掛けるベンチャー企業ともご一緒できました。

次に、地方との取り組みを強化できた点です。2021年3月には、群馬銀行と提携。私たちが普段知り合えない、地方のベンチャー企業と出会えるようになりました。地域の金融機関にも、株式型CFの可能性や魅力が伝わってきたのがうれしいですね。

高橋:1社1社に伴走させていただきながら、株式型CFで調達した後も関係性を築いてこられた1年だったと思います。それにより、起業家や個人投資家の方たちが何を求めているのかの解像度も非常に高まってきました。

波多江:これまで全ての支援案件が目標額を達成しており、1社あたりの平均調達額も上がっています。業界の中で見ても高い水準まで来ている。やはり、各社に丁寧なサポートをして、個人投資家にきちんと情報を伝えられてるからこそ、多くの出会いと機会を生み出せているのではないかと思います。

株式型CFで資金調達後も、起業家と個人投資家のさらなる体験向上を

——最後に、イークラウドの今後の展望を聞かせてください。

波多江:株式型CFで資金調達したその後も、ベンチャー企業の持続的な成長に向けてさらに伴走していきたいですね。

イークラウドが支援させていただいた企業の中には、順調に黒字化する会社も増えてきています。さらに大きな調達や高い成長率の中で戦略的に事業売却をしたいというご相談をいただく事例も出てきました。こういったニーズに応えることは、個人投資家の方のリターンや楽しみを最大化することにもつながります。両者がさらに幸せになれる仕組みを強化していくつもりです。

高橋:
私たちが直接関わらなくても、株主と経営者との間でコラボレーションが生まれる場面も出てきています。共同商品開発や、マーケティングの知見を持つ株主が投資先のプロモーション支援をするなどがその一例です。

クラウドファンディングを利用したベンチャー企業と株主のコラボ事例も発生

株式型CFをきっかけにつながった両者が、金銭的な支援だけに留まらない関係性を築ける世界観を拡張していけたらいいですよね。ベンチャー企業が成長する過程で、多くの支援者を巻き込めるのは非常に意義があると思います。

波多江:創業期から思っているのは、株式型CFをぜひ競争戦略として組み込んでいただきたいということ。

株式型CFを実施すると、C向けなら一般の方に向けてPR効果が、B向けなら事業の難しい技術に関する説明コストが下がるためBizDevの面でも効果があると考えています。認知拡大につながるとともに会社のファンになってくれる人が増えるんです。

よく、資金調達においては関係者への対応コストがかかると言われていますが、むしろそれによって結びつきが強固になり、ビジネスにおける競争力の源泉になり得ると。

高橋:とはいえまだ、起業家と個人投資家の間には一定の距離感があると思います。そこで私たちがプラットフォームとしてさまざまな角度からコミュニケーション機会を創出して、より関係性を深めてもらえたら。

もちろん、応援の仕方は人それぞれです。SNSで応援するだけでも、ベンチャー企業にとっては大きなエネルギーにつながります。自分なりのペースや距離感で応援をしてもらえるように、選択肢の幅を提供していきたいですね。

波多江:上場株に投資している場合、そもそも経営者と直接会えることはほぼありません。でも株式型CFでなら、今までにない起業家と個人投資家の関係性を紡ぐことができます。両者をつなぐ存在として、これまで以上に積極的なサポートをしていけたらと思います。

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