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2人目が産まれた。

2人目の出産は、コロナ禍の中で、診察の付き添いはもちろん、立ち会い出産も入院中の面会も出来ず、1人目とは全く違うお産になった。

2020年9月4日午前9時24分、
第二子となる3422gの男の子を出産。

38週の妊婦健診に行ったら、子宮口が6センチも開いていたため、今すぐに入院するよう言われた。
全く心の準備ができていない中、あれよあれよと分娩ダウンに着替えさせられ、陣痛室へ。

もう色々パニックになりながら、主人と実家の親に電話をかけた。
夫には、入院の荷物を病院に持ってきて欲しいということと、娘が実家に泊まる荷物を作るように説明した。親には、とにかく娘をよろしくと。

できれば娘には"少しの間ママと離れ離れになるから、じいじやばあばやパパの言うことを聞いて、ママと赤ちゃんが来るのを待っててね"と、直接話をしてから出産に臨みたかった...

そんなことを思うと、ベッドの上でぽろりと涙が溢れた。

とはいえ、急には陣痛が来ることもなく、先生から「もうだいぶ開いちゃってるから、お産を進めましょう」と、陣痛促進剤を入れてもらうことになった。

それでも、全く陣痛が来る気配はなく、薬の強さをどんどん上げても痛みが来なかった。
このまま進めても、夜間に出産になってしまうと人手がいないからという病院側の都合で、一旦中断して明日に持ち越すことになった。

なんとなくお腹の張りと痛みはある中、陣痛室に入院。突然訪れた孤独な夜。

朝ドタバタと入院した時は、先生から今日が誕生日になるね〜なんて言われたのに、一向にお産が進まず眠れない一夜を過ごした。


明け方4時頃、じわじわと規則的に痛みがきた。

少しずつ痛みの強さが増していき、まだ歩けるうちに分娩台に上がることになった。

しかし、痛みは規則的にきていたものの、1時間経っても2時間経っても子宮口の開きが変わらず、赤ちゃんも降りてくる気配がしない。

分娩室でただ一人、モニターとにらめっこしながら陣痛の痛みに耐え続けた。


いつ赤ちゃんに会えるんだろう。

いつこの痛みから解放されるんだろう。

終わりが見えない。

8時半頃、日勤の助産師さんが分娩室に入ってきた。わたしに軽く「よろしくお願いしまーす」と挨拶をしてから、夜勤の助産師さんにも軽く「お疲れ様ですー」と声を掛け、お産の進みが書いてあるだろう紙にチラッと目を通した。

そして、わたしが痛み苦しんでる中「ちょっと見せてもらうよー」と、容赦なくグリグリと股に手を突っ込んだ。
「うん、まだ赤ちゃん下まできてないから、全然痛みが足りないね。促進剤入れちゃってグッとお産進めましょう。もう疲れたでしょ?早く産んじゃいましょう」と。

"いきなり分娩室に入るなりこの淡々とした対応は何なんだ"と内心思ったが、もうYESしか言えない状況で即座に促進剤が入り、ここから一気に痛みの強さが倍増した。

「それじゃ、お産の準備も進めちゃいますねー」と、痛みで叫び狂うわたしの足にカバーが付けられ、ステップ台が広げられた。

最後の追い討ちで促進剤を入れてからは、30分も経たないうちに破水...からの子宮口全開。

あの夜通しもがき苦しんだ陣痛は一体何だったんだ、と思うくらいあっという間だった。

そして、いよいよこの時が!
助産師さんからのいきみOKが!!!

痛みで泣き叫びながら、最後の力を振り絞り思いっきりいきんだ。
巨大なう○こを出す感覚で。
体力は陣痛で使い切っていたので、残っていたのは気力のみ。

痛みが来るぞ来るぞのタイミングで、深呼吸を2回して、息を止めていきむ。

「息を吐いてーまた止めて!いきんで!もっともっと長く!上手よー!すごく上手!でも、もっと長くいきんで!赤ちゃん引っ込んじゃうからもったいない!」
これを4、5回繰り返した。


"もうこれ以上無理だ、これ以上頑張ったら呼吸困難で死ぬ"と、後には引けない状況で弱気なことを考えたりもした。

しかし、助産師さんから「赤ちゃん元気よー!頑張って!」と言われて、赤ちゃんも頑張っているのにわたしは何を弱気になっているんだ..と気持ちを奮い立たせた。

次こそ産むぞ!と決意し、陣痛の痛みが最高潮にきたタイミングで、持っている力を全て出し切った。


大きく深呼吸をしてから、息を止めた。 

顔中の血管が切れるくらい力を入れた。

苦しいけど我慢。痛いけど我慢。

まだまだ息を止めたまま、助産師さんからの助言に耳を傾ける。

「今度は息を吐いて!少しだけいきんで!今度は力を抜いて、手を胸の前に組んで!!!もういきんじゃダメ!しっかり目を開けて!赤ちゃん出るよーーー!!!」

もう意識混濁状態で、おそらく白目を剥きながら目を開け、赤ちゃんの顔が。

すぐに泣き声をあげてくれた。


「おめでとうございます!男の子ですよー」

わたしは、赤ちゃんの泣き声をかき消すくらいのボリュームで大号泣しながら叫んだ。


「痛かったよーーーーー!!!!!泣」

もっと感動しろよ、とゆうツッコミを自分でも入れたくなるが、やっと痛みから解放された安堵感でいっぱいだった。
そして、一人目の時と同様、もう二度とお産なんか経験したくないと思った。

「赤ちゃん抱っこする?」の問いに答えはNO。最低だ。でも、正直赤ちゃんを抱っこする余裕なんてなかった。全身の力がすっと抜けていくのが分かった。

はあ、しんどかった。でも良かった。

最初は、軽いノリの助産師さんだと思ったが、実はかなりのゴッドハンド助産師さんだった。
この助産師さんの元で産めて良かった。
あの時の的確かつスピーディな判断のおかげで、長い時間苦しむことなく、赤ちゃんを産むことが出来た。もう感謝しかない。

その後は胎盤が出て、院長先生が切れた会陰を素早く縫い、体を拭いて着替えさせてもらった。そして、赤ちゃんを抱っこした。

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かける言葉は何も思いつかなかった。
正直、疲れ果てていた。

でも、無事に産まれてくれて本当に良かった。

一時はお産が進まず、もう産まれないのかもしれない、お腹を切ることになるのかもしれないなんてことを考えたりもしたが、本当に元気に産まれてくれて良かった。

経産婦なのにここまで時間がかかったのは、赤ちゃんの首にへその緒が絡まっていて、それが苦しくて陣痛を起こさないようにしていたのではないかと、後で説明された。

2人目だからすっと出てくると思ったが、結果的に1人目より大変になったお産になった。

しかし、お腹の中ですくすく育ってくれた我が子にこうして会えたことがなによりも嬉しい。 

産まれてきてくれてありがとう。
これからずっとよろしくね。

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