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赤ちゃんが産まれた。

予定日の朝。2018年4月12日。

いよいよその時が近づいてきた。ひとまず、いつ入院になってもいいように、滞りなく家事を終わらた。

夕方4時頃、呑気にアイロンがけをしていると、下腹部がじんじんじんじん...
軽い生理痛のような痛み。
微弱陣痛が始まった。

普段から重い生理痛に慣れていたのもあり、我慢できる程度だったが、念のため病院に電話。

症状を伝えると「すぐに診察した方が良いので、今から来てください」と。
できれば夫の帰りを待ってから一緒に行きたかったが、わたしが溶連菌を持っていたために陣痛が始まったらすぐに点滴が必要らしく、早めに来て欲しいと言われた。

しぶしぶ陣痛タクシーに電話をして、一人で病院へ向かうことに。病院に電話をした時はまだまだ大丈夫だと余裕をかましていたのに、病院に着いた安心感からか少しずつ痛みが強くなってきていた。

夜9時頃、夫が病院に到着。この時はまだ、普通に会話をする余裕があった。
これから壮絶な痛みでもがき苦しむことになるとは全く想像もできず、買ってきてもらったおにぎりをぱくぱくと食べた。

その数時間後、痛みがどんどん強くなり、全く会話ができなくなった。

5分ごとにくる陣痛の痛みに、狂ったように叫び続けた。
モニターの数値がだんだん上がってくるとともに痛みも増す。

ピッピッピ...

陣痛の痛みに合わせたこの音を聞くだけで、どんどん痛みも増す。

ピピピピピ.....

来るぞ来るぞ来るぞ.....

痛みが来る度に、夫にテニスボールで肛門をぐっと押してもらって痛みを緩和させていた。気休めかもしれないが、少しは痛みが和らぐ気がする。

わたしの大音量で叫び声に、度々助産師さんも来てくれたが、「まだ子宮口が完全に開いてないから、いきんじゃだめだからね」と。

早く産みたい...

産んで痛みから解放されたい...

それしか考えられなかった。

本陣痛から6時間くらいが経った頃だろうか、今度はお腹の赤ちゃんが出てこようとする力が強くなってきた。
こうなると、陣痛の痛みだけじゃなく、いきまないように気をつけながら、赤ちゃんが出ないように我慢しなければならなかった。

もう何時間も陣痛の痛みに耐えていたのだから、我慢する力なんて残ってるわけがない。

ここから出産までの時間は、今まで生きてきた中で、最大級の痛みとの戦いだった。

赤ちゃんはものすごい力で出てこようとするのに対して、ぐっと膣を締めて我慢。これが猛烈に痛い。
しかし、何時間も我慢していると力がなくなってくる。もう体力は限界。気力だけで持ちこたえる。

定期的に助産師さんが子宮口の大きさを見に来てくれるが、「まだだね〜。もう少しがんばって!」と言われるだけ。

「もうやだ無理!産みたい!!!!!」

痛みが続くストレスを助産師さんにぶつけていた。そんなわたしに「大丈夫大丈夫、今日中には産まれるから」と励ましてくれるが、今日が始まったばかりの夜中に言われても全然励みにならなかった。

とにかく終わりが見えない。

いつこの痛みから解放されるかも分からない。

1分1秒が長く果てしなく感じた。

さらに4〜5時間が経ち、朝を迎えた頃、

バシャッ!

破水した。
下腹部から水風船が割れたように水が出た。

そこからは一気に子宮口が開いて9.5センチまで開いたところで、助産師さんから分娩室に向かうよう言われた。ふらふらになりながら分娩台へ。「もういきんでいいからねー。陣痛が一番痛い時に力入れて」と。

いきんでいいよと言われると、逆にいきむのが怖くなってきた。怖いというかどこまで力を入れていきんでいいのか加減が分からない。

一睡もせず、陣痛で疲れ果て、頭が朦朧としていた。最初の何回かは、いきむ力が弱すぎて赤ちゃんが戻ってしまい、お産が全く進まなかった。

いきんでは赤ちゃんが戻って、いきんではまた戻って...を繰り返したところで、だんだんと上手く呼吸が出来なくなった。
いきむ時に息を止め過ぎて、ふわっと意識がなくなるような感覚だった。

そこからは、酸素マスクをつけながらのお産。
30分くらいした頃、先生が諦めたかのように「よし、切りましょう」と。結局、会陰切開になった。

これが最後のいきみにしたいと心に誓い、思いっきり全身全霊でいきんだ。

そして、ぬるんとした感触を感じて、赤ちゃんの頭と体が一気に出てきた。


2018年4月13日午前8時32分。

「女の子ですよー!」


終わった...

あの辛い12時間が終わった...

やっと痛みから解放された...

「オギャアーーーーー」

という泣き声だったかどうかは、意識が朦朧としていてよく覚えていない。
覚えているのは「もう二度と出産なんかしたくない!一人っ子でいい!」と、母親失格発言をしたこと。

そして、会陰切開したところを針でチクチク縫われた。まだ痛みからは解放されず。
先生に対して「もう、いつ終わるのー!!!」と、失礼極まりない発言もよく覚えている。

全ての処置が終わり、わたしの胸に我が子がやってきた。



ああ、わたしママになったんだな。

これからこの子を育てるんだな。

ふと、一晩中一緒に戦ってくれた夫を見ると、男泣きをしていた。...ありがとう。

わたしの胸で眠る我が子を見て、愛おしいという感情を知った。

心の底から可愛いと思った。

産まれたての赤い顔した我が子が、可愛くて可愛くて仕方なかった。

この愛おしい我が子を絶対に何があっても守ろうと心に誓った。

本陣痛から約12時間。
痛みを乗り越えた先に見えたのは、今まで味わったことのない達成感と感動。

無事に産まれてきてくれてありがとう。
パパとママのところにきてくれてありがとう。

#陣痛  #破水 #出産 

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