前フリ長めですが呼吸の話

 最近、新曲ではなく、サブスクでも聞けないような過去の日本の歌謡曲などを探ることにハマっています。80年代から90年代の曲は良い意味で自由で、ネットのような横並びで比較されるようなことがなかったから、流行に乗っかっていない曲がたくさん溢れていました。発売してみたら「とんでもなくダサッ」とか「新しい切り口でイカしてる!」とか、発売しないと売れるか売れないかわからないような、ある意味、作り手以上に「聴き手の感性」に委ねられる、本来のショービズのあるべき姿があったような気がします。なので、音楽が個性的で、楽しいのです!

 今は逆で「聴き手はこういう曲が好きそうだから」という理由で「売れそうな曲」を作る傾向にあると思うのです。それでは聴く方も面白くない。意表をついた新しいアプローチの斬新な曲を待ってたりするのではないか…とラジオ番組をしながらず〜〜っと思っていました。だから「売れそうな曲」をかけるよりも、売れるか売れないかわからないけど「イイ!」「なんかイイ!」と感性が刺激される曲や他ではかからないような古い曲もかけたりしていました。インディだけではなく、レコード会社にお金をかけてもらえない新人の曲も。そのうち何人かはスターダムにのし上がっていき、その活躍を知るたびに一人で満足感に浸っております(笑)

 さて話は戻って「イイ曲」を探して古い音源を探していたら、改めて聞くと「イイな〜」と感じた曲がいくつかありました。一つは木村カエラの「What ever are you looking for?」。2004年にインディーズで発売され、1ヶ月後にメジャーで発売された「Level42」のカップリング。デビュー前当時にMCとして出演していた音楽番組「saku saku」で390円で390枚発売が発表され、3分で完売したというシングルで、当時はラジオ局もこぞって彼女を取り上げ、「Level42」もかけまくりました。しかし、カップリングをかける番組は少なく…ということで、私の番組はかけていました(笑)当時のディレクターも彼女の大ファンだったこともあり、メジャーな曲だけがかかる風潮になっていったラジオ業界で、カップリングやアルバム曲もかけていました。

 そして時は過ぎ、サブスク時代。定額制で音楽聴き放題。私はアップルとSpotifyの両方聴いてます(笑)微妙に音が違うのですよ!え?気のせい?この曲はアップルがイイとか、この曲はスポティファイがイイとか…え?気のせい?(笑)ま、どうでもいいです。

 サブスクで今まで聴かなかった「食わず嫌いなジャンル」や疎遠になっていた曲までシャッフルしまくって聞いていたら、ふと木村カエラの「What ever are you looking for?」が流れてきて、グッと心を鷲掴みにされ、次に流れてきた坂本真綾の「プラリネ」にやられ、この2曲のバッックボーンを知りたくなり調べたら、なんと同じ作曲者!「山沢大洋さん」。さらに掘り下げると「時給800円」という、フジテレビ系バラエティ番組「ココリコミラクルタイプ」に出演していた遠藤章造さん、八嶋智人さん、品川祐さんの3人で結成されたユニットの曲も山沢さんが手がけていることを知りました。そこで改めて聞き直すと…2006年発売のベストアルバムの最後の曲「4つめの恋」が…超シティポップでとっても「イイ!」のです。ぜひ聴いていただきたいッ!

 で、今回のお話は音楽ではないのです、発声です(前振り長くてすみません)。

 時給800円は芸人さんと俳優さんのユニットですが、とても歌が上手いです!でも上手いだけではなく、「喋る声と歌う声が同じ!」というところがポイントなのです。プロシンガーでも歌は何曲も歌えるけど、喋ると声が枯れるという方がいらっしゃいます(なので、ツアー中のシンガーにインタビューする時は短時間ですませるように配慮します)しかしながら「時給800円」は「喋る声と歌う声が同じ!」さすが舞台の方だと思いました。彼らはしっかりした発声でそして力まず見事に歌いきっています。これは、漫才やコント、芝居でかなり鍛えられているとしか言えません。「息の長い芸人さん」は本当に「息が長い」んだな〜と思ってしまいました(笑)

 ということで、何が言いたいかというと、正しい発声法を身につけると力みのない「自分の声」で歌えるし、喋れるようになるのです。そのためにはまずは

「吐く」ことを意識すること。

では、今、肺に入っている空気を「も〜〜無理〜〜!!」というほど思いっきり吐き切ってみてください。それではどうぞ!!!!

吐き切ったら、ゆっくり吸って、元の呼吸に戻してください。

いかがですか?顔が真っ赤になるくらい吐き切りましたか?

 前回も「吐くこと」について触れましたが、「吸う」という行為は「受け身」です。肺のそもそもが持っている機能に任せれば、無意識に空気は入ります。しかし「吐く」という行為は、最初は楽に出せますが、だんだんと身体中の、とくに腹や背中の筋肉に力が入ることに気づくはずです。しかも「お腹が凹んでいない」ことにも気づくはずです。

 腹式呼吸は、お腹を凹ませるのが目的ではなく、肺から絞り出す時に腹筋背筋の筋肉で押し出すので、自然と固くなり、それが凹んでいるように見えるだけで、「腹式呼吸はお腹が凹ませる呼吸」ではないことを覚えておいてください。なので、腹筋と背筋が必要なのです。そのために筋トレするのもアリですが、外側の筋肉ばかりついては意味がないので、呼吸の筋力は「呼吸」でつけましょう!

 以前にも書いた「ラジオDJ体操」で体をほぐし、吐くことを意識しながらしっかり丁寧に深呼吸をする。これを毎日繰り返すだけでも「呼吸筋肉」はアップします。

 肺活量が増えると、読める文章も増えますし、何より安定して声を出すことができるので、聴いてる方も安心感を得られるのです。

 上手に喋ることよりもまず、聞き手に安心感を与える声量を身につけるために「正しい発声法」を身につけて、ビジネスにも子育てにも役立ててください。

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