ノア・スミス「マドゥロとチャベスはいかにしてベネズエラ経済を難破させたか」(2024年8月1日)
一国を担う身としてしちゃいけないこと
つい先日,ベネズエラで選挙があった.ベネズエラで長期にわたって大統領の座にあるニコラス・マドゥロが勝利宣言をしたものの,投票結果を不正操作したと広く信じられている.また,野党は,実際の得票数では決定的過半数を自分たちが獲得したと主張している.マドゥロ勝利を承認した国はごく一握りしかないし,その面々も心強くはない――中国,ロシア,イラン,北朝鮮,シリア,キューバ,ニカラグア,ボリビアという国々だ [n.1].ラテンアメリカ諸国の大半では――政治的左翼と結びついた多くの国々,チリ,ブラジル,メキシコ,コロンビアなどなどでも――指導者たちが承認を保留しつつ,得票数の集計についてもっといい証拠を示すように求めている.
不正に歪められたらしき選挙結果に憤慨するベネズエラの人々は路上で抗議デモを行っていて,これまでに少数ながら死者も出ている.群衆との連帯を示して無料でパンを群衆に分け与えるパン屋の劇的な光景などなども伝えられている.
「どうしてマドゥロはそんなに不人気なの?」 もちろん,その理由の多くを占めているのは,マドゥロが独裁者として選挙結果を不正操作したうえに抗議する群衆に政府軍を差し向けたことだ.でも,それよりずっと深い理由もある.それは,マドゥロ政権のもとで,ベネズエラが破滅的なまでの経済の崩壊に苦しんだことだ.これは,通常なら戦火に苛まれた国々でしか起こらない経済崩壊だった.ベネズエラ経済はすごく酷い状態におちいっていて(おまけに政府が情報を隠したがるせいもあって),世界銀行同国の GDP の数字の推計も持ち合わせていないほどだ.ただ,マディソン・プロジェクトではたらく人たちによる推計では,ベネズエラの生活水準は第二次世界大戦いらいの最低水準に達している:
この経済崩壊にともなって人々がどういう苦しみを味わったか知りたければ,『ブルームバーグ』が2021年に伝えた一連のベネズエラ報道をおすすめする.もしもぼくがベネズエラ市民だったら,やっぱり憤懣やる方なくなっていただろう.
「こんな悲しい状況に,どうしてベネズエラはいきついたの?」 多くの人は,ただめんどうくさそうに,「社会主義は決まって崩壊するんだよ」と言うばかりだ.マドゥロと彼の前任者ウゴ・チャベスは,自分たちは社会主義の闘士だというブランドを押し出しているので,彼らの失敗もソ連や北朝鮮みたいな国々の失敗の同類だとひとくくりにしたくなる.
でも,それはあまりにも安直な答えだ.一方では,後述するようにベネズエラの失敗はたしかに〔民間企業や資産の〕接収や価格統制みたいな下手な政府介入と大いに関わりがある.でも,あらゆる「社会主義」体制がみんな一様というわけじゃない.ベネズエラには,北朝鮮や旧ソ連のような中央計画体制がない.それに,ラテンアメリカにある他の「社会主義」の国々は――ボリビア・ニカラグア・キューバにいるマドゥロの政治的な盟友たちも含めて――どれひとつとっても,ベネズエラのような苦境に陥ったことがない.
ベネズエラの経済崩壊は「社会主義」の結果だといってやっつけてしまっては,マドゥロやチャベスが同国を破滅に導いた政策はどれで,その詳細はどうなっていたのかという興味深いところを無視することになる.
あと,「社会主義だから失敗した」というのよりもはるかに信用できない説明は,「資本主義」のせいにする説だ.たとえば,『ニューヨークタイムズ』の記者たちが最近の記事で試みた説明は,いっそ笑えるほどだ:
この話はまるっきり馬鹿げている.『ニューヨークタイムズ』にこれが掲載されたのは,おそらく,同紙の内部で進行中の文化的な問題の反映だろう.アレックス・タバロックが書き記しているように,同紙の記者たちが言及している「暴虐な資本主義」とは,価格統制の一部をやめたり,アメリカからの送金を合法化したりすることだ.これらはいい処置だし,ベネズエラ市民の痛みを少しばかり和らげる助けにはなっている.経済の崩壊は,これらよりも何年も前に起きている.
「じゃあ,なにがベネズエラ経済を破壊したの?」 基本的には,次の3つの組み合わせだ:
ベネズエラの国有石油企業 PDVSA の効率的な経営に干渉した
民間企業を大量に接収して国有化した
インフレに価格統制で対応した
でも,この3点を述べていく前に,「アメリカによる制裁がベネズエラを破滅させた」という考えを片付けておこう.
ベネズエラ経済はアメリカによる制裁のずっと前から死にかけていた
マドゥロの盟友たちや彼を擁護する人たち,それに,アメリカを批判する人たちも,好んでこう主張する――「ベネズエラの崩壊は,アメリカによる制裁に責任がある.」 この主張はアメリカ内の報道にもたびたび登場する.たとえば,『ワシントンポスト』の最近の特集記事では,こう主張されている.「対ベネズエラ制裁は(…)アメリカに大恐慌がもたらしたものよりおよそ3倍も大きな経済縮小に寄与した.」
この見解に関連している人物でいちばんまともなのは,おそらく,ベネズエラの経済学者フランシスコ・ロドリゲスだ.彼は,ベネズエラ政府の諮問役をつとめ,いまはアメリカで教鞭を執っている.ロドリゲスは,経済政策研究所 (CEPR) にこれまでに数回の報告を書いている――2022年に一件,2023年にもう一件ある.その主張によれば,アメリカによる金融制裁によって,ベネズエラの石油産業は大打撃を受け,同国の経済崩壊を引き起こしたんだそうだ.彼の CEPR 報告から引用しよう:
この2017年の制裁措置によって,石油生産が破滅的なまでに瓦解したとロドリゲスは主張している:
経済制裁が主犯だという論拠でいちばん強くていちばんもっともらしいのが,これだ.でも,この論拠ですら,実は意味をなさない.タイミングが合わないからだ.
たしかに石油はベネズエラ経済の重要品目ではあるけれど,結局はひとつのインプットでしかない.ベネズエラの窮状をもたらした近因は,通貨危機とハイパーインフレだ.どちらも,2017年より前に始まっている.
まず,通貨危機について話そう.たいていの国々は,輸入品を買うのに外国通貨を必要としている.通貨の価値が瓦解すると,消費者はもう日々のいろんな品物を買えなくなる.ベネズエラ通貨のボリバルは,2018年に正式に切り下げられた.でも,闇市場に目を向けると――ベネズエラの人々が実際にボリバルをドルに両替しているのは闇市場だ――ベネズエラ通貨は2012年の中盤に価値が瓦解しはじめて,2016年9月までに対ドルで価値の 90% を失うにいたっている.
これは,経済制裁のずっと前に起きている.ちなみに,2014年の石油価格下落よりも2年早い――石油価格下落もまた,マドゥロ/チャベス擁護の主張をする人たちが非難していた点だ.
ロドリゲスは,制裁前に起こっていた通貨崩壊が PDVSA を打ちのめした影響を完全に無視している.思い出そう.一国の通貨の価値が崩壊すると,外国通貨建ての債務の返済がずっと困難になってしまうんだよ.PDVSA は,まさにそういう借り入れをかなりやっていたから,2017年よりも前から,すでに破綻のお膳立てができつつあったわけだ.
通貨崩壊といっしょに,ハイパーインフレがやってきた.公式統計を見ると,インフレ率はじょじょに上がっていって,2016年初までに 200% に達している.独立の推計では,もっとインフレ率は高くて,しかもずっと早くから始まっている:
通貨崩壊とハイパーインフレによって,ベネズエラの人たちが生活必需品を賄うのはきわめて難しくなった.ベネズエラ人の体重は 2016年に平均で 8キログラム減っていた.食料品をなかなか買えなくなったからだ.2016年5月12日の『アトランティック』誌に Moises Naim と Quico Toro が書いた記事から引用しよう:
2016年以降に(あるいはそれ以前から),他の報道機関による報道でも,まったく同じことが伝えられているのは,難なく見つけられる.ベネズエラのハイパーインフレ・通貨危機・生活水準の崩壊は,すべて,フランシスコ・ロドリゲスが非難している経済制裁よりもずっと前から広く伝えられて,よく知られていた.
また,ベネズエラとイランを比較しておくのも有益だ.イランも石油に依存した国で,2010年代にアメリカによるはるかに厳しい制裁を受けていた.そういう制裁の元でイランは停滞したし,2014年の原油価格下落で痛手も受けたけれど,イラン経済はおよそ崩壊と言えるような状況に陥らなかった:
とはいえ,2017年の制裁によってベネズエラの状況が悪化した可能性はある.インフレと通貨下落はどちらも2017年と2018年に加速した.ベネズエラが低調だったときにその経済に制裁を科したのは,トランプ政権の政策ミスだった.ただ,ここを見誤ってはいけない――トランプが制裁をはじめたときには,すでにベネズエラ経済は低調になっていたんだよ.
「じゃあ,ベネズエラの指導者たちはどうして自国を窮乏化させてしまったの?」 確固とした因果関係を見極めるのは難しいけれど,チャベス=マドゥロ時代に実施された3つのダメ政策が理由の候補に浮上してくる:国有石油企業のおそまつな経営,民間企業の接収,価格統制の3つだ.
国有石油企業のおそまつな経営
ベネズエラは石油国家だ.つまり,輸出収益と政府歳入どちらの面でも,原油の強く依存している.とはいえ,あらゆる石油国家がどこも一様というわけじゃない.たしかに,書類上ではベネズエラは石油の確認埋蔵量で世界一ではあるけれど,その大半は重質原油だ.その精製はずっと難しい.ベネズエラの原油には,硫黄のような不純物が大量に含まれている.これも,処理を難しくしている.このため,ベネズエラの石油産業を維持していくには,サウジアラビアやイランよりもずっと多くの投資が必要になる.
ベネズエラにとって幸運なことに,まさにそういう投資が長いあいだ続けられてきた.先見の明があり有能な国有石油企業 PDVSA のおかげだ(「ベ・デ・ヴェイ・サ」と発音する).1970年代に創設された PDVSA は,最優秀層の人材を雇用し,政府は同社のやることにたいてい口を挟まなかった.
ところが,90年代後半から2000年代前半に,ベネズエラの指導者たちは PDVSA の投資予算に手を付けはじめた.チャベスは,社会政策の資金に使うべく石油採掘を加速させた(それに,体制のいろんな縁故者への支払いにも充てていたのは疑いない).これによって,PDVSA は石油採掘を増やすのに必要だった投資を維持できなくなってしまった――というか,やがてはその採掘の継続もできなくなっていった.PDVSA のテクノクラートたちはこの動きに抗議し,チャベスは彼らを大量解雇した.2006年の当時に,『エコノミスト』誌はこう伝えている:
チャベスと彼の縁故者たちは,どうやらベネズエラの石油産業の技術的な詳細をたんに理解していないようだ――ベネズエラはサウジアラビアと同じだと彼らは考えて,「それはちがう」と彼らにあえて進言した人たちを誰かれかまわず解雇した.その結果として,ベネズエラの石油産出量は停滞し,ついには減少しはじめた.しかも,石油の純輸出量の方がいっそう痛手が大きかった.なぜなら,自国産の石油に混ぜる軽質スイート原油を輸入するしかなかったからだ.2014年の記事から引用しよう:
この結果として,ベネズエラはいまも大量の石油を海外に売っているにもかかわらず,同国の純輸出量はチャベスの任期序盤に瓦解をはじめてしまった:
しばらくの間は,これも問題にならなそうに思えた.石油価格は2000年代に急騰したから,純輸出が減少してもお金は政府の金庫に流れ込み続けた.さらに,チャベスが PDVSA の予算に手を付けたものの,石油価格の上昇のおかげで投資は崖から転げ落ちずにすんだ.
でも,チャベスによる PDVSA のずさんな運営によって,ベネズエラは大災厄に見舞われるお膳立てを整えつつあった.2014年に(チャベス死去にともなってマドゥロが後継した直後に)石油価格が下落すると,チャベスとマドゥロのもとでのPDVSA の慢性的な投資欠如がものを言いはじめた.産出量は急減しはじめ,政府の石油収入(下記グラフのピンクのバー)は,崖を転がりおちていった:
これは,経済制裁が行われるずっと前のことで,ちょうどベネズエラ通貨の価値急落がはじまりハイパーインフレの入り口にきた時期と重なる.
というわけで,ベネズエラの崩壊をもたらした重大原因のひとつはウゴ・チャベスによる PDVSA のずさん経営だった.いったいどういう種類の「社会主義者」が国有石油会社をみずから損なって,ストを理由にその従業員の半数を解雇なんてする? あまりお利口な社会主義者ではないよね.
ただ,それと同時に,経済の他の部門に関してチャベスはまぎれもなく破滅的な社会主義的な行いをしていた.
接収と国有化
ウゴ・チャベスは,民間の商売にきわめて敵対的だった.これは,ABC ニュースが2013年に伝えていた話だ:
社会主義を自称する多くの指導者たちが,天然資源企業や輸送・電気・通信といったインフラを国有化した.でも,チャベスは,それよりもっと多岐にわたってベネズエラ経済のかなりの部分を国有化した――スーパーマーケット,住宅,農業,金融,鉄鋼,観光,ガラス,セメントなどなど.2003年から2012年のあいだに,全体で,千をこえる企業が国有化された.
チャベスの縁故者たちがそうした企業を再分配のエンジンとして動かそうと試みはじめたときに必然的に起きた失敗事例の一部を,マンハッタン研究所〔保守系シンクタンク〕が記している:
どうやら,石油産業の場合と同様に,縁故者ひいきがここに関与していた見込みが大きい.
この種の国有化は,いくつかのかたちで経済に打撃を与える.第一に,政府はスーパーマーケットやセメント工場みたいなものを経営するのがあまり上手じゃない場合が多い.第二に,すでに国有化されていた PDVSA でやったのと同じアプローチを,こういう新規に国有化された産業にもチャベスはとったらしく,社会政策の資金を引き出すブタさん貯金箱にこれらを利用した.これによって,短期的に貧困は減少したものの,長期的には金の卵を産むガチョウを殺してしまった.
そして第三に,民間企業を恣意的に国有化すると,民間投資を敬遠させる巨大な逆インセンティブとしてはたらいてしまう.自分が事業家だったとして,いつ政府がいきなりやってきて全部をかっさらっていってもおかしくない状況で会社をはじめる理由があるだろうか(しかも,会社を召し上げるときの対価は政府が好きに決めてしまうんだよ)? [n.2]
その結果,ベネズエラの通貨はものすごく安くなっていた(ので輸出品がずっと安価になっていた)にも関わらず,2000年代に同国の石油以外の輸出は急減しはじめた:
チャベスによる接収は――そしてマドゥロによる接収も――ベネズエラをいっそう石油だのみの国家に変貌させていった.PDVSA のおそまつ経営と石油価格の下落によって同国の石油産業が痛手を負ったとき,ベネズエラにはもはや他に頼れるものはなかった.2010年代の災厄の種は,2000年代に蒔かれていたんだ.
余談だけど,マドゥロはたんに資本を接収しただけじゃない点は押さえておいた方がいい――マドゥロは,労働も接収した.労働者を強制的に徴用して食料生産に当たらせたんだ.以下は,2016年の記事からの引用だ:
これは,いままでのマドゥロやチャベスが試みたことのなかでおそらくいちばんソ連共産主義に近い.
価格統制
チャベス=マドゥロ体制を指さして「ほらね,社会主義はうまくいかないんだよ!」と言えるいちばん明快な事例が,産業の国有化だ.でも,これひとつきりではない.チャベスとマドゥロは,他にも,すごく破滅的な政策を重用した:それが,価格統制だ.
ウゴ・チャベスが価格統制を用いはじめた時期は,ハイパーインフレのはじまりよりもずっと前にさかのぼる.価格統制もまた,貧しい人たちに安価にモノを提供するべく行われた大衆迎合政策だった.案の定,これによって,早くも2000年代中盤に品不足が生じている:
食品その他の一般消費者向けの品物を備蓄・隠匿した者を厳罰に処そうとチャベスは試みたにもかかわらず,価格統制を受けて,人々は用心のために品物を手元に貯め込んだ.これによって,いっそうインフレは加熱した.これは,2012年にベネズエラ通貨が崩壊するのよりも前の出来事だ.2011年に,インフレ率上昇に対処すべく,チャベスは手を打つ.読者もお察しのとおり,さらなる価格統制が実施された:
その後,ボリバルの価値が瓦解し,輸入品の価格が急騰,インフレ率が跳ね上がった.チャベス死後にマドゥロが指導者となったベネズエラ政府は,この状況でなにをしたと思う? そう,ご名答――さらなる価格統制だ.これは2014年の記事からの引用だ:
重大な価格統制は,貨幣そのものの価格統制だった.2012年ごろから,ベネズエラの人々はぜひとも自分たちの通貨を国外に持ち出してドルと交換しないといけないと考えるようになった.これによって,ボリバルの価値は下がった.チャベスとマドゥロは,これに対して,為替レートをとても高い価値で固定する措置で応じた――市場が払ってもいいと考えているのよりもずっと有利な価格でしかボリバルはドルと交換してはならないと彼らは主張した.
ともあれ,チャベス/マドゥロの価格統制にともなって,社会のすみずみにまでどうかしてる恐怖体制が敷かれた.政府があちらこちらに手を伸ばして,基本的な消費者向け商品や食料を持ちすぎている人を誰彼かまわず見つけ出して処罰しようと血道を上げた.Moises Naim と Quico Toro が2016年に書いた記事からひとつ逸話を引用しよう:
どうかな? こんな経済運営を何十年も続けていたら,豊かなままではいられない.(イザベラ・ウィーバーやルーズベルト研究所の人たちみたいな経済学者たちが,「価格統制こそインフレをしずめる最善策」なんて言うのを耳にしたら,このことを思い出してほしい.)
というわけで,チャベスとマドゥロはダメ政策でベネズエラ経済を難破させた.たしかに2014年に石油価格が下がったのはありがたくなかったし,2017年のアメリカによる経済制裁もそうだった.でも,大失敗の核心にあったのは,PDVSA のおそまつ経営,国有化,価格統制だ.このうち,PDVSA のおそまつ経営が「社会主義」かというと疑わしい.スト破りや国有企業の弱体化が行われていたからね.でも,国有化と価格統制は明確に21世紀の社会主義者たちが喜んで採用しがちな政策に数えられる.ボリビアなどの他のラテンアメリカ「社会主義」諸国は,この3点を全部はやらなかったことでベネズエラと同じ命運を回避した.
こうして,ベネズエラは他の国々にとっての戒めとなっている.左翼指導者を選挙で選ぶのはわるくないこともある――チリのボリッチ,ブラジルのルーラなんかはそうだね.でも,チャベス/マドゥロみたいに「革命」とは国内のあらゆる経済制度にレッキングボールをドカンとぶつけることだと思ってるタイプにはくれぐれも用心しないといけない.それは,狂気の道だ.
原註
[n.1] ここでも,ニュースで目にすることの多くは,第二次冷戦の一部だ.マドゥロは中国やその代理国から支援を受けている.なぜなら,彼はアメリカ側にとっての苦痛の種だと認識されているからだ.
[n.2] 案の定,反ユダヤ差別もここで一要因となっていた.
[n.3] キューバは例外で,ずっと昔に経済の大半を国有化していて,しかも天然資源に依存していない.そのためにキューバは貧しく停滞しているけれど,これまで小さな危機しか起こさずにすませてきた.
[Noah Smith, "How Maduro and Chavez wrecked Venezuela's economy," Noahpinion, August 1, 2024; translation by optical_frog]